“◎◎ばあちゃん” というのが以前から気になっていて、ちゃんと調べてみたらあの洋七さんの本でした。みなさんご存知ですね。すでに300万部、ものすごい売れ方です。Wikiで調べたら、映画もヒットし、テレビドラマでも高視聴率、佐賀県内では88%!映画はなんと文部科学省まで推薦。大変な、というより異常な人気だったのですね。
これだけの人気作品なので、今さら何の説明もいらないでしょうが、せっかく読みましたのでレビューを(笑)。
洋七さんのおばあちゃんは、赤貧の中、女手ひとつで、洋七さんの母親を含め七人の子供を育て上げたそうです。とにかく、ものすごい知恵と生活力のあるおばあちゃんです。確か、同じ九州の武田鉄矢のおかあさんもすごくて、“母に捧げるバラード”、大ヒットしましたね。イメージがだぶりました。
ビートたけしの母親もたくましかったと記憶していますし、最近読んだ中でも、リリーフランキー氏の『東京タワー』に出てくるおかあさんにも同様のエネルギーを感じますし、先日ご紹介した呉智英氏の『大衆食堂の人々』に出てくる親戚の女性たちも想像を越えています(笑)。
ひょっとしたら我々の祖父母の時代にはそれほど珍しい話ではないのかも知れません。以前、取り上げた『沖縄オバァ列伝』なんか読むと、沖縄中ものすごいおばあちゃんだらけです。文部科学省のいう “生きる力” なんてきっとありあまっています。
たった二・三人の子育てで悩んだりグチを言ったりしている我々の世代と何がどう違うのだろうか、といつも思います。明治あるいは大正、戦前と言えば良いのでしょうか、その時代の女性たち(男も)の強さはどこから来るのだろうと。
言うまでも無く、電気・ガス・水道などの設備は不十分だし、洗濯機や冷蔵庫などの電化製品や紙おむつもきっとない。しかもその間に戦争という途方も無く大きなストレスがのしかかっているはずなのに…。どう見ても今の子育て世代より圧倒的に強いです。洋七さんは1950年生まれです。
どう思われますか。
きっと、“由緒正しい貧乏”は人を教育するものすごい力があるのではないでしょうか。極めつけの不自由が人を育てるのかも知れないと。
決して盗まないし、必ず助け合うし、工夫する。言い訳だってうまくなるし(笑)、考え方が大きくなり、洞察力も磨かれる。お金より大切なものを知るのでしょうか。“けちは最低!節約は天才!”とおばあちゃんは言っています。
私の愛読するジョージ・オーウェル(1903-1950)の作品の中に『パリ・ロンドンどん底生活』というのがあり、そこで彼は、“貧困には快楽にも近い安堵感がある” と述べています。ものすごく人を成長させるらしいのです。
逆に、これまた愛読書であるバートランド・ラッセル(1872-1970)。オーウェルと同じ世代に生きた同じイギリス人ですが、こちらは逆に大金持ちを通り越して、イギリス代表みたいな家系です。おじいちゃんはイギリス首相ですから。
お金だけから見ますと両対極ですが、共通の何かを感じます。やはりとっても不自由だということでしょうか。ラッセルとオーウェルのたくましさもまた貧困や不自由を経て身に付いたものらしいのです。
また、大都会としての広島と素朴な佐賀の対比が本書でもしばしば登場しますが、現代の都会では望むべくもない、豊かな自然環境や打算のない濃密な人間関係はやはり美しいと感じます。先生が洋七と弁当を交換するところなど泣けてきますね。
人生には学校の勉強よりも大きなことが、まだまだいっぱいあるぞと教えてくれますね。
高度なことが書いてあるのでもないし、文が洗練されているわけでもないのですが(ごめんなさい)、この本は泣き笑いのできるエピソードやおばあちゃんの金言が詰まった貴重な一冊でした。
最後におばあちゃん語録がまとめてあって、おもしろいので本当は全部書きたいのですが、その中から一つだけご紹介しておきましょう。洋七さんは勉強が苦手だったようです。
洋七 『ばあちゃん、英語なんかさっぱり分からん』
ばあちゃん『じゃあ、答案用紙に『わたしは日本人です』って書いとけ』
洋七 『漢字も苦手で…』
ばあちゃん『「僕はひらがなとカタカナで生きていきます」って書いとけ』
洋七 『歴史も嫌いでなあ』
ばあちゃん『歴史もできんと?「過去にはこだわりません」って書いとけ』
テストの点が悪くて、我々に怒られたら、このくらいの言い訳はして欲しいですね(笑)。
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