玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

22.9.19 玉川上水にはフン虫がいるよ 7

2022-09-23 13:38:07 | イベント
この際と思って糞虫関係の本を持ってきました。中でも糞虫だけのすごい図鑑があって、多分こんな立派な図鑑は世界にも稀だと思います。何しろ糞虫だけで、1種について見開きのページを使って分布や形態の特徴、似た種が多いので、表面の細かな模様の拡大写真など満載です。10年くらい前に出たと思いますが、1万8000円でした。作る人も作る人ですが、買う人も買う人です。まあそういう世界があるということに触れてもらうのもいいと思って持ってきました。



もちろん舘野さんの本も紹介しました。


みんなを相手に話をするのと、本や標本を見ながら近くで話をするのでは距離感が違い、子供も打ち解けてくれます。

糞虫の図鑑を見る

そんな時間をすごした後で、
「今日は心配された天気もなんとかなり、糞虫トラップに結構糞虫も入ってくれて、子供たちは本物の糞虫を見ることができてよかったと思います。具体的には玉川上水に糞虫が実際にいることを見てもらったのですが、そのことを通じて私が伝えたかったのは、ウンチにくる虫なんて汚くていやな奴だと思わないで、その自然界での重要な役割などを知ると、見下すような気持ちがなくなるということでした。小さい子供たちにどれだけ伝わったかわかりませんが、こういう体験がなんとなく子供たちの心に残ってくれたらいいと思います」
と締めくくりました。

 その後も舘野さんと楽しく糞虫談義をしました。


舘野さんと糞虫について話す

舘野さんからはオリジナルのスケッチをプレゼントしてもらいました。



今回のイベントの準備をしてくださったリー智子さん、ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

22.9.19 玉川上水にはフン虫がいるよ 6 舘野さん

2022-09-22 21:51:06 | イベント
ないと思います。今回は関野先生から「舘野さんが参加したいそうだよ」と聞いていました。ご存知の方も多いと思いますが、舘野鴻(ひろし)さんは昆虫の絵本の作者で、私も前から注目していました。対象とする昆虫がシデムシという死体を食べる昆虫やツチハンミョウという毒を持つ昆虫などユニークで、絵そのものが驚異的な緻密さで強い印象を残します。こういう本が幼児向けの絵本としてよく読まれているということ自体も興味深いことです。

舘野さんの作品

私は糞虫の分解者としての重要性に興味があって興味を持っていましたが、その話をしたら関野先生も大変興味を示され、一緒に玉川上水の糞中を調べたこともあります。ある集まりで私も糞虫の話をしたし、別のときには舘野さんも糞虫などの話をされたので、親しくなりました。糞虫を飼育して何年もかけて本を作る徹底ぶりで、子供に生き物や絵のことを教えたりもしている人なので、私の観察会に来られるとは驚きました。朝あったときに
「舘野さんがいるところで話をするなんて、ちょっとやりにくいんだけどな」
と言ったら笑っていました。

 有名な絵本作家なのに気取ったところは全くなくて、子供たちとしたしげに話をしていました。


私は一通りの話をした後で舘野さんに水を向けました。

絵本を紹介する舘野さん

舘野さんは最近、オオセンチコガネを対象として「うんこ虫を追え」という本を出版されました。その本の説明をしてくれました。この本では大きな装置でオオセンチコガネを飼育し、幼虫は実は糞を食べないで枯葉を食べることや、センチコガネとの比較など、これまた徹底的な調べをして、論文も書いておられます。

 それからりーさんが関野先生にも一言挨拶を頼みました。関野先生はグレーとジャーニーで知られる探検家ですが、舘野さん以上に気さくな人で今回も静かに同行されたので子供たちはもちろん保護者も「どこかのおじさん」と思っていたと思います。それはさておき、関野先生は今作っているユニークな映画のことを紹介されました。それは排泄物であるうんこにこだわる人で、舘野さん、伊沢さん(糞土師)、それに光栄なことに私が対象で、この観察会も被写体になりました。探検と言えば高山に登るとか、航海をするなどをイメージし、関野先生は実際にそういう探検もされたのですが、私が見るところ探検とは自分がおもしろいと思うことに突き進む精神で、それが肉体的強靭さを必要とすることもありますが、それだけではないはずです。誰もしたことがない、うんこを映画にするということ自体が探検精神に満ちたものです。


