肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ドラゴン・タトゥーの女』、観ました。

2012-02-13 16:36:43 | 映画(た行)

監督:デビッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、ステラン・スカルスガルド

 『ドラゴン・タトゥーの女』、映画館で観ました。
月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正行為を暴いたジャーナリストの
ミカエル。そんな彼のもとに、ある大財閥会長から40年前に起こった
兄の孫娘失踪件の調査依頼が舞い込む。連続猟奇殺人事件が失踪に
関わっていると察知したミカエルは、天才ハッカー、リスベットにリサーチ
協力を求める――。
 2時間38分の長丁場、それを映画館で観るのは相当覚悟(?)がいったが、
この内容ならば致し方ない。むしろ、この濃密な内容を、よくぞ2時間半に
まとめ上げたと言うべきだろう。ここ日本でいうところ、横溝正史ばりに
過去の事件にまつわる“呪われた一族”の内幕を描く上で、どうしても
その入り組んだ家系図がネックになってくるが、思いのほかスマートに
整理され、観ていて混乱することはない。想像するに、原作の方では、それら
一族の一人一人にきっちりスポットを当て、性格から生い立ちまで事細かに
描かれているだろうが、この映画ではその内の何人かを省略し、重要性の
高い人物のみに絞って描かれているんだろう。まぁ、その代償として
犯人が特定し易くなってしまった弊害もあるが、もしやデビッド・フィンチャー
監督からすれば、それも計算の内か――。と、いうのは、そもそもこの映画は
“犯人探し”に主観を置いていないのだ。事件の背景にある“闇の部分”を
如何にあぶり出すか――、それがこの作品のコンセプトだったはず。
事件の犯人探しのハードルを下げたせいで、観る側に“映画のテーマ”が
ぐっと見えやすくなった。それは、メインとなる“少女ハリエットの失踪事件”を
挟む形で、前後にたっぷり時間を割いて描かれる、主人公ミカエルと大物実業家
ヴェンネルストレムの対立を見ても明らかだ。 今も昔も、この世界を支配して
いるのは、“悪”であり、“闇の力”だ。そして、厄介なことにそれらの悪は、
決して表舞台に出ることなく、“闇の奥”に隠れて、人知れず鋭い爪を磨ぐ。
仮に、何者かその正体を暴かれそうになっても、その強大な力でもって
制圧してしまう。ならば、我々がそれに対抗する手段は――、法律?、警察?、
マスメディア?、いや、悪は、法の抜け穴を利用し、警察の追っ手から巧みに
逃れ、マスコミさえ支配する。残された道はただ一つ‥‥、鬼を狩るに鬼。
怪物(=不正者)を倒すには、自らも怪物になって立ち向かうしかないのだ。
ハッキング、盗聴、偽装等、数々の不正を擁して戦う者――、それがリスベット。
ドラゴンのタトゥーは、その“怪物の象徴”だろう。そして映画終盤、“現代の
悪”ともいえるヴェンネルストレムは、“更なる悪”であるマフィアによって
制裁を受ける。結局、法も、警察も、マスコミも、無力のまま。そこに残された
事実は、《悪は悪でしか裁けない》というパラドックス――。哀しいけれど、
そんな世界に我々は生きている。

 
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