さて、ドン小西との対談も、いよいよ佳境に入ってきました。
前回までに、ドンと私との対談の中で、「地域固有の”粋”を磨け」「淘汰される前に変身⇒国際展開⇒進化せよ!」というメッセージを投げかけました。この次は、司会者の誘導で、教育についての対談へ。掛け声だけでは、物事は変わりませんからね。遠回りであっても、教育から変えていかないと変わりません。
ドン小西も名古屋学芸大学の講師をし、教育については非常に熱心ですし、また、私ももちろん教育者としてずっとやってきたわけですから、教育について語らないわけにはいきません。
今回の東日本大震災で、ドンは被災地に出向き、学校の生徒に授業を受け持ったとのことです。彼が被災地の生徒たちに伝えたかったことは、「無から有を創る」こと。被災により、何もかも無くなったと嘆くだけでなく、何もない状態からどうしたら食べていけるのか、他人から支援を得るにしても、どのように訴えたら支援が得られるのか、彼自身が無から有を創ってきた人間なので、ゼロから生きる方法を子供たちに伝えたかったとのこと。ドンは、そのために、学生たちとけっこう緊張感のある授業をしたということです。
そして、三重大学と関連して、彼が東京の桜美林大学の学生と三重大の学生のコラボで、三重の観光を現場で実際に体験して観光学を学習するプランを提案しました。これは、非常に具体的な提案ですね。やはり、理念的な掛け声だけではなく、具体的な改善策を提案して初めて、この種の講演会や学会の意義があるのだと思います。
この桜美林大学と三重大の学生の交流プランは、まだ、案の段階ですが、うまくいけば来年早々にも実現するかもしれません。
さて、次は例によってDr. Toyodaによる”翻訳”ですね。
私はドンがやろうとしている教育を、「相互啓発教育による、マネジメント、イノベーション、および創業精神に富む人材の育成」(Mutually Inspiring Education of Management, Innovation & Entrepreneurship)と”翻訳”させていただきました。「無から有を創る教育」の方が、一言で本質を言い表していて、わかりやすいかもしれませんけどね・・・。
実は、相互啓発教育による Management, Innovation & Entrepreneurshipの涵養は、まさに、私が学長の時に今回の地域イノベーション学会の会長である西村訓弘先生といっしょに創った大学院「地域イノベーション学研究科」の理念なんです。この大学院は、大学と地域との間の相互啓発教育によって、このMIEの3つのを涵養することを目指しています。地域企業のやる気のある幹部が多数入学し、大学の先生方と学生(地域企業の幹部を含む)、あるいは学生間でお互いに啓発しあえる、今までにない交流の”場”が形成されつつあると感じています。
私は、このようなManagement, Innovation & Entrepreneurshipの3つを相互に啓発することのできる教育の場を、小中学校や高校、あるいは学部教育、生涯教育へ、あるいは地域教育や産学官民連携の場へ、ドンドン広げていくべきであると思っています。
そして、このMIE教育を三重県全体へ、そして日本全体へ広げていくことが、今回創設された「地域イノベーション学会」の目的ということになると思います。
ドンが今回何度も繰り返した言葉は「僕は言ったことは必ず実行する人間です。」とうこと。私も、最後に、何事も実行して初めて意味があり、この学会は、掛け声だけではなく、実行する学会にしようではないか、ということを申し上げました。
対談の締めは、司会者による対談のまとめ。「三つのMIEで三重を世界に売り込め!」ということを、二人のメッセージとして伝えていただきました。ブログの読者の皆さんも、もうお気づきになっておられると思いますが、対談でお伝えしたかった3つのテーマを私が”翻訳”した頭文字が、すべてMIEになっていますね。これはドン小西流の美学である”粋”にならった、Dr. Toyoda流の”粋”のつもりなんです。