肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『オープン・ウォーター』、観ました。

2005-12-20 20:41:59 | 映画(あ行)

オープン・ウォーター ◆20%OFF!

 『オープン・ウォーター』、観ました。
スーザンとダニエルは、ようやく取れた休暇を利用してダイビングへ。
しかし、彼らが海中遊泳を満喫して海面にあがってきた時、すでにボートは
彼らを残して去った後だった。足は届かない、岸は見えない…、彼らが
自分達の置かれた事態をようやく呑み込んだその時、無数の鮫が現れる…。 
 「サメの映画」と言って、真っ先に思いつくのは、スピルバーグの出世作
『ジョーズ』。数年前に最新CG技術を駆使して作られた『ディープ・ブルー』
なんていうサメ映画も面白かったですが、やっぱり本家の『ジョーズ』には
及ばない。で、今作『オープン・ウォーター』はというと、かの『ディープ・
ブルー』とは全く逆方向から、『ジョーズ』の牙城を崩さんと挑んでいる。
つまり、それは簡単に言ってしまうと、“デジタル”から“アナログ”へ…。
ここではあえて(?)我らに馴染み薄い無名俳優を主役において(←単なる
ギャラの問題かもしれないが…(笑))、これ見よがしのCG映像も封印する。
“実話”に基づく、ざらついたドキュメンタリータッチの映像で、“本物の
臨場感”を体感させるべく狙っているわけだ。見渡す限りの大海原、泣けど
叫べど水平線の彼方に、その声は届かない。空には太陽が燦々(さんさん)と
輝き、平静を装う海面の表情とは対照的に、海中では身の危険が迫ったことさえ
知らされず、“見えないサメの恐怖”に怯える二人‥‥。そして、映画では
主人公男女を“完全無欠のヒーロー”としてではなく、広大な海の真ん中に
取り残され、ただ助けを待つことしか出来ない“弱者”として描いているのも、
一層の恐怖心を掻き立てる。確かに、お話の面白さでは『ジョーズ』に遠く
及ばないが、サメの“リアルな恐怖心”という観点からみれば、決して引けを
取っていない。改めて大自然の前にした“人間の無力さ”と、“海の恐さ”を
思い知らされる一本だ。

 



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