数年前から世界的な食糧危機が叫ばれてきて、昨年のウクライナ侵攻で頂点に達し、昨年中、あるいは今年に食糧危機が必ず発生すると大宣伝され、大震災への備えも相まって、食料備蓄をしている家庭は多いと思われる。
私も、一昨年までに約1万円分の密閉包装(真空パック)の玄米と、かなりの量の缶詰を用意した。
過去の経験から、無酸素包装玄米なら5年程度保管しても、それなりに食べられることが分かっているのだが、さすがに、そろそろ開封して無理にでも食べなければならないと思っている。
缶詰は10年程度の保管は全然問題なく、消費期限など関係ない。
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日本では、一昨年くらいから、食料不足危機の代わりに、食料価格高騰危機がやってきていて、今年に入って加速している。ありとあらゆる食品が高騰して、庶民の生活はかつてないほど追い詰められているのだ。
食料品高騰で“エンゲル係数”が過去最高域の29%に 政府・日銀が掲げる経済政策の弱点と今後の対策を専門家が解説 10/25(水)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f298dd13c57f3383b53c976a7371570e185ee803
10月に発表されたエンゲル係数が過去43年間で最も高い29%に達した。
エンゲル係数は、家計の消費支出に占める食料費の割合を示したもので、今回発表されたのは、2022年9月から2023年8月の平均値である。
食料費が増え続ける理由について、第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生さんに背景と対策を聞いた。
日本の豊かさが脅かされている証 ーーエンゲル係数は何を表す数値?
エンゲル係数は生活の豊かさを示す指標の1つで、食料品が消費全体の金額のどれくらいの割合を占めているかを表します。
食料品のウェイトが小さいと食料品以外にお金を使っていることになるので、生活が豊かになっていると解釈します。
新興国などのエンゲル係数は高い一方、豊かな国ではエンゲル係数が低下していくという経験則があります。
こうした中、今回の日本の数字というのは、食料品価格が高騰し、豊かさが脅かされていることを示しています。
ーー今回発表された29%は、どれくらい高い数値?
日本は、1980年代前半は今と同じ29%ぐらいの係数でしたが、それがだんだんと低下して、再び上昇しました。
コロナ禍の初期は、外出ができなかったため消費全体が縮小してエンゲル係数が高くなりましたが、今回はそれとは違う形で、食料品の値段が高くなり、特に高齢者の生活が圧迫されている状態です。
43年ぶりの高水準で、2001年以降の数値では最高タイとなっています。
ではなぜ食料品の値段は高騰しているのか。
熊野さんは日本の食料自給率の低さも影響していると分析する。
ーーエンゲル係数が高くなる理由は?
1つはやはり世界的なインフレ、物価上昇の影響で、食料品の価格が10%近く上がるといった状況が長く続き、負担が大きくなっていることが背景にあります。
なぜ食料品が高いのかを分析してみると、日本の食料自給率は約38%で、62%は輸入品です。輸入している物が円安でどんどん値上がりしていくと、エンゲル係数も高くなるという図式で、他の物品よりも食品の値上がりが目立つという状況です。
ーー家計への影響と下げるための課題は?
エンゲル係数が上がるということは、食料品の負担が増えるということなので、家計は苦しくなります。
給料が上がらないとエンゲル係数は下がらないので、賃上げを中小企業まで幅広くやることと、年金支給額の引き上げが必要です。
また、食料品が高い理由は円安に原因があるので、日本銀行は行き過ぎた金融緩和を是正することによって、過度な円安を円高方法に転換し、輸入価格を下げていくことも重要な条件です。
政府と日銀は緊密に相談しながら、金融政策が円安を後押しし過ぎないよう検証する必要があります。
給料を上げることが先決
23日に行われた岸田総理の所信表明演説では、高騰するガソリン代や電気・ガス代などへの支援延長が示された。
しかし、エネルギー消費の2倍ほどにあたる食料品価格の対策は薄く、熊野さんは経済対策の弱点だと指摘する。
ーー政府が取るべき対策は?
