今日も、前回の続きで、鈴木寛副大臣からの宿題、財務・経営センターの役割を、可能な部分は数値で示すということでしたね。
仕分けでは、経営相談事業については廃止をして各大学において民間のコンサルタントの活用という結論でした。
まず、読者の皆さんには、5月4日のブログ「インタビューの準備(その1):なぜ大学病院経営の適切なコンサルテーションは民間では限界があるのか」を思い出していただきましょう。
このブログでは、
大学病院の経営のコンサルテーションを民間会社に頼むことは、すでに多くの国立大学や大学病院で行われてきたが、高い金額の割には、概して失望を感じるものが多かったこと。
その理由としては民間では
・大学病院の使命機能の達成まで含めた経営の相談・助言は困難
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、ベンチマーキングができない。
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、適切な経営相談や政策提言に必要な分析・研究ができない。
・大学病院の現場に即した職員の能力開発は困難
・ネットワーク機能を活用したコンサルテーションは困難
・コンサル料が高額で、財務的に困窮している大学病院では困難
・国に対する政策提言機能を持たせることは困難
であることが考えられること。
また、国では、そもそも有能な外部人材を集めてチームを作ることは困難で、適切な相談事業は不可能であること。
大学病院の経営の危機的な状況を打開するためには、民間ではなく、しかし国からも一歩離れた融通性のある中立的な第三者機関において、有能な外部人材を集めて大学病院の経営支援に特化したチームを作り、現場に即したデータを分析・研究しつつ、ネットワーク機能を活用した、健全かつ自立的な経営と使命機能の達成の両立を促すための相談・助言機能を持たせ、同時に国に対する政策提言機能を持たせることが最善の方法
というようなことをお話しました。
このブログでは、金額的なことをお話しませんでしたが、今回は少し触れておきましょう。ただし、コンサルテーションの料金はピンからキリまであって、正確な金額を出すことはなかなか難しい面があります。法人化後間もなくの時期に、某国立大学が有名なコンサルテーション会社に事務業務の見直しを頼んだ例では、約8000万円もかかったと聞いています。これは三重大学ではとても支払うことのできない金額です。
そんなことで、数値をお示しするためにはやはり大胆な仮定が必要ですが、仮に、1つの問題解決をコンサル会社に頼んだ場合、2000万円かかると仮定しましょう。42附属病院ですと単純計算で8億4千万円になります。また、経営相談は、大学病院以外の大学経営に対しても有効であると考えられ、附属病院を持っていない大学も含めて86国立大学がコンサルを受けると仮定すると17億2千万円の出費になります。
財務・経営センターが有能な経営支援チームを形成してコンサルをすれば、同じノウハウを全国立大学に同時に提供することができ、全大学にかかる費用総額が2000万円で済む可能性があります。そうすると、コンサル1件につき、8億2千万円~17億円の経費の節減ができることになります。
コンサルの件数が増えれば、さらに節約効果は大きくなりますね。たとえば5件扱えば、41億円~85億円の節約となります。
このように、国立大学がバラバラにではなく、いっしょに共通の経営改善に取り組むことによってスケールメリットが生まれ、経費を節減できることは他にもたくさんあると思います。このような取り組みは、約一兆円の借金を承継した国立大学の自立化を阻害するものではなく、経費の節減によってより健全な経営を図ることで、むしろ自立化を進めるものです。
そして、仕分けの結果どおりに財務・経営センターの業務を廃止することは、何ら税金の無駄使いの防止にはならず、逆に、財務・経営センターが、融資・交付、分析・支援、提言等の機能を有機的・一体的に行うことによって生み出される相当な金額(大胆な仮定が入りますが数百億円レベルで)の節約効果、あるいは、交付金削減に伴う大学や附属病院の機能低下をその金額分防止できる可能性を、ゼロにしてしまうことになります。
国の一般会計から措置される施設費が全く足りない国立大学は、そして、夕張状態で法人化を強いられた上に交付金を大幅に削減された附属病院は、財務・経営センターのような第三者組織による経営支援や経費の節減効果を、多少なりとも傷の手当てに当てることができ、交付金削減や予算の不足に伴う機能低下を防止して、最終的には税金の余分の投入や国債の発行を押さえることにつながります。
事業仕分けの本来の目的は、天下りや事業の丸投げをなくし、税金の無駄使いを押さえることが目的ではなかったのでしょうか?財務・経営センターの事業の廃止は、この目的と逆行するものです。
