左の図で二つの円は同じ濃さの灰色なのですが、下のほうがやや暗く見えます。
上のほうは黒で囲まれているので対比効果でやや明るく見え、下のほうは白で囲まれているのでやや暗く見えるといわれています。
ところで、右の図では左右の灰色の部分は同じ明るさの灰色なのですが、左のほうがずっと暗く見えます。
左のほうは上下の辺が黒に接し、左右が白に接しているので、対比効果という点ではッ黒の影響が大きいはずです。
そうであれば左の灰色の部分は右の灰色の部分より明るく見えるはずなのに逆になっています。
これについては次のような説明が考えられます。
「左の図では白い地を背景に縦に長い灰色の長方形があり、その上に黒い横板が5本あるように見える。灰色の部分は白地の上にあるように見えるから暗く見える。これに対し、右側の場合は黒い地を背景に縦に長い灰色の長方形がありその上に白い横板が6本あるように見える。この場合は背景が黒地なので明るく見える。」
しかし同じように背景との対比で説明できるように思えても、左の図の場合は差がわずかなのに、右の図では差が拡大しているので、対比効果だけでは説明できません。
ここで右側の縦長の長方形を見直すと、白い横板が灰色の長方形の上にあるように見えていたのですが、白い板の上に白い半透明の縦長の長方形がおかれているようにも見えます。
つまり、縦長の長方形が一番上にあるように見えるのですが、このとき灰色の部分は以前より明るく見えます。
同じように左側の場合も、黒い横板の上に黒い半透明の縦長の長方形がおかれているようにも見えます。
この場合は黒い横板が灰色の長方形の上に置かれたと見た場合よりも暗く見えます。
ここで左側が白地で右側が黒地であったり、左側が黒地で右側が白地というのでは矛盾があると感じるので、どちらか一方にするとしましょう。
全体が白地であるとすれば、左の場合は縦長の灰色の長方形がその上にあり、さらにその上に黒い横板があるということで、右側の縦長の長方形は黒い横板の上にあることになるので、白い半透明の長方形に見えます。
その結果左右の長方形の明るさの差が大きく見えるということになります。
逆に全体が黒地であるとすればその上に右の縦長の灰色の長方形があり、その上に白い横板があり、左の縦長の長方形は黒い半透明の長方形に見え、やはり左右の縦長の長方形の明暗差を際立たせることになります。
つまり右側の図では、奥行き感が生じて、その結果対比効果を際立たせているわけで、目の自動的なはたらきがあったのです。