徒然にふる里を語る

 一市井の徒として、生まれ育った「ふる里」嬬恋村への思いをつづります。

急行列車ー前編

2020-06-26 11:05:29 | Weblog

昨日から、テレビが浅間山の噴火警戒レベルが2に引き上げらえた、と繰り返し報じている。私たちの生活には何の変化もないのだが、自粛が緩和されこれからシーズンを迎えるという時期に、ダメージを心配している。

 火口から概ね2kmの火口周辺規制で、生活や観光には大きな影響はない筈だが、今後の推移を見守るしかない。村の防災行政無線が「気象庁などの情報に注意する」よう呼びかけている。日本の活火山で最も研究が進んでいる、と言われる浅間山なので、予知は可能だろう。

 私のホームページ閉鎖に伴い、そこに掲載した憧れの東京での高校生活を徒然に再掲してきた。残りも3編なった。56年前の話なので、おとぎ話みたいだ。1学期が終わり、帰省する。上野駅から急行列車で長野原草津口、そこから大前まで国鉄のバスに乗った。

  急行列車-前編

 プラットホームは線路に淀む夏の陽を映し、身の置き所が無いほど蒸し暑かった。行き交う人々の汗の匂いで目が眩みそうだ。スピーカーから流れてくる到着列車のアナウンスが、ぼんやりとした頭の中を掠めて行く。上野の駅は夏の盛りにじっと耐えている。3月末に降り立ってから4ヶ月が過ぎた。山手線の窓から眺める景色も大きく変わっていた。満開だった堤のソメイヨシノは濃い緑に変わり、春の面影を完全に失っている。

 初めての帰郷だ。昨日から学校は夏休み入った。私は上野駅の15番線で田舎に向かう列車を待っている。半袖のワイシャツに黒の学生ズボン。校章の入った学生帽を被り、革靴を掃いている。普段の通学スタイルである。当初はラフな格好で帰ろうと思っていたが、下宿先の長女に、学校の制服の方が両親は喜ぶと言われ、そうしたと言う訳だ。

 上京の折りに持って来たカバンの中には1学期の成績表が入っている。担任は成績表を渡すとき、慣れない環境で頑張った方かなと言ってくれた。私も自分なりに満足する結果だった。成績表は点数表示なので両親には解らないと思うが、これは見せようと思っている。毎月仕送りをしてくれる両親に対するせめてもの恩返しだ。(つづく)

 今日は深山に咲くコイチャクソウです。嬬恋らしい野草ですね。

 

 


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