玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

感想 スタッフ

2020-12-06 23:27:25 | 観察会
足達千恵子

子どもたちは木の実をたくさん見つけていましたが、他の生きものもいろいろと見つけて楽しそうでした。土の中で見つけた幼虫を手にしてはしゃいだり、向こう岸にいる猫に呼びかけてみんなで盛り上がっていたり、ヤモリを2匹捕まえたと言って自慢げに見せてくれたり。先生が説明しようとすると子どもがいないなんていうこともあったようですが、あまりうるさく言わずに楽しく公民館まで行けたのはよかったと思います。

高槻先生は「木は100歳でも200歳でも子どもを産む」とドングリの説明をされ、なるほどと思いました。植物は人間とは違った生き方をしていて、すごい能力をもっていると感じます。黒い実は人間の目には地味で目立たなくても鳥には見つけやすい色で、そのため赤だけでなく黒い実も多いというお話もなるほどと思いました。ゴンズイの実は赤と黒で、すごく見つけやすいのでしょうか。

 ムラサキシキブの実はきれいな紫色をしていて、とくに黄色い葉っぱが残っているとコントラストが鮮やかでとても魅力的に見えました。美しいな~とぼんやり眺めていて、あ!と思いました。今読んでいる『植物と叡智の守り人』(ロビン・ウォール・キマラー著)という本の中に「アスターとセイタカアワダチソウ」という話があり、その色の組み合わせと同じだったのです。ネイティブアメリカンの著者が大学の森林学部の導入面接で「どうして植物学を学びたいんだい?」と訊かれ、「植物学を選んだのは、アスターとセイタカアワダチソウを一緒にするとどうしてあんなに美しいかが知りたいからだ」と答えると、指導教官は「それは科学的じゃないよ。植物学者はそんなことには興味がない。美について学びたいなら美大に行くべきだね」と言います。でも、後に著者はこの二つの花の色、紫と黄色は補色で、互いに引き立て合う関係にあり、人間だけでなくミツバチの目にも似たように見えることを知ります。つまり一緒に生えていることでミツバチ(受粉者)を惹きつけるとしたら、科学的な疑問と言えるのではないか?と思うのです。紫と黄色の組み合わせは鳥も惹きつけるのでしょうか。鳥や虫の目にはどう見えるのかという視点も面白いですね。

 アオギリの果実が、くるくると空高く上昇していった光景は忘れられません。やじろべえの工作は懐かしく、カラスウリの種を出してみたり、シカの角を頭につけてみたり、盛りだくさんの内容でした。子どもによって興味のあるものが違うでしょうから、何かひとつでも惹きつけられるものがあったらいいなと思います。そこから興味を広げていけるような、心の種まきになっていたら素敵ですね。楽しい時間をみなさんと一緒に過ごさせていただきました。ありがとうございました。
(ムラサキシキブは葉が落ちてきていて、あまりよくとれていませんが、一応写真を添付します。)



坂本有加
 事前のスタッフ連絡の中で、木の実を採ったことのない子供もいるはずということが書いてありました。そうなの?と考えてみれば、私も草の実とか木の実を気にして採るようになったのは大学生になってからでした。「採り方を教えた方がいいのかな?」とも思いましたが、玉川上水では子供たちはナンテンやムラサキシキブなどをプチプチと外して、こぼさないようにチャック袋に入れていたし、ドングリを拾うときは穴の開いていないものを選りすぐっていて、慣れているようだったので、採り方は教えなくても大丈夫そうでした。
 後で気付いたのは、− 玉川上水には無いかと思いますが−ウルシなど触ってはいけないもの、とげのあるもの、季節によっては毒のある虫に気を付けないといけないでしょうから、そちらに注意して見守ることで、これは私の次の課題となりました。そして私だったら、「外で摘んだこの実は食べてもいいのかな?」といつも考えます。子供たちは普段そんなことは考えないようで、その場で食べようとする子はいませんでした。
公民館の教室では、前もって採集しておいた木の実たちも並べられました。高槻先生から、「この実は食べてもいいよ。」と私が多めに持って行ったフユイチゴの紹介があると、早速おいしそうに食べる子供たち。それも何度も取りに行く女の子を見て、「持ってきてよかった!」と思いました。きっと初めての経験となったでしょうし、これからは野イチゴを見つけたら素通りはできないと思います。「しめしめ」。でも食べるのは大人に確認してからにしてほしいです。
 実からタネを取り出して数を数えるときに、子供同士がピンセットを巡ってケンカしていたので、止めに入りました。ピンセットは先が尖っていて危ないので、「やめなさい」と私が子供の手から取り上げた形になりました。スタッフとしてしたことといえばそれだけですが、よその子供に注意するという普段ないことをして緊張したのと、何より二人の手が温かかったことが、今回いちばん印象に残っています。最近は体温と聞くと、検温や発熱の方に考えが向きますが、ほんとうは人は体温があって当たり前で、元気な証拠なんだということを再認識しました。
 公民館でのアオギリパフォーマンスとても面白くて、アオギリの羽根(実とタネ)がまさか上に飛んでいくとは思わなかったのでびっくりしました。後日、麻布大学に行く機会があったので、私も高槻先生と同じアオギリの木から拾ってきました。
 全体を通して、子供たちが楽しそうにしていることと、子供たちと同じくらいお父さん、お母さんたちも楽しんでいることが嬉しかったです。お父さん、お母さんたちは子供たちよりも興味があって、採集やメモに夢中になっていたかもしれません。大人が楽しそうにしていると、子供にも伝わるのだと思います。

