レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「石油に変えて電気を!」... と思ったら電気が足りない! の巻

2022-01-30 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

先日、Nスタを見ていてふと気がつきました。ガソリン価格が急騰していてリッター170円超とか。それで政府が、ガソリンの元売り業者に補助金を出して価格のさらなる高騰を防ごうとしているそうですね。

ここのところずっとニュースになっていましたが、あまり関心がない分野だったので、なんとなく見ていただけでした。でも気がついてみると、こちらでのレギュラーガスのリッター価格は270クローネなんです。

日本円に換算すると、およそ240円...  というわけで、これもアイスランドの現実です。私はそれほど車を長距離は動かしませんので、それほどでもありませんが、車を使った仕事をされている方々が悲鳴を上げているのは、日本と同じです。




滝は観光スポットですが、同時にエネルギーの生みの親
Myndin er eftir Khamkeo_Vilaysin@Unsplash.com


今アイスランドでは、E V–電気自動車がはやりになっていて、おそかれはやかれガソリン車は消えていく運命のようです。レイキャビク市などは、早くも市中のガソリンスタンド数の縮小と、EV用の充電スタンドの増設を計画しているとか。

そういう目で周囲を見てみると、最近やたらにテスラーが目につきます。息子がこの間「やたらにテスラーが多いけど、あれ超高いんじゃないの?」と言ったので、こちらでの小売価格を調べてみると、スタンダードなタイプの標準装備だと、約570万クローネ。

これはカローラのセダンと同じくらいの値段で、別に特に高価格ではありません。っていうか、高いけど、車は全般的に高いのです、ここでは。

ちなみにマツダの100%EVのMX-30は最低価格が4百万弱。安い方の部類です。まあ、なんだかんだと装備を付け足して、結局は5百万強になるでしょうが。

多分、政府がEVに関しては援助金を出して価格を下げているのではないかと想像しています。日本だと、購入者が援助金を受けるシステムですか?こちらでは、おそらくディーラーに補助が行っているのではないかなあ?と。




もうちょいガンバレ! のマツダMX-30
Myndin er ur Europe.Autonews.com


ワタシ的には、EVへの転換はまだもう少し待ちます。MX-30の走行距離は今のところたったの200キロ。やっちゃえニッサンのリーフの半分ですね。しかもAWDはないし。これではまだまだ試作品の感を拭えません。

あと三、四年すれば、全般的にEVの性能は飛躍的に向上する、というのがワタシの予想で、早物買いはしない方が良いかと考えています。

だいたい、今のEVはデザイン的にも、ガソリンエンジンの代わりに電気モーターを詰め込んだだけじゃないですか?もっとEVだからできる、というような斬新なデザインの車が、これから出てくると思うんですよね。

もうしばらくは我慢の子で、エコロジストから白い眼で見られても、格好いいマツダのガソリン車CX-3を手放さずにいるつもりです。マツダさん、頑張ってください。MX-30をまずは走行距離を伸ばし、AWDを加え、できれば4ドアタイプも作って欲しいです。絶対買いますから。

さて、EVの急速な普及は、もちろん地球温暖化に対する危機感が増大する中でのことで、石油関連エネルギーの消費を減らし、クリーンな電気エネルギーへ切り替えていくことが「地球にやさしい」ことになるとの意識が高まってきたことによります。

その観点で言えば、車だけが問題になるわけではなく、船や飛行機、製造業、あるいは酪農業などでの石油関連エネルギーの消費についても同様のことがいえます。

実際に、多くの産業で石油の使用から、電気エネルギーへの転換が試みられているとのことです。詳しい資料は、今は手元にありません。悪しからず。

そして、その結果、ある新たな問題が浮上してきました。電気エネルギーが足りなくなってきたのです!

これは意外、というか足元すくわれた感じがします。アイスランドは水が豊かで、地形も水力発電に適していることから、電気は豊富でしかも安価なのです。そのため、大量に電気を消費するアルミ工場などがアイスランドへやってきているのです。それが電気不足とは...






