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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『老兵は死なず』 野中広務

2006年07月02日 | エッセイ

橋本龍太郎元首相が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。政界を引退したとはいえ、あまり大きく報道されないのが不思議です。

首相当時、金融ビッグバン、省庁再編など、かなり大胆な政策を実施し、ポマード頭が個性的で、一時はかなり国民の期待を集めました。アメリカの国債を売りたいと発言し、はからずも日本の経済力を世界に印象付けるなど、注目度も高かったはずですが、ロッキードの疑惑を引きずった、佐藤孝行氏を入閣させたことで一気に期待がしぼんでしまいました。

総裁選で小泉氏に敗れたあとは、ハニートラップや、日歯連からの一億円献金疑惑があり、当教室の川柳には 

『 橋本派 歯医者で舌を 抜いてこい 』 というものまでありました。

最近では中国の胡錦涛主席と会談して存在感を示しましたが、バラバラにされてしまった旧橋本派の現状に、権力闘争の厳しい現実を感じます。

そして、その橋本氏と常に司令塔として、厳然として存在していた、戦友の一人が元自民党幹事長、野中氏。本書は氏の回想録です。ものごとをはっきり言う政治家であることは確かですが、いわゆる“抵抗勢力”の代表格としてテレビでさかんに喧伝されていました。

小泉政権、森政権、小渕政権、橋本政権それぞれの産まれたいきさつや、その中で繰り広げられた権力闘争の渦中で目にした様子を語ります。加藤の乱、小渕首相死去、自自連立解消、鈴木宗男逮捕など、政界を揺さぶったさまざまな場面が思い出されます。

一言で言うなら “生々しい”。 “老兵” という言葉から想像されるように、やはり政治家は戦う職業であり、退いてなお国家に思いをはせる気持ちが伝わってきます。飾らず、率直に自分の戦いを振り返り、反省もし、告発もあります。確かに守旧派と呼ばれるであろう政策も支持していますし、逆に天下り禁止など改革の先鋒である面も併せ持っています。

北朝鮮に何度も訪れたことでかなり批判されましたが、それについても弁明しています。政治の裏側を垣間見ているようなおもしろさであっという間に読んでしまいました。それにしても、一匹狼の変人から、権力の絶頂に登りつめた小泉氏と、破れた形の、野中氏や橋本氏。国民のためになるのなら、どんどん争ってほしいのですが、あまりにも対照的です。


http://tokkun.net/jump.htm

老兵は死なず 野中広務全回顧録

文藝春秋

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
老兵は死ぬかも知れぬ。 (tani)
2006-07-02 21:27:40
小生もこの本買いました。

2004年1月10日第3刷とあります。1500円+税

読んだのは、「帯」にある

「日本の政治を左右し、『影の総理』といわれた男が全てを書く。」

死に物狂いで考え、議論をし、決断した!

だけです。



いみじくも、その隣に、

「日本をダメにした九人の政治家」浜田幸一講談社がありました。



やや離れたところに新書版

木村泉『ワープロ徹底入門』480円

が鎮座いたしておったのでございます。







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そりゃ死にますが… (VIVA)
2006-07-03 01:37:11
先輩!コメントありがとうございます。

で、本書は読まれてない?買われたのに…宮本百合子さんの全集のように。



ハマコーはパスですよね?違いますか?木村氏のを買って読んだけど、点・点・点 という感じでしょうか?

ふ~難しい
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買った本 (ましま)
2006-07-03 09:45:11
 こんにちは。私は生来貧乏性で、買った本は損をしないようなめ尽くすように読みます。難解の本は、「読書百辺」でわかるようになるまで、それでもわからなければ、駄作を買ってしまったと、反省します。taniさまは読まれなくても中味を理解されるのか、私にすれば神業のような気がします。野中さんは尊敬してますが、政治家の書いた本は1冊も持っていません。
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寂しいかぎり (kazu4502)
2006-07-03 16:09:46
vivaさん、こんにちは

毎日ご苦労様です、富山ではねむの木の花が満開です、この花は梅雨の時期に淡いピンクの花を咲かせます、この花が散る頃には富山は暑い夏を迎えるんですよ、そしてひまわりがいっせいに咲き乱れます、パフォーマンス豊かな小泉と言うひまわりの花を咲かせたのは橋本氏のような気がします。

政策通の政治家、そしてダンディな政治家としてもう一度、夏のアサガオのような花を咲かせてあげてもよかったのではと思います。

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ましま先生 (VIVA)
2006-07-03 17:27:41
浅学非才の身でありながら、無謀にも先生のご著書『海と周辺国に向き合う歴史』に挑戦しようと思っております。こちらは“百回”で何とかなるかどうか自信はありませんが…。

tani先輩の神業近付きたいと思いますが。

何かアドバイスをいただきに伺うかも知れません。よろしくお願いします。
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kazuさん (VIVA)
2006-07-03 17:39:55
kazuさんのブログも毎日すごいですよね。ところでkazuさんのお宅は、自然が豊かなところにあるんですか?私はここ数年、帰省以外に旅行らしい旅行もしていないので、kazuさんのコメントを読むと、時々富山にいきたくなります。実は10年位前、塾の仕事で月に2・3度富山に出張していたんですよ。魚もおいしかったし…。いつか、富山でゴルフでもご一緒させていただいたら、楽しいでしょうね。
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