豊口信行
今日はありがとうございました。
天気に恵まれ、事故もなく、アオギリが空の彼方へと吸い込まれていく様を目撃することができ、楽しい一日となりました。

長﨑 薫
観察会では子供たちの果実を見つける速さに驚きました。走り回っているだけかと思いきや、戻ってきたときにはチャック袋にたくさんの種が入っていました。自分も探していたのですが、だいたい先を越されてしまい、子供たちの探索眼には脱帽でした。
 また、集合場所から公民館までの短い道のりで思っていた以上に多くの種類の果実が集まったことにも驚きました。都市部の中の一部に玉川上水のような環境が残されていることで生育できる植物が多くあるのだと気づきました。開発等を行うとしても、元ある自然環境を少しでも残すことが重要であると感じました。
 室内での作業で印象に残っているのはアオギリの種子が風に乗って揚がっていったことです。自分以外にも多くの参加者の方々が印象に残っているのではないでしょうか。ゆっくり落ちることは想像していましたが、上がっていくのは予想外の出来事でした。風に乗って種子を飛ばせるとはいえ、下に落ちるだけではそこまで遠くまでは飛ばないと思っていましたが、上に揚がることで数キロ離れた地にも生息地を広げられる可能性を感じました。
 ドングリを使った工作も非常に良い経験になりました。自分が子供のころには近くにドングリの生る木があったので、ドングリごまやヤジロベイを造って遊んでいましたが、都会に住む子にとっては当たり前ではない体験になるのだと知ることができました。今後、都会の子供と遊ぶ機会があれば一緒に作ってみたいと思います。
 フユイチゴやカマツカを食べている子もいました。フユイチゴは採取の際に一口食べたのですが、野生の植物がこんなにも美味しいのか!と驚きました。人間にとっても美味しい果実ばかりではないですが、目立つ色で美味しくなることにより動物に食べてもらうことで、種を運ぶことを実感できたように思えます。
 最後に部屋を出る際に「マンリョウ落ちてたよ」といって拾ってきてくれた子がいました。自分の目には先生の話はそこまで聞いていないように見えていましたが、ちゃんと名前を覚えて帰ってくれる子がいることに感心しました。自分も仕事で小学生相手に解説するときには聞いていない様で実はしっかりと吸収している子もいることを考えながら話したいと思います。

藤本 優
先日は観察会に参加させて頂きありがとうございました。
私自身もたくさん勉強させて頂きました。
特に黒い実の意味に納得しました。ついつい自分の見え方だけで物を見てしまいますが、もう少し違った視点で考えてみたいと思います。

外での活動では、子どもたちがどんどん木の実を見つけるので、こんなにいろんな実があるのか、と驚きました。子どもの目ってすごいですね。そして元気ですね。
他の子より早く木の実を見つけたくてどんどん走って行っちゃうのですね。
私にも覚えはありますが、私のお母さんはどうやって私を止めていたのだろうと思いながら追いかけていました。

途中、先に行っちゃう子に、「先生の話きこうよ」と言ってみたら、「もういい」と言っていました。「それよりシジュウカラがいっぱいいる!」と言ってきたので、(よくシジュウカラ知ってるなぁと思いつつ)「鳥の方が好き?」と聞いてみました。すると「うん!」。
そこで、「シジュウカラも木の実食べてるんだよ?何食べてるか気にならない?」って言ってみたら、「気になる…」と言って先生のところに走っていきました。
あ、素直だな、と思いました。
子どもって、自分の気持ちとか興味に本当に素直なのですね。もっと関心を引けるように子どもと話せるようになりたいです。

スタッフとして疑問に感じたことがあります。
子供にやっていいことといけないことの基準が不徹底でした。
例えば、「柵を越えちゃいけない」はみんなわかりましたが、「柵を上っていいのか」がわかりませんでした。みんなと離れて上る子を、止めるべきが止めないべきが迷いました。
散歩やランニングの方が沢山いたので、観察会を見て迷惑に思うのではなく、微笑ましく見物してもらえるように開催できるといいな、と思います。

