徒然にふる里を語る

 一市井の徒として、生まれ育った「ふる里」嬬恋村への思いをつづります。

こけし人形ー前編

2020-07-06 10:55:07 | Weblog

 九州熊本の豪雨災害には胸が痛む。嬬恋村も昨年大規模災害に襲われているので、他人事ではない。「かって経験したことの無い」という言葉が頻繁に使われるが、新型コロナにしても自然災害にしても、想像もし得なかったことで、次にどう対処するかで、政治や個人の真価が問われるということか。

 昨年の台風での倒木被害を見て、私も家の東側のカラマツが急に気になりだした。そこで、所有者の了解を得て、数本切らせて貰った。50年を超える年輪を見ると、私の家の方向に傾いていたので、風台風がくれば直撃もありそうだった。自分にできることはこんなことしかないのだが。

 今日は、私の東京での高校生活を掲載します。一連の物語も残すところ2話となりました。

     こけし人形-前編

 久しぶりに降り立った鷺宮の街は、八月の終わりにも拘わらず、西日を浴びて真夏の夕暮れを感じさる。故郷では、小川の岸辺に生えたススキの穂が、山から吹き下ろす風にそよいでいたのに。嬬恋とは大分季節が違う。見慣れた定食屋の換気扇からは、何時もどおりに煙があがり、買い物篭をぶら下げた人々が行き交う。数台の自転車がベルを鳴らしながら、踏み切りを渡っていく。警報機が鳴る。車や人々の動きが止まり、上りの電車が入ってくる。

 夏休みが終わり、私は再び上京した。一ヶ月以上に及ぶ故郷での生活で、田舎の少年に戻った感覚が、街を歩いているうちに徐々に研ぎ澄まされていく。帰郷の前日に寄った床屋の店先で、主人が柄杓(ひしゃく)で水を打っていた。私はこんにちはと声を掛ける。主人は愛想よく返事を返す。まさか私の顔を覚えてはいないだろうに、流石は商売人だ。

 私はバスで終着駅まで出て、そこから上野行きの急行列車に乗った。バッグの中には駅前の土産物屋で買った小さな「こけし人形」が入っている。父親が下宿先に持って行くようにと、裏の畑でとれた野菜を荷造りしてくれたが、私は冷酷にもそれを断った。片手にバッグ、もう一方の手に重そうな包を持って上野の駅に降りるなど、それこそイナカッペではないか。私は2学期中には何とかカッペを卒業したと思っているのだ。(つづく)

 今日の写真は花識別アプリで撮ったナデシコです。これを間違えたら購入をキャンセルしようと思っていました。

 解説 エゾカワラナデシコ ナデシコ属の栽培品種 花期は6月から9月で、先が尾状になる苞(ホウ)が2対あり、下部の1対は大きい。がく片の長さは2~3cmとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