国鉄フライヤーズ

目指せカネ、ヒマ、若さ

ティー・パーティーと動物農場

2010-02-24 01:00:00 | 本、映画、イベント
スターリンのプロパガンダ


アメリカで今、二大政党より勢いがあり保守層の熱い支持を受けているのが「ティー・パーティー」。
独立が建国の理念の国。
英国からの独立革命の象徴「ボストン茶会事件」にちなんで名付けられました。

大きな政府、大企業、専門家、巨大メディアが国を支配することに対する国民の反対運動です。
共和党右派を中心とする保守層の草の根運動。

先日の大集会では共和党マケインのランニング・メイトだった元アラスカ知事のサラ(セイラ)・ペイリンが
演説し大喝采を受けました。

彼女は三年後の大統領選の候補者として現時点で認知されるに至りました。

所謂プラトン的な哲人政治、「真実は少数のものにわかっていればいい」という知性主義に対する反発です。
当然ですよね、哲人だって全知全能ではないし人間だったら欲だってある。

ブッシュ政権下、ネオコンといわれた人も実はプラトン的な知性主義思想です。
「他の国が核を将来に持つ可能性があれば先制攻撃していい」ってなもんですからね。
「俺がルール・ブックだ」といった審判が昔いたが、プレーヤーなのにルールも作る。

グローバル・スタンダードという不遜な押し付けも得意技。

そしてそれに変わった(変わってないか)オバマ政権も民主党政権として当然ながら大銀行、企業救済、国有化、
医療保険などの福祉政策、金融業の規制強化など大きな政府に舵を切りました。

私は個人的には小さい政府がいいと思いますが、一方で「一部のわかっている人たちが皆にわからないように
国家や世界を運営する」というやりかたにも興味を持ちますね。

選挙や世論調査で大衆の気まぐれに支配される世の中はなんだか嘘っぽい。
かといって一方日本の検察のように自分が正義の仕置き人だと勝手に思っている人たちに支配される国は嫌です。
ネオコンが自己中心的な正義で戦争を仕掛ける世界もこわい。

知性主義と反知性主義、大きな政府と小さな政府はの選択は永遠の課題なのかもしれません。

小さい政府の「新自由主義」は極端な経済至上主義で自滅しましたが大きな政府がそれに代わる解決策
とは思っている人は少ないですね。

共産主義やナチの社会主義みたいな全体主義破綻の記憶がまだ焼き付いているわけです。



そんなわけで?、今日の本紹介はジョージ・オーウェルの「動物牧場」。
村上春樹の「1Q84」(読んでいない)の元本「1984」の作者で全体主義に対する警鐘を鳴らし続けた人の
最高傑作小説と言われています。

人間が支配する農場を知性の高い豚が取って代わるという話。
豚は蹄の割れている下等動物で下駄を履く日本人はやっぱり下等な「チョッパリ」というのは
隣の国。
しかしオーウェルさんは豚を結構買っている。

余談ですが現下の欧州財政危機で破綻に限りなく近い諸国は豚君、はPIGSといわれてますね。
ポルトガル、イタリア(イタリア人はアイルランドだと言っています)ギリシャ、スペインの頭文字。

STUPIDというのもあるらしい。
スペイン、トルコ、英国(UK)、ポルトガル、イタリアそれにデュバイだそうです。

動物農場の話です。
物語は豚の長老、メジャー爺さんの遺言から始まります。
「牧場の動物たちの不幸は支配する人間のせいだ。」

自分では生産せず、ひたすら消費し君臨する。
「この人間どもを取り除けば動物たちは開放される。」

そして動物たちはアル中の農場主を追い出し社会主義の実験が始まります。

頭のいい豚のスノーボールとナポレオンは立派なスローガンや規則を作り動物たちをうまく乗せて
働かせる。

最後は、結局豚たちが人間に取って代わり他の動物を搾取する「荘園農場」になるというお話。

ジョーンズはロシア帝国白軍、資本家。
豚のメジャー爺さんはレーニン。
指導者だが追放され名誉を剥奪される豚のスノーボールがトロッキー。

恐怖政治の指導者で神格化されることになる豚のナポレオンがスターリン。
で、雄弁家で腰巾着の豚スクイーラーがモロトフ。
ということでロシア革命の風刺なのですがとてもよくできているので、それ自体で上質の寓話になっています。

だからソ連共産主義以外の全体主義であるヒトラーでも、麻原でも、軍国主義でも、毛沢東でも、全共闘でも、
連合赤軍でも宗教裁判でも、あらゆる統制恐怖政治に対する警告書でもあります。

指導者の豚たちは悪賢くて煮ても焼いても食えない(済州島でも食いましたが)存在です。
しかしもう一方でショッキングなのは無知な他の動物たちです。
この寓話は彼らへのメッセージではないでしょうか。

プロパガンダに踊らされ自分自身を不幸にしているあわれなおバカさんたち。
洗脳支配を許さない個々の見識が大切だと改めて思わされます。

我々は大丈夫でしょうか。

名作です。



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