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10月8日に観察会をしましたが、いつもの小平と違い、上流の拝島から東に歩きました。というのは、玉川上水全体を眺めると、小平は決して代表的ではなく、小平監視所よりも上流と下流とで大きく様相を変えるので、一度みなさんに「小平以外の玉川上水」を見てもらいたいと思ったからです。
一番違うのは水量なので、せっかくの機会だから水量の推定を調べてみようと思いました。動く水の量というのは水路の断面積とその面積を通過する速度で決まるはずです。水速を調べるのは簡単にはできないので、今回は断面積を調べることにしました。それには川幅と水深から長方形を求めればよいわけです。そこで川幅は巻き尺で、水輪はタコ糸に石の重しを結びつけたメジャーで測定することにしました。
あまり細かい縮尺をつけても意味がないので、20cm刻みにし、50cmごとに長い目印をつけました。
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「水深メジャー」をつくる
最初の平和橋で実測をしました。川幅は7m、深さは0.4mでした。その後、5箇所で測定しましたが、断面積は一定ではありませんでした。それは勾配の違いによるものと思われ、測定はしませんでしたが、明らかに流速が違いました。
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「流速を調べるのはどうしたらいい?」
「流してから、そんなに早くないんだから、追いかけたら?」
「橋と橋の距離を測っておいて、次の橋で待つとか」
「で、何を流すの?」
「ピンポン球とか」
「残るものはだめだよ」
「フ(食べ物)とか」
「枯葉なんかでいいんじゃない」
といろいろな意見が出ました。
この日歩いた範囲は小平監視所よりも上流で、玉川上水の水量が多く、両岸がコンクリートの壁になってがっちり固められている場所が多く、また両岸の下草はよく刈り取られていて、監視所よりも下流とは大きく違っていました。
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水の流れの話になったので、川の話をしました。川が自然に流れると土地は真っ平らでないから、蛇行する。一度蛇行が起きれば、カーブの外側を削ることになるので、それを「攻撃面」という。その逆側には土砂がたまるので「退席面」という。攻撃面にあるのを淵、堆積面にあるのを瀬という。攻撃面が進みすぎると洪水時などに大きく曲がった部分に新たにショートカットした水路ができて、そこに三日月型の川が残って湖になる。これを「三日月湖」という。
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川の解説をする
日本の川の勾配を大陸の川と比較すると、「上流がそのまま海に達する」といわれるほど勾配がきつい。そのために日本で三日月湖はできにくいが、大陸ではよくある。日本の川は大陸の川に比べると上流がそのまま海に流れ込むようだといわれる。それだけ地形が急峻でしかも降水量が多い国です。土木技術がなかった時代の日本人は自然を作り変えるのではなく、逃げたんです。川は生き物だった。ところが近代化後、とくに戦後はヘタに土木技術が進んだものだから、自然は管理できると驕るようになった。私はその究極的な結果が福島の原発事故だと思う。
この日、歩いた砂川の玉川上水は、全体としては小平より明るく、植物もツリガネニンジンやススキ、トダシバなど明るい場所に生えるものがよく見られました。花は時期がすぎたものが多く、種数はあまりありませんでしたが、ヤクシソウなどは咲き始めでした。
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観察のようす
ツユクサがあったので「この青は水にとけやすいので、それを利用して、着物の模様の下絵に使ったんだ。その上に絵の具で彩色をして、それを水につけて線を消したわけだ。当時はツキクサといって、私の恋は月草のようにはかないという類の歌が残されている」
などという話をしました。
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ツユクサ
柵にいろいろなつる植物がからまって伸びていました。ヘクソカズラ、アオツヅラフジ、オニドコロ、センニンソウなどです。アオツヅラフジの果実があったので、種子を取り出してもらいました。この種子はアンモナイトのような特異な形をしています。
オニドコロも果実になったものがありました。相撲の行事の軍配のような形をしていて、中に翼のついた種子が入っているので、それをとりだしててから放したらクルクルと回って落ちました。
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オニドコロの説明をする
玉川上水には柵があるので、つる植物がたいへん豊富です。南側を歩いているときに、つるの説明をし、葉は必ず南側を向いている、これは光合成に有利なためだという話をしましたが、これはまちがっていて、北側に行けば北側を向いていました。正しくは、「明暗を区別して、明るいほうに葉を向ける」というべきでした。
私は玉川上水のススキに注目しています。というのは玉川上水が「自然保護思想」によって森林伐採しなくなり、ススキはむしろ少ない植物になりつつあるからです。だから「花マップ」によって現状を記録しておく価値が大きいと思っています。ススキは大型のイネ科ですが、種子は小さく、基部に基毛があって遠くに飛んで行きます。大量に作って少数が定着発芽すればよいという戦略です。タンポポも同じですが、タンポポの場合は、毛が種子のてっぺんについているので、冠毛といいます。これらに対して多肉果実は大きい種子を少数作って、動物に運ばせて確実に定着するという戦略をとっています。
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ススキの果実の説明
コセンダングサがあり、豊口さんは訪花昆虫をとらえていました。
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コセンダングサにきたウラナミシジミとハチ
今回はイネ科が目につきました。ススキはもちろんですが、トダシバ、チカラシバ、カゼクサ、アキメヒシバ、オオアブラススキ、ヒメノガリヤスなどがあり、説明しましたが、ビギナーが多いのであまり覚えられなかったみたいです。
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ススキ、トダシバ、チカラシバ
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ヨシ
ヨシについては、世界中に同じ種があってそれを「コスモポリタン」ということ、西日本ではアシ、東日本ではヨシといい、これはフカとサメの関係と同じといった話をしました。
さて、玉川上水の水流の断面積を5箇所で測定し、西武立川駅で電車に乗って玉川上水駅までいって、監視所の下まで歩きました。ここでは玉川上水の水面まで降りられるようになっています。そこでも同じ測定をしました。
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その結果は次のとおりで、平均で1.88m2でした。その平均値に対して小平監視所のすぐ下流で調べた値0.81m2は43.0%でした。だから半分強が取られているということになります。
測定した川幅と深さ(m)
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しかしこの数字は見た印象よりははるかに違いが小さく、私は下流では20%かそれ以下だと思っていました。流速を含めてもう少し調べてみたいと思いました。
秋らしい気持ちのよい日で、楽しい時間を過ごしました。
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追伸的に豊口さんと棚橋さんの撮影した写真を添えます。ありがとうございました。
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