肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『あるスキャンダルの覚え書き』、観ました。

2008-01-15 20:52:38 | 映画(あ行)





監督:リチャード・エア
出演者:ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ

 『あるスキャンダルの覚え書き』、観ました。
ロンドン郊外の中学校で歴史を教えるベテラン教師のバーバラは、孤独な人生に
苛まれていた。そんな彼女は、新任の美術教師シーバに関心を示し、彼女のことを
日記に書き留めていく。やがて希望通りシーバと親しくなることに成功したバーバラ
だったが…。
 ケイト・ブランシェット&ジュディ・デンチというシブ好みの顔合わせ…、この玄人
受けしそうな2人の共演にして、想いの外“アブノーマルな(?)内容に驚いた。
映画は、男子生徒と新任女教師による“禁断の愛”に始まり、更に、年齢差のある
女性同士が“友情を超えた深い関係”へと進展するまで、あれよあれよと事態は
泥沼化し、2人の距離が近付けば近付くほどオレはドキドキしながら観てしまう(笑)。
それにしても、若く美しい新任教師が溺れる危険な情事と、それをネタに脅しをかける
孤独なオールドミスのシチュエーションは、普段ならエロ小説にもなりかねない
ところだが(笑)、この両者に掛かれば何と“スリリングな愛憎劇”へと変貌してしまう。
勿論、過度な期待をもって観るのは危険だが、彼女らの演技合戦は一見の価値ある
映画ではあると思うよ。
 さて、本作を観ていけば、その人間関係の構図において“あるひとつの特徴”が
あることに気付くはず。例えば、新しく赴任してきた美人教師に想いを寄せるオールド
ミスの古株教師の関係しかり、妻子を捨ててまで若いシーバへの性愛に走った
夫との関係しかり、また、そのシーバも退屈な家庭の日常から刺激を求め、一線を
越えてしまった教え子との関係しかり…、そこには自らの老いに対する劣等から
“若さへの憧れ”を抱く者たちの“醜悪”が見てとれる。そういえば、かつてこれと
“よく似た構図の映画”を観たことがある、ヴィスコンティの『ベニスに死す』だ。しかし、
これを『ベニスに死す』と比べるには、あまりに“その、愛の意味”が違い過ぎる。
『ベニスに死す』では、主人公が狂おしいほどに恋焦がれ、自らの命をすり減らしても
尚、“一途な愛”を止められなかったのに対し、本作では“愛”というより“支配”に近い…、
ゆえに、その想いが裏切れらた時、“激しい憎悪”へと変わってしまう。結果として、
シーバが最後に帰れる場所は“夫(家庭)”であり、そこだけに“本当の愛”があった
ということかもしれないが…、では、それをもって何を云わんとしているのか、今ひとつ
胸にググッとくるものがない。いや、それ以前に、オイラはここに登場する大人達の
誰一人として好きになれなかった。思うに、この物語で最大の犠牲者は、母親の
無責任な気まぐれから世間の白い目に晒される“シーバの子供ら”ではなかったかな。






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