レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

氷島 プリズン・ブルース

2013-02-20 05:00:00 | 日記
今回はアイスランドの闇の部分を探る衝撃レポートです。大げさ。へへ)刑務所事情です。刑務所と言うのは考えてみればどこの国にもあるであろう施設ですが、もちろん刑務所がガイドブックに出て来ることは少ないでしょう。あるとしたらアメリカくらいのものなんでしょうか?

実はこのところアイスランドでは、刑務所の「空き」がなくなりパンク状態になっていることがよくメデイアで扱われます。またその管理状態などにも疑問をもつ声が聞かれます。そこで、刑務所事情の紹介を少ししようか、と思ったわけです。

ものごと順番がありますから、まずは全般的なご案内から。一回では書ききれないと思いますので、ゆっくりと腰を据えて。

現在アイスランドには六ヶ所の刑務所があります。これは国の施設です。レイキャビク近郊にふたつ。少し南に下がったところにふたつ。北の街アクレリにひとつ。西の半島のところにひとつです。

加えて現在建設中のものが、これもレイキャビク近郊にひとつあります。

これら六ヶ所でお世話になっている人たちは全部で約150人程度。その内、女性が毎年6-10人程度とのこと。

一番大きくて刑務所っぽいのは、レイキャビクから車で一時間ほど南に行った「リトラ・フレイン」という刑務所です。87人を収容することができるそうです。

レイキャビクのダウンタウンのど真ん中にも刑務所があります。これは黒の石造りでそうと聞かなければ刑務所とは分からないでしょう。1874年の建築で規模もそう大きくはありません。



レイキャビク、ダウンタウンの真ん中にある刑務所
Hegningarhus
Myndin er úr Fangelsi.is

アイスランドという国名と並べた場合、刑務所というのはとても不釣り合いなイメージがあるのではないかと想像します。それは刑務所が普通はオドロオドロしいイメージのところだからと思うのですが、アイスランドの刑務所は、どちらかというと明るい、清潔、コージー、というような感じの場所なのです。

実はワタシ、入ったことがあるんです。なんてね!受刑者としてではなく、面会人(牧師)としてですが。ちなみに刑務所、受刑者とその家族のために専門で働いている牧師さんもいます。私の方は移民関係ですので、私が訪問するのも例外なく移民か外国人が刑務所に入っている場合です。

「リトラ・フレイン」は二回くらいしか訪問したことがありませんが、確かに清潔だったし、暗ーいイメージはなかったですね。ガードの人なんかも目つきの鋭い人がいるのではないかとビビっていましたが、意外とみんな親切なおじさんたちでした。

難民申請者で、偽造パスポートを使ったために空港のチェックに引っかかる人がかなりいます。彼らは欧州経由で北米に行く途中なのですが、アイスランドで足止めです。不法出入国なので「リトラ・フレイン」に二週間ほど勾留される人が多いのですが、彼らに訊いても「ホテルみたいだった」というのをよく聞きます。

先日、この「リトラ・フレイン」から脱走した囚人がいました。一週間弱人のいないサマーハウスに潜伏した後、自ら出頭しましたが、これを期にまた観視体勢の見直し等が訴えられています。ここのところ、刑務所内で囚人間の計画殺人未遂等、映画もどきのビックリがいくつか起っていたのです。

清潔、明るい、コージーとは言っても刑務所ですからねエ。受刑者にも人権がありますし、更生の可能性も考えればきちんとした待遇がプラスに働くのでしょうが、居心地が保証されてしまうと、「また来てもいいや」なんて軽く考える輩も出て来るのではないかなあ?

罪と罰と許し。大きな問題です。
コメント
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