私は英語の教師ですが、よく生徒たちから、長文読解ができるようになりたいという要望を受けます。その時に言うのは、英語の読解ができないのは何も読解力がないのではなく、単語や文法ができないのが原因、ということです。
英語を全部日本語に正しく訳すことができて、それでも得点できないのなら読解力不足といえますが、大抵は訳せないことが原因です。
国語の場合は話が違います。一応全部読めて、分かったつもりでも得点できないという状態ですから。
本書は、国語の読解力に関して、どうして力が付かないのかを丁寧に示します。基本的考え方は、読者が読んでいるものに対して『わかったつもり』になってしまうために、それ以上のことを考えずに読んでしまう。という感じでしょうか。
最初は小学校2年生の教科書から例題を取り出し、これを読ませます。こんな感じです。
『もし もし お母さん』
ゆみちゃんの うちで 子ねこが三びき 生まれました。お母さんねこの たまが、おちちを のませて かわいがって いました。
子ねこたちの 名前は、みけと しろと とらです。 (以下略)
まだまだ続くのですが、それにしても、このレベルの文のどこに読解の問題が生じるんだと思いませんか?ところが問題になるんです。興味ある方はぜひ手に取ってみて下さい。
最後には大学センター試験問題まで取り上げて、なぜ、選択肢を吟味して、正解とされているものの理由を分析します。そして軽く、これまでの国語教育に苦言を呈します。
ここまで書いて、私が本書を“わかったつもり”になっているに過ぎない可能性も充分あることに気付きました。面白い本なので、国語の読解に悩んでいる人や、国語の先生には参考になることが多いと思います。
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因光文社詳 細 |
http://tokkun.net/jump.htm
私も読解力というのは一体何なのか、正体不明だったのですが、この本は大きなヒントをくれました。
ぜひこれからもよろしくお願いします。
これからもよろしくお願いします。