1つだけ良い話として挙げるなら、政府は10月から、輸入した小麦を製粉会社に売り渡す価格を11%程下げます。
これで麺類やパンなどは少し安くなるので、エンゲル係数が下がる方向に若干は効いてくると思います。
ただ、根本的にはエンゲル係数を下げる政策よりも、給料を上げる方が先です。
所得を増やし、消費を膨らませて食料品の割合を薄めていくしかありません。
家計の中で、エネルギー消費は光熱費を含めても、15%程度です。
それに比べて食料品は2倍ほどにもかかわらず、ほとんど何の手当てもされていない点は、今回の経済対策の弱点だと考えます。
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引用以上
上の説明では「給料を上げれば問題が解決する」かのような頓珍漢な説明をしているが、問題の本質が、全く分かっていない。
エンゲル係数が高くなってしまった最大の本質は、安倍晋三政権が行った「消費税」なのだ。
給与所得は、給与生活者だけの一部の問題にすぎない。現在、年金生活者、生保生活者、派遣など非保証生活者も含めて、給与が上がることの恩恵を受けられない人々が国民の半数以上を占めている。
岸田自民党政権は、選挙対策のための「めぐんでやった」=上から目線の、「お情け」対策だけしかしない。だが、一番必要なものは、恒久的に消費税を廃止することである。
消費税を廃止すれば、ほぼすべての経済問題が一気に解決するのだが、岸田文雄のひどく劣った知能では、「上から与えてやる、一時的な、その場しのぎのお情け対策」しか頭に浮かばないのだ。
日本経済の低迷の最大要因は、1989年、竹下登政権が発足させた「人頭税」である消費税だ。
そして、日本社会に致命的なダメージを与えたのが、2013年の安倍晋三政権による8%そして10%の巨大増税である。
これは竹中平蔵の入知恵であることは確実だが、これによって日本の大企業は、事実上大きな減税を受け、2020年度までに実に500兆円という超巨大な内部留保を貯め込んだ。
内部留保とというのは「死んだ金」であって、経済推進には役立たない。投機くらいにしか使われない。だが、この500兆円が労働者の給与に還元されていたなら、その消費経済効果は凄まじいものになり、現在の数十倍の好況を産み出していただろう。
日本の「失われた30年など、いったいどこの話」となっていただろう。
これは、ケインズが100年近く前に指摘していたことだ。
経済を本当に循環させているのは社会の底辺における「需要」であり、決して供給ではない。
不況を供給増大によって解決できると主張したのは、「セイの法則=古典経済学」であり、供給さえしっかり行えば、自然に需要が増えるとしたものだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E5%85%B8%E6%B4%BE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6
だが、これに対して、ケインズは、社会資本投下や財政投資によって社会の底辺の需要を高めることが、景気の本質であることを明らかにした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BA%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6
何よりも、底辺の生活者に金が回り、需要を生み出すことが景気の本質であると指摘したのだが、当時の資本家は「労働者に金を回すなどとんでもない」と拒絶し、セイの法則にしがみついて、需要もないまま供給を拡大しようとした結果、ニューデール大恐慌の底なし沼に沈んでいった。
結局、この大恐慌は、第二次世界大戦まで終わることはなかった。日本軍(皇道派)の暴走のおかげで、アメリカ経済は史上最高の回復を遂げたのだ。
ケインズ経済学では、何はなくとも「需要」が大切で、これをどう作り出すかが政治のもっとも重要な本質であり技術であるといわれた。
だが、フリードマンによって新自由主義が台頭してくると、再び死んだはずの「セイの法則」が頭をもたげてきて、労働者から金を奪い去り、供給を増やすことが有効という、反ケインズ主義がゾンビのように出てきた。
日本では、竹中平蔵と薫陶された自民党議員たちが主張している。
私が驚愕したのは、数日前に行われた岸田文雄の演説に、「供給力を増やす」というセイの法則が強調されていたことだ。
https://www.youtube.com/watch?v=Caz4SnPN5JY&ab_channel=TBSNEWSDIGPoweredbyJNN
ああ、岸田という男は、これほどの馬鹿なのか? と大きくため息をついた。
岸田の脳みそには、「与えてやる」政治しか存在しないのだ。
経団連の大半の役員も同じ思想であり、これは竹中平蔵の新自由主義思想なのだ。
消費税を廃止した瞬間に、日本経済は劇的な復興を遂げ、生活者の生活の質も劇的に改善されるのが確実なのだ。
自民党は、国民大衆を富ませることで、国家がもの凄い勢いで富んでゆくメカニズムがまったく理解も想像もできないのだと絶望した。
