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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『アルケミストー夢を旅した少年』パウロ コエーリョ著 山川紘矢,山川亜希子訳

2007年03月23日 | 児童文学・ライトノベル・子供向け


アルケミスト.jpg



“アルケミスト” とは “錬金術師”のこと。大人気の “鋼の錬金術師” は知っていても、本書を知らない、またハリーポッターの “賢者の石” は読んでいても、こちらは読んでいないという人はぜひ。

本書はブラジル人作家が1988年に書いたベストセラーの翻訳で、すでに世界20カ国以上で読まれている名作、古典とさえ呼べますね。ご存知の方も多いでしょう。

今日、都内の小学校の卒業式です。卒業生に贈る一冊で、春休みに読んでもらいたいですね。

一応…

“錬金術” というのは、簡単に言えば、安物の金属を高価な金や銀などに変えてしまう方法のことで、“賢者の石” というのは、それを可能にするために絶対に必要な材料、難しい言葉だと触媒(しょくばい)のようなものです。


昔の錬金術の話しなど欲張り者たちの夢物語、などとあなどることなかれ。現代化学の基礎のほとんどがこの錬金術の研究から生まれているのです。ヨーロッパを中心に世界中の多くの人がその夢を見てくれたおかげで、現代の進歩した科学ができたというわけです。

あのニュートンまでも錬金術を相当に研究したそうですよ。(Wikipedia)

錬金術師.jpg


さて、物語では一人の羊飼いの少年が、こつこつと貯めたお金を手に、エジプトのピラミッドにある宝物を求めて旅に出ます。

その旅の途中で出会ういろいろな苦難。素直な世間知らずの少年はだまされます。おどされます。なぐられます。盗まれます。殺されそうになって我を失います。挫折しそうになって、羊たちの元に帰りたくなるのですが、それでも夢をあきらめない少年を支えたものは何なのか・・・。

題名からも想像できるように、奥義を極めている錬金術師が大きな役割を果たします。“賢者の石” と “不老不死の薬” をどこまでも求める人々と、逆に疲れてすっかり安定を求める人々、厳しい砂漠や太陽や風の自然条件との交わりのなかで、もがき、成長する姿が印象的です。


命がけで賢者の石を競って探す中で、化学が発達したように、きっと不老不死の薬を追い求めた傲慢な人たちのおかげで現代の医療もあるはずです。人間は単純といえば単純、不思議といえば不思議な存在ですね(笑)。


こういった話は、日本の小説よりも頻繁に “神” や “魂” “運命” といった宗教的なことばが出てきますし、それがストーリーに大きく影響しますので、読みにくい、理解しにくいと感じる生徒もいるだろうと、最初は紹介するのをためらっていたのですが、アマゾンで見たらびっくり。

100以上のレビューがあって、多くが賞賛しているではないですか。杞憂だったとわかりました。ただし、ただしです、“大人が読め”という内容も多かった(笑)。


なるほど、その通りで、夢をあきらめているのは子どもより大人。

いつも書籍の売り上げランキングなどで、ビジネス書や自己啓発書がすごく売れていて驚くのですが、その意味するところは、やはり日本の大人たちが、あきらめそうになりながら、この少年のように懸命に夢に向かって努力しているということだと思います。大人を励ます一冊でもあるわけです。

という訳で、私ももう一度はじめから読んでみますと、一度目は大して気に留めなかったセリフの中に、自己啓発書などでも見られるような “至言” が多く散りばめられていてうなりました。


すでに人生を悟っている、錬金術師に導かれながら、人との出会いと別れを繰り返しつつ、危機を乗り越え目的地に近付いていく夢と勇気の物語です。

小学校卒業のみんな (大人の我々も) 夢に向かってスタート!

アルケミスト―夢を旅した少年

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『アルケミストー夢を旅した少年』パウロ コエーリョ著 山川紘矢,山川亜希子訳
角川書店:199P:580円