玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

玉川上水での種子散布

2021-12-24 14:16:14 | 生きもの調べ
私は大学キャンパスと霊園で、都市の舗装した地面を利用して、樹木に餌を食べにきた鳥類がその樹木の果実だけでなく、その前に別の場所で食べてきた種子を吐き出したり、糞で排泄することを示しました(麻布大学 、小平霊園)。玉川上水は鳥にとって重要な緑地であることがわかってきたのですが(こちら)、私はそれだけでなく鳥がいることが玉川上水にとっても重要であることを示したいと思っていました。ただ、舗装されている場所でないとこの調査はできないので、いい場所が見つからないでいました。公園などに舗装部分があるのですが、公園はよく掃除されるので、この調査はできません。この秋に津田塾大学の脇の用水がコンクリートで暗渠化されているので、その上の面が使えそうなのでここで二度種子を回収しました。
 この場所の上には主にシラカシがあり、少し離れたところにはケヤキやコナラなどがあります。なので、この場所に落ちていた種子は鳥が運び込んだとは断定できませんが、この辺りになくて鳥が食べることが確認されているものは鳥が運び込んだ可能性が大いにあります。
 ここでは予備調査として2回、回収した中にどう言う種子があったかを紹介します。

 はじめに鳥散布の可能性が大きい、「多肉果」と呼ばれる、果肉が栄養があって鳥が好んで食べる果実の種子です。数は多くないですが、エノキ、ハナミズキ、ミズキ、モチノキが確認されました。エノキとミズキはこの辺りにもありますが、風で飛んでくるような距離にはありません。ハナミズキとモチノキはこの辺りでは見たことがありません。これらは鳥が運び込んだ可能性が大きいといえます。

図1. 鳥散布型(多肉果)の種子。格子は5 mm間隔

 シラカシは上にたくさんあるので、鳥が運んだよりも落下した可能性の方が大きいと思います。

図2. 重力散布型の種子(堅果)。格子は5 mm間隔

 このほかにカエデとケヤキの種子がありました。これらは風散布であり、特にケヤキは多数ありました。ケヤキは鳥が食べないとはいえませんが、近くにもたくさんケヤキの木はあるので、風で飛んできた可能性の方がはるかに大きいと思います。

図3. 風散布型の種子。格子は5 mm間隔

 いずれにしても、今後、どういう種子が追加されるか継続したいと思います(2021.12.24)。

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