「供給を増やせば需要が回復する」という根拠のない19世紀の妄想を口走っている岸田文雄を見て、私は、強欲低知能の自民党政権ある限り、日本が第三次世界大戦で、ほとんど滅亡することが避けられないと確信した。
さて、もう一度「食糧危機」に戻る。
「先進国=金持国」では、不足の食料に高値をつけて優先的に購入することで、食料価格が高騰すること、これが「食糧危機」の真実である。
つまり、食料が不足すると、どんどん食料価格が上がってゆくが、それでも金持ち国は高い対価でも飢えるよりマシと考え、食料を無理にでも輸入するが、当然、小売価格は高騰することになる。だから、食料が本当に消えるのは、最後の最後ということになる。
後進国=貧乏国では、絶対量が減って価格が高騰すれば、もうそれを手に入れることができない。援助物資に頼るしかない。最初から本当に飢えが始まるのだ。
このようにして、国民のエンゲル係数が際限なく上がってゆく状態が先進国における「食糧危機」であり、後進国では実際に飢餓が訪れ、餓死者が国を覆うことになる。
https://www.youtube.com/watch?v=kOaBm8lnwWU&ab_channel=ANNnewsCH
主食作物である米・麦・馬鈴薯・トウモロコシのなかで、もっとも大切な肥料であるカリウムの生産を、ウクライナ・ベラルーシ・ロシアなどが事実上寡占状態だったので、戦争によってカリウム肥料の供給不足と暴騰が起きた。
昨年、芋畑にカリウム肥料を投入しようとしたら、なんと20Kg、3000円近い価格になっていて、これでは収穫した芋よりも肥料の方がはるかに高価という事態になってしまっていたことに驚かされた。
現在、市場でトマトが暴騰していて、熱暑のせいで育ちが悪いと説明されているが、実は、肥料価格が上がったことによる影響も大きいかもしれない。ブロッコリー、キュウリ、ナスとみんな数年前の数倍の価格になっている。
芋類はカリウムを入れないと肥大しないので、高価な市販肥料の代わりに、みんな草木灰を入れるようになっている。
ウクライナ戦争、猛暑による生育障害、中国による巨大な食料買い占めなどが、世界の食糧価格を大きく押し上げている。
ほぼすべての生活物資が上がっているのだが、なかでも困るのが建材価格の高騰だ。
田舎にいると、降雨による腐食などで数年に一度、建物を修理しなければならないのだが、建材価格の暴騰ともいえる値上がりによって、我が家ではカモシカが壊した門扉の修理さえままならない。朽ちた薪小屋が倒れかけても再建することができない。腐った木製階段の修理もできなくてブロックで代用している。
いつまで高騰が続くのかといえば、実は、永遠に終わることはなく、このまま第三次世界大戦に突入し、人命も含めてあらゆるものが破壊されることになるような気がする。
つまり、これから食料や物資の高騰は、今よりも何桁も深刻なものになる可能性を考えなければならない。
壊れた部分を再建しても、近い将来破壊されることを予見すると、直す気にもなれない。
人間社会が時間の経過とともに、上昇があれば下降がある。発展があれば衰退がある。進化があれば退化があるという弁証法的本質を考えれば、もう人類は衰退と滅亡の局面に入っているという考え方が正しいように思える。
私は、核戦争に生き残った人類が、細々と原始共産制的なライフスタイルで、新しい社会を築くと信じているが、それは、もはや資本主義による浪費文明とは縁遠いものだ。
人類誕生から文明に至るほどの長い時間をかけて、原始的生活に戻った人類が、ゆっくり滅亡してゆくのだろうと思う。
これからの人類の課題は、資本主義による浪費文明を、どう克服し、地球自然秩序と折り合いをつけた合理的なライフスタイルを見つけるかということだ。
もう、資本主義社会での化石燃料の浪費も許されないだろう。可能な限りエネルギーを節約し、移動手段も、再び自転車の出番がやってくると私は思う。
だから、これから日本経済が破壊されたなら、第一次大戦の賠償責任で疲弊したドイツ経済をシャハト財相がアウトバーン建設で立て直したように、自転車交通インフラの建設を社会の主題として始めなければならないと予想してる。
核戦争後には、私はたぶんこの世にいないだろうが、何が必要なことか、ヒントを残して起きたいと思う。
人々が一致団結して取り組める課題と、連帯感が社会を救うのだ。
一番大切なことは、移動の自由を保証することであり、安価な移動を確保することだ。
だから、私は全国的な規模で、自転車走行インフラの整備に取り組むのが良いと思っている。
大戦争の後、もう化石燃料が容易に輸入できるとは思えない。だから化石燃料に頼らない移動手段として、自転車を主体にするしかないと思う。
坂の多い地方では、電気的補助動力が必須だろう。
このインフラ整備を復興事業の柱とすれば、すくなくとも人々の当面の目標を共有することができる。これがシャハトの意図したアウトバーン建設による復興と同じ意味である。
安価な移動手段が成立すれば、あらゆる物資が血液のように全国津々浦々に運ばれ、壊れたインフラを補修することができるのだ。
そして、超猛暑と超寒冷の気象激変がやってくる。人々はもう小さな家族の単位で生活を守ることは不可能になる。
いよいよ共同体の出番となると、私は予想している。
人々は、高原で馬鈴薯を作って自給自足のライフスタイルを作らねばならなくなると思う。芋が社会を救うのだ。