BUONA GIORNATA!

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クラシックと文楽

2011年08月07日 | 
昨日買ってきた2冊を読了。

1冊目は「さよならドビュッシー」(中山七里著 宝島社文庫)。

第8回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
火事で祖父と従姉妹を亡くし、自身も全身大火傷を負ってしまった16歳の少女。
資産家の祖父の遺産を2分の1、相続することになる。
包帯だらけで松葉杖をついて歩き、
全身に移植されたつぎはぎだらけの皮膚の痛みやひきつりに耐えながら、
ピアニストになることを誓って猛レッスンに励むが、
階段や松葉杖に細工をされ身の危険を感じる。
わずかの後、母親が事故で死亡・・・。
遺産相続絡みの事件か? 事故か? ピアノコンクールの行方は?

クラシックの曲の解説もけっこうあるし、運指などピアノを習っていた人やクラシックに詳しい人なら、私以上に楽しめるのではないでしょうか。唸らされる描写力!

ただ、途中から少女のピアノの先生が主人公に取って代わってしまったような感じもします。
謎解きも、読んでいると何となく中盤で気づくし。
でも、一気に読めました。 


続いて、「仏果を得ず」(三浦しをん著 双葉文庫)


文楽に懸ける若手義太夫の青春物語。
2年ほど前に京都で、そして1年半ほど前に宮崎で観た文楽作品がストーリの中に登場するし、実際この本は、公演の際にロビーでも販売されていました。

正直言って、文楽ってストーリーが「忠義」とか「恋愛」「心中」とだいたいお決まりのものだし、義太夫の語るせりふは耳馴染みのない言葉だし、観ていると眠くなる瞬間が何度かあるのですが、それでも義太夫の迫力と緊張感あふれる声や、迫ってくる三味線の音色に気圧されて、いつのまにか引き込まれているという。

芸と恋に悩みながら成長していく若手太夫の姿、応援したくなります。
たぶん、誰しも自分と重なるところを見いだすと思います。
何かに打ち込んでいる人や夢を追いかけている人は、芸に邁進する主人公と自分を重ねるでしょう。
先が見えず落ち込んだり、気持ちが揺れている人は、悩み揺れる主人公の姿に親近感を覚えるでしょう。

さわやかな読後感でした。

 

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