1月の観察会での「積み残し」のひとつ、鳥類による種子散布の解析を進めるためにリベンジというか追加の集まりをしました。今回は関野先生の三鷹での講演会があったため、参加できる人が限られ豊口さんと北見さんだけでした。凍りついた玉川上水を歩いて津田公民館に行きました。
玉川上水
津田公民館
分析用のサンプルを取り出して焦りました。あろうことか、去年のサンプルを持ってきていたのです。どうもこのところ、うっかりの度合いが進んで老化が進んでいます。ただそれも未分析のものがあったので、大沼公民館のモチノキの下でひろったサンプルの中身を分けて、数をかぞえてもらいました。
豊口さん
北見さん
種子
カウンター
途中でケンポナシをとりあげました。これは去年の12月に高尾の多摩森林科学園でひろったもので、それを食べてもらいました。
「あ、けっこう甘い」
という声。
ケンポナシの「果実」
これはとても変わっていて、ナナカマドとかモチノキなどよく見かける赤やオレンジの果実(多肉果)は脂肪が肥大して果肉を作り、中に種子が入っています。大きさは直径5-10mmのものが多く、鳥が一飲みできます。また木に長いことついています。ところが、ケンポナシは脂肪から果実ができるのは同じですが、これは種子をパザパサした果皮が包んでいるもので、食べても食べる部分がありません。そして花を支える花梗 が肥大してそこに糖分があって甘く、よい香りがします。そして色は茶色で目立たず、すぐに木から落ちます。これは明らかに哺乳類に食べてもらうための適応で、実際タヌキやテンの糞からよく出てきます。
鳥類散布と哺乳類散歩の解説
大沼公民館のモチノキの下で集めたものの内訳は次のとおりでした。
モチノキ 3482
ヘクソカズラ 12
トウネズミモチ 11
イヌツゲ 10
ナンテン 5
マンリョウ 5
ハゼノキ 1
ネズミモチ 1
ピラカンサ 1
不明 5
合計 3533
ヒヨドリなどの鳥はモチノキにとまってその果実を飲み込み、そこで吐き出します。それがほとんど(98.6%)なのですが、この木に来る前に別の木で飲み込んだものを運んでいるということが重要です。それらは玉川上水にもあり、庭にもあるものが多いようでした。自然界ではこうして種子がひろがっていくはずです。
お二人は2時間ほど、ずっと種子群に向き合って奮闘しました。もちろんときどき「フーッ」とため息をつきながら・・・。
これまで私は機会をみて、観察会や調査で得られたデータをまとめて報告してきました。多くの人が「おもしろい」「そんなことがわかるんですね」と言ってくださいます。でもそれだと、出来上がった結果を「聞く人」で終わってしまいます。これまでも観察会をただ生き物の名前を言い当てるものとは違うものにしようと思い、調査などをいっしょにするようにしてきましたが、「やりっぱなし」感がありました。ある自然現象を読み取るには、野外調査のあとで、こういう地味で、退屈で、時間のかかる作業をし、そのデータをじっくり眺めながら何がいえるかを考える過程こそが不可欠なのです。私は観察会にその要素を少しでも入れていきたいと思っており、今月は少しそれに挑戦してみました。
そのほかの結果が出たらまた報告します。
玉川上水
津田公民館
分析用のサンプルを取り出して焦りました。あろうことか、去年のサンプルを持ってきていたのです。どうもこのところ、うっかりの度合いが進んで老化が進んでいます。ただそれも未分析のものがあったので、大沼公民館のモチノキの下でひろったサンプルの中身を分けて、数をかぞえてもらいました。
豊口さん
北見さん
種子
カウンター
途中でケンポナシをとりあげました。これは去年の12月に高尾の多摩森林科学園でひろったもので、それを食べてもらいました。
「あ、けっこう甘い」
という声。
ケンポナシの「果実」
これはとても変わっていて、ナナカマドとかモチノキなどよく見かける赤やオレンジの果実(多肉果)は脂肪が肥大して果肉を作り、中に種子が入っています。大きさは直径5-10mmのものが多く、鳥が一飲みできます。また木に長いことついています。ところが、ケンポナシは脂肪から果実ができるのは同じですが、これは種子をパザパサした果皮が包んでいるもので、食べても食べる部分がありません。そして花を支える花梗 が肥大してそこに糖分があって甘く、よい香りがします。そして色は茶色で目立たず、すぐに木から落ちます。これは明らかに哺乳類に食べてもらうための適応で、実際タヌキやテンの糞からよく出てきます。
鳥類散布と哺乳類散歩の解説
大沼公民館のモチノキの下で集めたものの内訳は次のとおりでした。
モチノキ 3482
ヘクソカズラ 12
トウネズミモチ 11
イヌツゲ 10
ナンテン 5
マンリョウ 5
ハゼノキ 1
ネズミモチ 1
ピラカンサ 1
不明 5
合計 3533
ヒヨドリなどの鳥はモチノキにとまってその果実を飲み込み、そこで吐き出します。それがほとんど(98.6%)なのですが、この木に来る前に別の木で飲み込んだものを運んでいるということが重要です。それらは玉川上水にもあり、庭にもあるものが多いようでした。自然界ではこうして種子がひろがっていくはずです。
お二人は2時間ほど、ずっと種子群に向き合って奮闘しました。もちろんときどき「フーッ」とため息をつきながら・・・。
これまで私は機会をみて、観察会や調査で得られたデータをまとめて報告してきました。多くの人が「おもしろい」「そんなことがわかるんですね」と言ってくださいます。でもそれだと、出来上がった結果を「聞く人」で終わってしまいます。これまでも観察会をただ生き物の名前を言い当てるものとは違うものにしようと思い、調査などをいっしょにするようにしてきましたが、「やりっぱなし」感がありました。ある自然現象を読み取るには、野外調査のあとで、こういう地味で、退屈で、時間のかかる作業をし、そのデータをじっくり眺めながら何がいえるかを考える過程こそが不可欠なのです。私は観察会にその要素を少しでも入れていきたいと思っており、今月は少しそれに挑戦してみました。
そのほかの結果が出たらまた報告します。