仕分けでは、経営相談事業については廃止をして各大学において民間のコンサルタントの活用という結論でした。
まず、読者の皆さんには、5月4日のブログ「インタビューの準備(その1):なぜ大学病院経営の適切なコンサルテーションは民間では限界があるのか」を思い出していただきましょう。
このブログでは、
大学病院の経営のコンサルテーションを民間会社に頼むことは、すでに多くの国立大学や大学病院で行われてきたが、高い金額の割には、概して失望を感じるものが多かったこと。
その理由としては民間では
・大学病院の使命機能の達成まで含めた経営の相談・助言は困難
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、ベンチマーキングができない。
・大学病院の詳細なデータを持ち合わせていないので、適切な経営相談や政策提言に必要な分析・研究ができない。
・大学病院の現場に即した職員の能力開発は困難
・ネットワーク機能を活用したコンサルテーションは困難
・コンサル料が高額で、財務的に困窮している大学病院では困難
・国に対する政策提言機能を持たせることは困難
であることが考えられること。
また、国では、そもそも有能な外部人材を集めてチームを作ることは困難で、適切な相談事業は不可能であること。
大学病院の経営の危機的な状況を打開するためには、民間ではなく、しかし国からも一歩離れた融通性のある中立的な第三者機関において、有能な外部人材を集めて大学病院の経営支援に特化したチームを作り、現場に即したデータを分析・研究しつつ、ネットワーク機能を活用した、健全かつ自立的な経営と使命機能の達成の両立を促すための相談・助言機能を持たせ、同時に国に対する政策提言機能を持たせることが最善の方法
というようなことをお話しました。
このブログでは、金額的なことをお話しませんでしたが、今回は少し触れておきましょう。ただし、コンサルテーションの料金はピンからキリまであって、正確な金額を出すことはなかなか難しい面があります。法人化後間もなくの時期に、某国立大学が有名なコンサルテーション会社に事務業務の見直しを頼んだ例では、約8000万円もかかったと聞いています。これは三重大学ではとても支払うことのできない金額です。
そんなことで、数値をお示しするためにはやはり大胆な仮定が必要ですが、仮に、1つの問題解決をコンサル会社に頼んだ場合、2000万円かかると仮定しましょう。42附属病院ですと単純計算で8億4千万円になります。また、経営相談は、大学病院以外の大学経営に対しても有効であると考えられ、附属病院を持っていない大学も含めて86国立大学がコンサルを受けると仮定すると17億2千万円の出費になります。
財務・経営センターが有能な経営支援チームを形成してコンサルをすれば、同じノウハウを全国立大学に同時に提供することができ、全大学にかかる費用総額が2000万円で済む可能性があります。そうすると、コンサル1件につき、8億2千万円~17億円の経費の節減ができることになります。
コンサルの件数が増えれば、さらに節約効果は大きくなりますね。たとえば5件扱えば、41億円~85億円の節約となります。
このように、国立大学がバラバラにではなく、いっしょに共通の経営改善に取り組むことによってスケールメリットが生まれ、経費を節減できることは他にもたくさんあると思います。このような取り組みは、約一兆円の借金を承継した国立大学の自立化を阻害するものではなく、経費の節減によってより健全な経営を図ることで、むしろ自立化を進めるものです。
そして、仕分けの結果どおりに財務・経営センターの業務を廃止することは、何ら税金の無駄使いの防止にはならず、逆に、財務・経営センターが、融資・交付、分析・支援、提言等の機能を有機的・一体的に行うことによって生み出される相当な金額(大胆な仮定が入りますが数百億円レベルで)の節約効果、あるいは、交付金削減に伴う大学や附属病院の機能低下をその金額分防止できる可能性を、ゼロにしてしまうことになります。
国の一般会計から措置される施設費が全く足りない国立大学は、そして、夕張状態で法人化を強いられた上に交付金を大幅に削減された附属病院は、財務・経営センターのような第三者組織による経営支援や経費の節減効果を、多少なりとも傷の手当てに当てることができ、交付金削減や予算の不足に伴う機能低下を防止して、最終的には税金の余分の投入や国債の発行を押さえることにつながります。
事業仕分けの本来の目的は、天下りや事業の丸投げをなくし、税金の無駄使いを押さえることが目的ではなかったのでしょうか?財務・経営センターの事業の廃止は、この目的と逆行するものです。
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