レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

夏 安堵と心配の情景

2021-06-20 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。残念ながら、日中気温が10度に届かない「寒い夏」になってしまったレイキャビクです。五月のあの気温はどこへいってしまったのか?太陽はどこへいってしまったのか?というレイキャビクなのです。

先の木曜日は6月の17日でしたが、この日はアイスランド共和国の独立記念日で祝日でした。昨年はコロナの影響で、集会場は五百人が上限だったのですが、今年はさらに厳しくなり、三百人まで、とされています。

かなり状況は良いのですが、迂闊に緩めすぎると... という昨年の教訓がありますので、これは理解できます。




まだまだ用心深く行われた独立記念日の式典 大統領、首相、ビショップらの要人
Myndin er ur Frettabladid.is/Valli


もっともコロナについては着実に快方へ向かっています。独立記念日時点では、十六歳以上の住民のうち、52,1%の人が二回の接種をおえています(Jansenの場合は一回)。一回接種の人(私も)は28,8%となりました。

これに加えて、すでにコロナに感染して抗体ができている、という人が2,2%おり、トータルすると十六歳以上の住民の八割強がコロナに対しての、それなりの対応ができていることになります。

というわけで、ソーシャルディスタンスは2メートルから1メートルへ縮小。スーパー等のお店、あるいは職場でのマスク着用義務もなくなりました。まあ、ワタシはそれでもマスクを使っていますが。できる用心はした方がいい。

海外からのツーリストの皆さんも戻りつつあります。WOW Air が潰れた後にできたPlay航空。いつかブログでご紹介したことがありますが、そのPlay Air機も、ようやくアイスランドへお目見えしています。初商業フライトは今週の木曜日の24日に予定されているそうです。

Come out and PLAY with us!


観光業界の偉いさんが先日「夏以降は私たちは数千という単位で人を雇うことになるでしょう」と話していました。

多くの失業中の人は、状況が回復すれば元の職場へ戻る、という約束をもらっています。早くそうなることを願います。




やっと本物がやって来た Play機
Myndin er ur Frettabladid.is/Anton_Brink


さて、六月中旬というこの時期は、アイスランドでは夏休みへの入口の時期となります。前にも何度か触れたことがありますが、こちらでは夏休みはみんなが一ヶ月、ガッツリ取ることが当たり前になっています。

私が働いている教会という職場環境は、さらに特殊なものがあり、活動期がはっきりと「夏」と「冬」に区分されます。宗教的観点からすると、非常に不思議な現象で、神様の働きに夏も冬もないだろう、と思いますよね、普通は。

私もそう思いましたし、今でもそう思います。ですが、皆がバケーションへ行ってしまう、という現実に見合った活動をデザインする時、どうしても教会の活動にも「ハイ・シーズン」と「ロー・シーズン」ができてしまうのです。

ハイ・シーズンは冬、ロー・シーズンは夏というのが、教会の定番です。ですから、今くらいから、私の周囲にいるご同業の牧師さんたちは夏休みへ入っていきます。

私の居候先のブレイズホルトゥス教会の牧師さんは、独立記念日から、八月の第一の週末明けまでバケーションに入りました。長っ!

対して、私の方はまだ夏休みの計画とかは何も決まっていません。これ、毎年のことなのですが、私の職務に関しては、夏は閑散期ではなく、むしろするべきことが多いことがしばしばなのです。

というのは、私はこの五、六年の間、難民申請者の人たちとの集会、あるいは支援活動に携わっています。本当は私は「移民」の人たちへの働きをする役割なのですが、「緊急性」「システムの盲点」の故に、難民申請者への働きを優先することのなっていたのでした。

そして、難民申請者の流れに夏休みはないのです。っていうか、むしろ夏は流れが盛んになるのです。




難民申請者のギリシャへの送還に反対する集会 今月始め


昨年は例外で、コロナ故に国境を越える人流は減少しました。それでも昨夏のコロナの谷間(感染者数が減少し、国境を越えた行き来が許された時期)には、ひと月で千人を越える難民申請者がやってきました。

そして今、それから八から九ヶ月後になり、申請者の人たちが次々と「国外退去」の通知を受ける時期になっているのです。

参考のために、今年2021年になってからの難民申請状況を見てみると、申請者数はトータルで151人。少ないですね。これは十一月以降のコロナの逆襲により、ヨーロッパ全般で、また国境管理が厳しくなったからです。

そして2021年での申請結果です。この中の過半数は昨年以降に申請されたものの結果ということになります。申請結果が出るまでには、数か月から一年以上かかるのが普通ですので。

細かい説明は省きますが、結果総数は403、そのうち滞在許可は60、拒否が343となっています。

で、難民申請者に関する事柄は、私の職務に関わるものでもありますの、これらのすべてが、なんというか真剣に考えるべき事柄であるのですが、そのうちのいくつかのケースが、より身近なものとなります。

それは、これらの拒否を受けた総数の中には、私のお世話する教会の集会の出席者も含まれているからです。

今、ざっと周囲を見回すと、小さな子供ふたりを含む十人ほどが強制送還待機の状態にあります。これらの人たちは、たまにではなく、毎週集会に参加している人たちです。

私のところの集会は、もともとそんなに大きなものではなかったのが、コロナの影響をもろに受けて、この春に通常の集会ペースに戻ってからも平均二十人強くらいの状態です。

そういうサイズの集会で、半数が「送還待ち」というのは、正直ヘビーなものがあります。

もっともこれは、今に始まったことではなく、そもそも集会の始まり時には100パー、そういう状況の人たちばかりでした。この仕事に携わる限り、避けて通ることはできない現実なのです。




教会の集会 ソーシャルディスタンスは尊重


最近は、送還反対のプロテストなどに「じゃま」されないように、当局は強制送還を事前通告なしの抜き打ちで行います。つまり、今週教会であった人が、次の日曜日にはいない可能性が常にあるのです。

そういうことがあるので、この時期に「夏休みじゃ」といって、集会をお休みにすることがとても難しくなるのです。

統計上では10人として表される数値は、実際には生身の人間です。毎週会っていれば、当然人間同士の心情が通うようになります。この「送還待ち」の状況は、私や集会の協力者の人たちにとっても、心安らかになれない時期となります。

それでも、私たち教会にいる者たちは「頼るもの」がありますので、まだ救いはあります。「送還待ち」の人たちのすべてがそうとは限らないでしょう。

というわけで、コロナが収まりつつあり、国民生活が生き返り始めたのは大きな安堵なのですが、その一方では心にヘビなー事柄も再活性化してしまっているのが、この夏ということになります。それに、もうちょっと「暑さ」が欲しい。

ところで、先日本のニュースで、ミャンマーのサッカー代表が来日して帰国する際、ひとりの選手が出国間際に難民申請をしたということを聞きました。

日本の当局がきちんとこの人の話しを聴き、正しい判断をしてくれることを願います。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
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