全体としては、子どもたちが本当に楽しそうだったので、良い会だなと感じました。
ありがとうございました。

リー智子
 今回の観察会だけではなく、高槻先生と一緒に木の実草の実を探すということを始めてから、玉川上水にこれほど多様な実がなっているのだということを知り、とても驚いています。こどもたち、お母さんたちにも知ってほしいという願いが、今回の観察会になりました。
 普段歩いているだけでは、これほどまでに多様な植物がここにあるということに気がつく人は少ないと思います。実は小さく赤いものが多いのですが、割ってみると中身はそれぞれ違います。色も、朱、深いえんじ、紫がかったもの、青、くろ、茶色様々で、時には水色から青、紫に変化していくものもあり、本当に綺麗です。歩きながらみんなで探して回るのはとても楽しそうでした。こどもたちはいつも玉川上水を散策しているのに、これほどの実が見つかることに面白さを覚えたのか、先へ先へと探しにいってしまいます。フィールドでの時間はあっという間にすぎてしまいました。 
 室内での、体験を通じた解説も、遊びを通じて大事なことを学ぶという工夫に感心しました。詳しくは先生が報告にまとめられていますが、大人も勉強になる会だと私はとても満足な気持ちでした。
 これは特別な不思議体験でしたが、高槻先生の実験で、アオギリの実がおちてこなくなったことです。同じ場所でくるくるまわっていて、そのうち舞い上がり始め、ゆっくりゆっくりと高く舞い上がり空に消えてしまいました。その日は無風だとおもったのですが、わずかな上昇気流があったのかもしれないです。こんなに不思議な体験を、こんなに身近でできるんだなと思いました。
 高槻先生の観察会は、いつも学ぶことが多く、今度はどんな工夫があるのかなと毎回楽しみです。


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木の実 草の実 たねしらべ

2020-12-06 21:20:57 | 観察会
木の実 草の実 たねしらべ(2020.12/6)作成中

感想 スタッフ こちら
感想 保護者 こちら
かんそう こども こちら



前の日が小雨の寒い日だったので、天気が気になっていましたが、予報では晴れとのことでした。実際、当日は朝は少し寒かったのですが、良い天気で、子供たちは元気に動き回っていました。
 9時過ぎにスッタフは集まり、9時半には子供たちも集まりました。主催者のリーさんから挨拶があり、玉川上水に移動しました。

 初めに、散歩をする人も多いから、人がきたら道をあけるように説明しました。


それから
「みんなポケットはあるかな?」
「ある」
「3つある」
などと答えが返ってきました。
「では今からこういう袋を一人5枚配るからね」
と言ってジップ式のポリ袋を配りました。
「これはこうして開けるんだよ。そうして木の実を入れたらこうしてぎゅうとすると、もう落ちないから、それをポケットに入れてね」

実は今年は果実が少ないので、子供たちにどれだけ紹介できるか心配でした。それで少し長めに歩いて果実を見る確率を高くしようと思っていました。ところが、歩き始めてすぐに、ネズミモチを、もう少し行くとナンテンを見つける子がいて、驚きもし、安心もしました。子供たちは喜んで先に先にと進んで、マユミ、マサキ、ムサラキシキブ、イヌツゲと次々に見つけてくれました。



 日差しが良くて、コナラの黄葉に光が当たってきれいでした。そこで記念撮影をすることにしましたが、たまたまその木がナラ枯れをしていました。



 しばらく行くとコナラの若木がまとまってあったので、説明をしました。
「人のお母さんは二十代くらいから子供を産んで、そうですね50歳くらいまで産むでしょうか。でも木は100歳でも200歳でもずっと実をつけます。実は木の赤ちゃんです。その赤ちゃんが芽を出してこういうふうにたくさん生えてきます。これがずっと大きくなって高い木になるわけです。でも大きな木にまでなるのは少しだけで、多くのものは途中で死んでいきます」


「ここにはコナラのどんぐりがたくさんあるので、一人が5個拾ってください。できるだけ大きいのと小さいのを拾ってね」


「たかつき先生、これなんですか?」
と植物にくわしいとうわ君がいろいろ聞いてきました。コマユミ、ヘクソカズラ、センニンソウなどでした。それから
「先生、オニドコロがありました」
と大人顔負けの発言もしていました。
 
鷹野橋でアオキの果実を説明

イヌツゲ

ノイバラ

ムラサキシキブ

ヤブラン

ゴンズイ

コマユミ

カマツカ

ナンテン

ネズミモチ

 木の実が多かったのですが、ウサギ橋のところにヤブランの黒い果実が少し残っていました。

ヤブランの果実をとる

そんな調子で歩いていたらリーさんが焦ったように
「公民館での時間がなくなるから、そろそろまっすぐ歩きましょう」
「今、何時?」
「10時半」
「おや、もう1時間もたっちゃったのか!?」
まだ見せたいポイントもあったのですが、少し急ぐことにしました。子供たちは仲良くなって一緒に走ったりしていました。保護者の皆さんは子供に解説を聞かせたかったようですが、野外に出た子供はそうはいきません。一緒にいることが嬉しくて仕方ないようでした。

