レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

氷島 プリズン・ブルース(2)

2013-02-22 05:00:00 | 日記
前回ご紹介したように、アイスランドの刑務所は全体的に清潔で明るく、気が滅入るような刑務所のステレオタイプとは異なっています。
アイスランドでは六ヶ所の刑務所が運営されており、収容人数を増やすために新たにひとつを建設中です。

刑務所内での受刑者全体の数は約150人で、実はこれは刑務所全体での収容キャパシティそのものなのです。ここには大きな問題があり、それは追ってお話しします。この150人中の5-10人程度が女性です。なぜか毎年同じような数に納まるようです。

女性の受刑者は集められて特定の刑務所に収容されます。女性の刑務官が必要ですし、いろいろと男性とは違う待遇が必要でしょうから、それは納得できます。

女性の集められる刑務所は、ちっちゃな建物でレイキャビクと隣接するコーパヴォーグルと言う街にあります。牧師として何回か訪問したことがあります。一応施錠されていることを除けばゲストハウスみたいでしたね。ガードの人たちも親切で。



女性が収監されるちいちゃな刑務所
Myndin er úr Fangelsi.is

私が訪ねたのはアフリカ系の若い女性で、麻薬がらみの事件で検挙されました。(本人は無実を訴えていました。旅行でアイスランドに来たのだが、誰かが勝手に自分のスーツケースに麻薬を入れて運ばせたんだ、と。私には真偽はは分かりませんが、あってもおかしくない話しと思われました。皆さん、海外へ出る時は気をつけましょうね、冗談でなく)。

四年の懲役刑を受けたのですが、妊娠していて、服役してすぐに女の子の赤ちゃんが生まれたので、赤ちゃん共々生活していました。刑期が長い場合には里親が付くのが普通ですが、彼女のように外国人の場合は刑期を半分終えた時点で出国地に送還されるのが基本のルールなので、特例的に子供と一緒にいたのでした。

その刑務所の隣りが幼稚園なのですが、刑期の終わりの方では女の子も二歳くらいになっていて、その幼稚園へ通っていました。受刑者であるお母さん、毎日自分で送り迎えするんです。(つまり、外に出してくれるんです) 一度一緒にお迎えに行きました。幼稚園のスタッフとか変な目で見てるんではないか?と疑っていたのですが、スタッフも子供達も全然フツーで、にこやかに話しかけてくれていましたよ。この辺はこの国のいいところですね。

しばらくして刑期の半分を終え、それまで暮らしていたヨーロッパの国へ戻されましたが、今どうしていることか。元気でかつ面倒に巻き込まれずに暮らしてくれることを祈ります。

この女性と面談をしていた時期は、ある意味定期的に「ムショ通い」をしていたので、「こういう生活なのか」と納得したりビックリしたりできました。システムも現場のスタッフも可能な限りで人間的な接し方をしていたのは良い方向でのビックリでした。

日本の刑務所では...幸か不幸か一歩も足を踏み入れたことはありません。若い頃お世話になった宣教師の方は「教誨師」をされていて定期的に医療刑務所へ通っていらっしゃいましたが、守秘義務からか、あまりその話しはしてくれませんでした。

刑務所の問題はそんなに深く考えたことがなかったのですが、刑務所って基本的にどういう場所なんでしょうね?罰を与えて苦しめるための所か?更生を願って自分をリフォームさせるための所か?一般市民に害が及ばないように隔離するための所か?

基本的な質問と思われるでしょう。でも現在のアイスランドでの刑務所を巡る議論は、国会議員達のを見ていても、結局はこれらの質問を巡ってのものであるようですよ。
コメント
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