書名 狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部
著者 門田 隆将
発行社 小学館
発行年 2013年10月29日
頁 381
価格 1,700円+税
日本初の公安捜査官「実名」ノンフィクション。
今、最大の秘密組織がヴェールを脱ぐ!
東京は、かつて「いつ」「どこで」「誰が」爆殺されるかわからない恐怖の地だった。
1970年代、東京は頻発する爆弾テロによって、世界のどこよりも危険な都市となっていた。
そして、「天皇暗殺」まで企てた犯人グループに、警視庁公安部の名もなき刑事たちが立ち向かった。
ドーーーン。
1974年8月30日、東京・丸の内の三菱重工ビル。昼休みを終えようとするオフィス街に轟音と爆風が駆け抜けた。
瞬く間に立ち込めた白煙、正視に耐えない遺体、身動きできない重傷者の上に、容赦なく砕けたガラスの破片が降り注いだ。
死者8人、重軽傷者376人という史上最大の爆破テロだった。
現場に駆けつけた捜査官は、爆発の衝撃でコンクリートに生じたすり鉢状の孔(あな)に向かって心の中で語りかけた。
おまえら、やるのかよ。こんなことやっても世の中はなんにも変わりゃしないんだよ。
なんでこんな罪もない人たちを殺すんだ。俺たちが「受けて立たなきゃいけない」じゃないか。
犯行声明を出したのは「東アジア反日武装戦線"狼"」。
11件に及ぶ連続企業爆破事件の嚆矢(こうし)だった。頻発する爆弾テロに焦燥の色を深める捜査陣。
やがて公安部は、あるきっかけから、謎のグループを追い始める。
「狂気の犯罪」に警視庁公安部はどう立ち向かったのか。
日本で初めて公安捜査官たちが「実名」で証言し、さらには、捜査の指揮を執った土田國保警視総監の日記も初公開。
2020年東京五輪に向けて、テロへの危険性が高まる中、本書が捜査機関に、そして市民に問いかけるものは何か。
気鋭のノンフィクション作家・門田隆将がお届けする感動の人間ドラマ。
・一度、疑念が生じたら、不安はとめどなく増幅されていくものである。
・「たとえ失敗しても、一歩前に出て挑むこと」
・今となると、父と話す、あるいは父に喜んでもらえる、
そういう機会が失われたことに悔しさを感じている。
・この長い年月、心の中に熾火が残った中で生きてきたような気がする。
気持ちが昇華されることはなく、いつまでも熾火のままなのである。