レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

クジラ vs ヴァイキング

2013-09-12 05:00:00 | 日記
先週の土曜日の夕刻、アイスランドの北西部の半島のオーラフスヴィークという町とリーフという町の間の湾に、五十頭以上のゴンドウクジラが迷い込んできました。

ニュースで現地の人が携帯で取ったヴィデオを見たのですが、クジラたちは群れで泳いでいてどちらへ行けばいいのか分からない様子。パニック状態で海岸へと突進しようとします。

アイスランドは捕鯨の文化がありますし捕鯨も続けています。しかしもちろん迷い込んだクジラの場合は助けてあげようと尽力します。国際社会の目もありますからね。

ただ当日はあいにくのものすごい強風の悪天候で、思うような救出活動はできなかったようです。結果、十数頭のゴンドウクジラが海岸に打ち上げられてしまいました。数頭は浅瀬で力尽きたようです。

これだけの数のクジラが迷い込むのはそうはないことで、1985年以来の出来事だそうです。




陸に上がってしまった小型クジラのゴンドウ
-Myndin er úr Ruv.is-


ゴンドウクジラというのは最も小型のクジラでイルカのように見られることもある、とWikiには書いてありました。学術的には実際にマイルカ科に属するんだそうです。

さて、クジラたちが打ち上げられて息絶えてしまったことは可哀想なことなのですが、嵐が去ってみると、突然目の前に十数頭の新鮮なクジラが横たわっているわけです。

捕鯨国民であるアイスランド人たちは、この様子にヴァイキング時代への先祖帰りをしてしまったようです。ヴァイキング時代には冗談ではなく打ち上げられたクジラは一族郎党を救う天の恵みの食糧だったとのこと。

天候も少し納まり始めるとどこからともなく(大抵は近所の町からでしょうが)、ナイフ持参のヴァイキングたちが妖しげな光を目にたたえ、舌なめずりをしながら集り始めました。(この辺はワタシの想像です)

北西部自然局は「動かないからといって死んでいるとは限らない」と釘を刺すアナウンスをしましたが、別の当局関係者は「(そのような状況における)解体は、商業用の解体作業のルールには準じない」と食べること前提のようなコメントを出しました。要するに切り裂き方にルールはないということ。コワッ!

他の専門家は「ゴンドウクジラの肉には有機汚染物質(Organic Pollutants)が含まれているので、妊娠中の女性は食べないこと」というこれも食べること前提で?注意を喚起しました。調べてみたのですが良く分かりませんでした、この「有機汚染物質」が何であるのか。いかにも身体に悪い感じはしますが...

というわけで、か、にもかかわらず、と言うべきなのか迷いますが、正式に「個人用の消費に限りクジラ肉の取得を許す」というお触れが出ました。取得というのは要するにナイフや包丁で肉を切り取るということです。個人解体ですね。売ったりすると食品衛生管理法に引っかかり違法になります。

それにしても、魚を三枚におろすこともままならないワタシには想像もつきませんし、クジラの解体の心得のある人はそうはいないと思うのですが。が、ヴァイキング化したアイスランド人を止めることは出来ません。

ナイフ、包丁と中にはバケツまで持って参集したヴァイキングたちによってクジラたちは解体されていきました。




解体中のおじさんは経験者なのでしょうか?
-Myndin er úr Ruv.is-


わざわざレイキャビクから参加しに行った人もあるようです。(車で3時間はかかります)。Facebookの友だちの女性も参加したようで写真をアップしていました。結構奇麗な女性なのですが、お腹を裂かれたクジラ君の横でニッコリ笑ってポーズを取る足下は真っ赤な血の池。

こうなると、始めから夕食のことを考えていて真面目に救出しようとしなかったんじゃないのか?という疑惑も生まれそうですが、まあ、確かにニュースではひどい天候でしたので、そこまで疑うとバチがあたるでしょう。

でも、どうなんだろ真相は?

当日の国営放送ニュース、迷い込んだクジラのビデオをご覧になりたい方はこちら。

翌日の国営放送ニュース、先祖帰りしたアイスランド人のビデオをご覧になりたい方はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

コメント
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