子供の頃、家族の期待を一身に担って育てられた子供。
その子のために家族は多くのことを犠牲にしたりする。
多くの場合、それがストレスとなってその子供に蓄積される。
常に自分はこうあらねばならないという重圧が自分本来の感情を心の奥底に押し込めてしまい、仮面に覆われた人生を送るケースが多い。
勿論そうでないケースの方が多いだろうが、確立した自分を構築できない弱い人間はそれが非常な重荷になる。
性格的にも傲慢と卑屈が同居して激しく揺れ動く。
思い込みと現実のギャップを埋めることが出来なくなる。
今回の幼稚園児2名を殺害した中国人女性は、中国の山間部の貧しい家に7人兄弟の末っ子として生まれ、秀でた能力の故に家族の期待の星だったらしい。
韓国語や英語にも通じていたとか。
ニュース映像に見る彼女の眸は理知的な輝きを放っているように見えたのは私だけだろうか。実際には狂気と化した輝きだったのだ。
言葉や文化の壁の厚い日本という異国で、そういった性格が高じて極端な思い込みと凶行を呼んでしまった。
人間は社会的動物といわれるのは単独では生きれないことを意味すると思う。
彼女は被害者と自分の家族をも犠牲にしてしまった。
何故思いとどまることが出来なかったのか。
思いとどめさせる日常のコミョニケーションが無かったことが残念でならない。
仮面に覆われた期待の星の心の内は、他人にはそんな異常が宿っていたとはまったく見えなかったのかも知れない。
加害者の心のうちも垣間見える気がして悲しい。