左上の図では9つの四辺形のうち、左列の真ん中の四辺形と右列の真ん中の四辺形は同じ明るさなのに、右側のほうが暗く見えます。
右上の図は左上の図と同じものですが、左上の図の同じ明るさの4変形を同じ明るさの茶色に塗りかえたものです。
この場合も左側の茶色のほうが右側の茶色よりも明るく見えるのですが、時によって同じ明るさに見えたりします。
この場合は4つの四辺形が同じ色に塗り分けてあるので、4つの四角形がひとつのまとまりとして感じられたりするためで、真ん中の正方形を囲んで折り曲げれば箱になるように見えます。
このように4つの四角形がひとまとまりのものと感じられると、同じ明るさに見えるようになるのです。
そのように意識して左上の図を見ると、以前は違った明るさに見えていた左右の四辺形が同じ明るさに見えるようになります。
それでも左の列と右の列を交互に見ると右の四辺形のほうが暗く見えたりします。
そういう時は真ん中の四辺形に注意を向けて見続けると、上下左右の4変形は同一グループに見え同じ明るさに見えるようになります。
つまり、ものの見方が変われば見え方も変わるのです。
下の図はウェルトハイマーの環といわれるもので、環の部分はすべて同じ明るさの灰色になっています。
左の例では上の環と下の環では明るさが違って見えます。
背景が黒い上の環が明るく見え、背景が白い下の環のほうが暗く見えます。
ところが右の例では環がつながっているので、背景が黒い上の部分と、背景が白い下の部分が同じ明るさに見えています。
左の環と右の環とでは背景の条件は同じなのに環がつながっているかどうかで見え方が違うのです。
真ん中の環の場合は右の場合と同じ上の環と下の環がくっついているのですが、切れ目が書かれている点が異なります。
そのため上の部分と下の部分の明るさとが違って見えます。
ところが切れ目があるにもかかわらず、同じひとつの環と意識して上下の環を同時に見続けると、やはり上下の環の明るさは同じ明るさに見えるようになるから不思議です。
環に注意が集中され、視線が固定されると背景との対比が行われなくなるからなのかもしれません。