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一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『インファナル・アフェアⅡ/無間序曲』、観ました。

2005-09-25 11:40:15 | 映画(あ行)
インファナル・アフェア II 無間序曲

ポニーキャニオン

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 『インファナル・アフェアⅡ/無間序曲』、観ました。
前作より11年前の1991年。香港マフィアの大ボス・ンガイの配下サムの
妻マリーは夫の出世のため子分ラウにンガイを暗殺させる。そうとは知らぬ
サムにより警察学校へ送り込まれるラウ。一方、ウォン警部は2代目
大ボス・ハウの異母兄弟であるヤンをハウのもとに潜入させる‥‥。
 映画の世界の格言で、「続編は“駄作”の代名詞」と言われるが、ことこの映画に
関してはそのジンクスは当てはまらない。まず、ボクがこの映画を観て、
思い浮かんだ“続編映画”がひとつ‥‥『ゴッドファーザーPART2』だ。
“正統派”マフィア映画として君臨した一作目の後を受け、二作目では
更に緻密に…、重厚に‥、しかし、同時に時間経過だけは“主人公の若き日”へと
遡(さかのぼ)っていく‥。つまり、人間描写に深みを持たせるために、何故いま
彼らがその哀しみの人生を歩むようになったのか、その切欠(きっかけ)となる
歴史を紐解いていく訳だ。人によっては、時空の並べ方を逆にしたこの二作目と
一作目の関係が腑に落ちないかもしれないが、ボクはこの順番で正解だと思う。
すべては監督の計算ずくです。
 さて、前作では、警察とマフィアそれぞれに潜入した2人の男と、その上司の
ドラマに絞って描かれていたが、今作ではもう一歩足を踏み入れた形で、
彼らの愛する女性と家族への想い、マフィア同士の抗争と暗殺へと物語は
広がりをみせていく。中でも、前作では描ききれなかったエピソードのひとつ、
何故(上司である)ウォン警部がこの事件にあくなき執念を燃やすのか、
その経緯がキチッと描かれていたのには感心した。
 そして、映画は刻々と形を変え、復讐、友情、仁義、運命(さだめ)、裏切り‥‥、
さまざまな人々のさまざまな思いが絡み合い、もつれ合い、堕ちていく。彼らは
まさに、闇の世界に生きる“顔のない男たち”‥‥その“生きざま”に圧倒され、
その“人生の孤独”に打ちのめされ、観終わったボクは言葉さえ出なかった‥‥。



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