ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

地方国立大の疲弊がわが国の競争力を低下させる(その1)

2011年12月19日 | 科学

 12月13~16日にパシフィコ横浜で「日本分子生物学会」という大きな学会が開かれ、私は15日(木)のフォーラムでしゃべる機会を得ました。19時50分からという、とっても遅い時間の発表。研究者の皆さんはほんとうに熱心だなあと、改めて感心。

 分子生物学の研究者ではない私がどうして? と思われる人もいるでしょうね。私も、場違いかもしれない、と心配しつつ、この学会に臨みました。

 フォーラムのテーマは「世界に通用するチャレンジングな研究とイノベーション力強化に共通して必要なものとは?」 なかなか高尚なテーマですね。オーガナイザーは三重大学生物資源学部の田丸浩先生と、奥村克純先生。私が学長時代からよく知っている先生方です。

 前半は、東大名誉教授で、理化学研究所研究顧問の和田昭允(あきよし)先生の「世界に通用するチャレンジングな研究」というお話。和田先生はDNAの自動解析装置の開発などで、世界的に超有名な生物物理学者ですね。

 最初に和田先生がDNAの自動解析装置の論文を投稿した時は、レフェリーから不可の判定をされたそうです。和田先生はそれに敢然と反論。編集者は再投稿を促したものの、和田先生は他の有名誌に投稿して、そちらで掲載されたとのことです。掲載しなかった学術誌の編集者は後悔したことでしょうね。

 さて、引き続いての私の話は、「日本の大学におけるイノベーション力強化について」です。でも、和田先生のハイレベルの話とはうって変わって、泥臭くて下世話な類の話。

 今年の7月4日の日経新聞に掲載された「質高い論文 日本シェア低下 イノベーション力強化急務」という見出しの私の投稿記事を読んで、田丸さんと奥村さんが私に声をかけた、というのが、私がこの学会でしゃべることになったきっかけのようです。

 時間が時間だけに、聴衆の数は期待していませんでしたが、それでも40人ほどの皆さんが熱心に聞いてくださいました。ツイッター仲間の茨木大農学部准教授の豊田 淳(あつし)先生も、わざわざ聞きにきてくれました。講演の後で、彼には「ほかの全ての学会でも話をされるべきですよ」と言っていただきました。そんなことで、このブログでも、さっそくご紹介しようと思います。

 なお、この学会では撮影・録音禁止とされていたので、残念ながら写真は撮っていません。けっこう厳しいですね。たぶん研究者のプライオリティー(先取権)優先に対する配慮なんでしょうね。でも、私の発表はプライオリティーなんて関係ありません。私の主張ができるだけ早く広く伝わって、少しでも国や地域が動いてくれればいいと思っています。

(つづく)



 

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