説明する関野先生

そういうわけで、図らずも舘野さんと関野先生の話も聞けるという大変充実した集まりになりました。

写真の多くは青木計意子さん撮影です。ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

22.9.19 玉川上水にはフン虫がいるよ 5 標本

2022-09-22 21:24:08 | イベント
スケッチをしてもらいながら標本の説明をしました。若い頃に宮城県のシカがたくさんいる金華山で採集した糞虫やその後あちこちで採集したものや、マレーシアやインドネシアで調査をしたときに見つけた糞虫、それに今年モンゴルで採集した糞虫などを並べた標本箱を紹介しました。その中にはタイの飛行場でトランジットで待っているときに土産物屋で見つけた大きな糞虫の標本も並べていたので、子供たちは興味を持っていました。




標本ではなく、私が紙粘土で作ったコブマルエンマコガネも持っていきました。これを紹介したら
「えー、これ作ったのぉ!」
という声が聞こえました。

紙粘土で作ったコブマルエンマコガネの模型

写真は青木計意子さん撮影です。ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

22.9.19 玉川上水にはフン虫がいるよ 4 アイヌの民話

2022-09-22 20:56:06 | 生きもの基礎知識
スケッチが大体できたようなのでスライドを続けました。それはアイヌ民話です。


ある森に乱暴者のクマがきて、森を壊し、森の動物を殺したりしました。それを見た動物たちは困り果てていましたが、小さな鳥であるミソサザイは正義感が強くて、なんとかしないといけないとフクロウやツルなど大きな鳥になんとかしようと相談しました。でも鳥たちは自分たちは鳥だからクマと戦うことなどできないとあきらめ顔で言いました。
 ミソサザイは困ってしまって人の神様であるサマイクルに相談しました。そうしたら「わかったそれでは身支度をしよう」
と言って1日目に右の靴を履き、2日目に左の靴を履くと、なんともゆっくりしているのでミソサザイとしてはじれったくて仕方がありません。サマイクルのかみは1週間もかけて準備をしました。
 それからクマを懲らしめるためにキツツキが目を狙うなど役割を決めて追い詰めて、洞穴の中に追い込みました。そうして弓を放ったら命中して、クマはよろよろと海に逃げましたが、そこでシャチに食べられて死にました。
 ようやく森に穏やかな日々が戻ってきました。サマイクルの神が言いました。
「ミソサザイよ、この手に止まりなさい」
ミソサザイが止まると言いました。
「皆さん、よく聞きなさい。ミソサザイはクマを懲らしめるために勇敢に戦いました。小さな鳥だからといって馬鹿にしては行けません。一番行けないのは人を見下すことです」
みんなはうなづきました。
「ミソサザイも頑張りましたが、実は本当の勇者はこれです」
というとなんと小さなホタルが飛んできました。


「このホタルが暗い洞穴の中でクマの目の近くに行って光ってくれました。だから私はそこを目掛けて弓矢を放ったのです。ホタルは小さな虫ですが、こんなに大切な働きをしました。よく覚えておきなさい。神様が作られた生き物には無駄なものなど一つもいません。みんなが大切な役割を果たしているのです」

大人の人にはこの後レイチェルカーソンの「地球は人だけのためにあるのではありません」という言葉が欧米で衝撃をもって受け止められ、称賛されたのですが、そんなことはアイヌの人にとってはあたりませのことだったのだということを添えました。


写真のは青木計意子さん撮影です。ありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

糞虫のスケッチ作品

2022-09-22 14:23:54 | 生きもの基礎知識
作品です。大人のものもあります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする