図はT.エーデルソンが考案したもの。
A図で真ん中に白い点を打ってある二つの菱形は同じ濃さの灰色なのですが、左側のほうが明るく見えます。
菱形は縦に三個並んでいて、、左の列と右の列は黒い半透明フィルターをかけているように見えます。
従来の心理学的な説明をすれば、「真ん中の列に黒いフィルターをかければ、菱形の部分は黒くなるはずなのに灰色になっているのは、実は菱形は白くて、フィルターがかかって灰色に見える、と脳が解釈する」ということになります。
しかし、このように回りくどく考えなくても、明暗の対比関係から簡単に説明がつきます。
左側の菱形は黒と灰色の三角形に囲まれているのに対して、右側の菱形は灰色と白の三角形に囲まれています。
左側のほうが右側に比べ暗い色の囲まれているので、相対的に明るく見えるのです。
黒い半透明フィルターがかかっていると考えると混乱するのですが、フィルターがかかっているとするならば、菱形を囲む三角形の部分だけにかかっているのです。
つまり、周りを黒くしたので菱形の部分が対比的に明るく見えているのです。
B図は間隔をあけて菱形の部分つながって背景の灰色と同じ色だと分かるようになっています。
一列目の背景も二列目の背景も同じ色ですから、白い点を打ってある部分は同じ色に見えるはずです。
ところがやはり、左側のほうが明るく見えます。
というよりは二列目が暗く見えるのです。
B図は全体的に見ればそろばん玉が並んでいるように見えるのですが、二列目のそろばん玉と三列目のそろばん玉の間の背景だけが暗く見えます。
そろばん玉は左半分が明るく、右半分が暗くなっていて、明るい部分ではさまれたところが対比効果で暗く見えているのです。
真ん中の白い点が打ってある部分も背景と同じ明るさであることは、下の黒い星のところに視線を向け、ゆっくりと上のほうに視線をずらしていけば確かに背景と同じ色だと確認できます。
真ん中の白い点の打ってあるところを先に見ると、どうしても対比効果が働いて左の白い点を打ってあるところより暗く見えます。
そこで上下の黒い星の部分に同時に注意を向けてみます(下を見てそのまま上を見る)。
そうすると黒い星の間は一体化して見え、背景全体と同じ明るさの灰色に見えます。
このとき背景全体が一体化して見え、同じ明るさに見えますから、左の白い点のところも右の白い点のところも同じ明るさに見えます。
視野を広げて全体を見ることが有効な見方になっているのです。