最近増えてきたEV用の充電駐車場
Myndin er ur Mbl.is/Golli (u)
Ur ReykjavikGrapevine.is (n)


アイスランドの電気発電の元締めであるLandsvirkjunランドゥスビルキュンのハルズル・アルトゥナソンさんの話しによると、「発電量を、現在の少なくとも1,5倍にしなければ、電気不足が深刻化することになります」

実際に、電気の供給をしている諸会社が、供給制限を始めていると報道されました。電気の供給は勝手に行なっているわけではなく、大口の消費者 –当然、大きめの企業になりますが– は、「これこれの量」というように、事前の契約を結んでいるのだそうです。

電気の供給制限が行われる場合、当然のことながら?これらの大口消費者が優先されることになると、小規模の会社や、一般の住民は後回しにされかねないようなのです。

アイスランドといえばレイキャビクのように、地熱発電を利用した温水暖房が売り物のように言われているのですが、実は田舎の方では暖房はほぼすべて電気で賄われています。

酪農業の家畜の舎屋などでは、石油暖房を使っていたらしいのですが、これもどうやら電気へと移り変わっている途上のようです。

とにかく、一般家庭が電気供給の制限の対象になると、暖房そのものに影響が出てくるわけで、これは生活上のかなりの大問題になります。そこで、エネルギーを管轄する環境・資源省と同省の下にあるエネルギー問題所は、一般家庭が供給制限の対象にならないよう、電気供給会社に要請を出しました。




東部のカウラフニューカ発電所 約二十年前の建設時に大議論
Myndin er ur East.is


となると、今度は大口の電気消費企業等への供給が不十分になります。その結果、すでにいくつかの産業では、生産活動やサービスに影響が出始めています。

産業連合Samtaka Idnadarins サムターカ・イズナザリンス という経団連のミニ版のような組織があるのですが、そこのシーグリズルさんという担当者は、「海産物加工の工場、インターネットのデータ処理会社、それにアルミ精錬工場などで、すでに生産量の低下や、サービスの低下が起こっています」

あちらを立てれば、こちらが立たず。当たり前ですよね、全体量が不足しているのだから。

で、先のランドゥスビルキュンのハルズルさんなどは「だから新しい発電所が必要です。早く建設にかからないと」と言うのですが、今度は、それは環境破壊に繋がりかねません。

そうすると環境保護派の人たちからは「新しい発電所は必要ない。供給の公平化を図るべきだ」などという声が上がってきます。

というわけで、地球温暖化をストップするために「石油の代わりに電気を使おう!オーッ!」というだけではすまないものがあるようです。

どさくさに紛れて、自分に都合の良い利益誘導をしようとする輩はどこの社会にもいます。きちんとした情報を開示し、十分な議論をし、国民が納得できる方針を決めてもらいたいものです。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
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2 コメント

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Unknown (山口慶太郎です^^、)
2022-01-31 17:16:27
誕生日コメント🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜🐜ございます、

そうですね〜、ほんとにいつも思うことは、車アホほど大き過ぎません?
それとシェアしたら、そもそも車の台数少なくていいとも思うんですけど、車にキーつけっぱなしで置いておくんですよ誰でも乗れるように、ぼくこれ昭和50年代に発想してたんですけどね〜、なかなか現実化しませんね(笑)
ただ、黒電話の時代、この受話器を外へ持ち出せたら、どれだけ有難いかって思ってましたけど、携帯電話がノーマルになりましたからね〜、40年待ちましたよ(笑)
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ブログ当事者 (Toshiki Toma)
2022-01-31 20:41:37
山口さん、コメントありがとうございます。

なるほど、面白い考えですね。こちらでは、電動スクーターはそういうシステムになっていて、あちこちにスクーターが散在しています。

車の場合、犯罪使用を防いだり、自己責任を曖昧にできないようにする対策も必要でしょう。

それでも、そういう根底からの変化を実現しないと、何も効果のある結果はもたらされないでしょうね。
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