 津田公民館の部屋は広めの和室でした。もう11時になっており、時間が1時間しかないのですぐに説明を始めました。まず天秤ばかりです。これは針金を「へ」の字型にし、両端に紙コップをぶら下げるものです。中央部分は木の棒の先に打った釘に架けました。そしてその棒は木箱にテープで固定しました。
「左のコップにドングリを1個入れてみて」
子供たちはそうしました。


「左が下がったよね。重い方が下がるんだよ」
「そうしたら次に左側に大きいドングリを2個、右側に小さいドングリを3個入れてみて」
子供たちは自分の秤にドングリを入れて傾きを見ていました。
 今は学校の理科の時間でも家庭でも電子ばかりを使うようになったので、重さとは電子ばかりに載せて測るものだと思っているので、重さの原理を知ってもらいたいと思いました。重い方が下になるという当たり前のことを体験することが大事だと思います。

「さて、次はやじろべえを作ります」
「やじろべえってなあに?」
「やじろべえはね、今説明するよ。初めに穴を開けたドングリがあるから、これに竹串をつけます。それからドングリにキリで穴を開けて、竹串のはじを差し込みます。これを右と左につけると、ほら、ブラブラと動くね。これがやじろべえ。みんなも作って」
「でもね、これがキリで、先が尖っているからね」
と言って頬に当てました。
「刺さると大変だから、気をつけてね」

ドングリに穴を開ける(撮影、石橋)

ドングリに穴を開ける


これに20分くらいかけました。うまくできたようでした。

やじろべえができた(撮影 石橋)


会場の様子

 ホワイトボードに樹木から落ちるドングリ、赤い実をつける低木を描いて、親植物が果実を作り、動物が運んで種子を運ぶという話をし、
「こういうふうに植物はタネを広げようとします。動物を使う植物もあるけど、風を使う植物もあるんだよ。今日はその代表のアオギリという植物の果実を紹介するね」
と言って部屋の外にある狭い庭のようなところに出ました。
 アオギリの果実はとても変わっていて、大きな中華料理のスプーン(蓮華)のような形をしています。その付け根のほうに数個の種子がついています。これが空中に放たれると重さで付け根の方が下になって落ちていきますが、先端部が広く上に凸にカーブしているので空気を孕んで空気抵抗で止まろうとします。種子は片側が重いので落ちようとする力と左右のバランスのズレで回転が生じます。

アオギリの果実


アオギリ果実が回転する原理

 捕虫網用の金属のつぎ棒(釣り竿みたいなもの)の先にタッパーの箱をつけた道具を使って、アオギリの果実が回転しながら落ちる様子を見る実験をする事にしました。つぎ棒は高いところから落とすためで、さらに高くするために私が脚立の上に乗りました。棒を掲げると高さ3メートル以上になりました。

アオギリの果実を飛ばす実験

そこからアオギリの果実を落とすとクルクルと回って漂うようでした。皆さんから歓声が上がりました。

「あ、飛んでる」

「ではもう一つやってみよう」
もう一つを落としたら、驚いたことにその高さで回転して下に降りるようすがありません。それどころか、しばらく旋回してから逆に上に昇って行くではありませんか。徐々に高さを増して5、6メートルのところをゆっくりと回転して公民館の建物のほうにきました。これには驚きました。
「すっげー!」
「マジックだ!」
と子供たちは大喜び
「みんなにもアオギリをお土産にあげるからね」
「やったー!」


それからもう一度部屋に戻って最後の話をしました。センリョウを示しながら
「今日、いろいろな実があったけど、赤いのが多かったでしょう。なんでかなア」
と言ってクリアファイルに赤い丸いシールを貼ったものを見せました。その背後に手持ちのホワイトボードの裏側のコルクの面を置きました。
「これだけと目立たないけど、こうしたらどうかな」
とホワイトボードに緑色の葉を貼り付けたものを背後に置くと、目立って見えました。

 

「私たちが見ても緑の葉に赤い実があるのはきれいです。だからナンテンやマンリョウは正月の床の間に飾ったりします。これはいかにも日本の伝統的習慣に思えます。でもこれはヨーロッパでも同じで、クリスマスには緑の木に赤い飾りをつけて、緑と赤をクリスマス・カラーと言ったりします」
とこれは大人向けに話しました。
「ただ、木の実は人のために赤いわけではなく、自分の種子を取りに運ばせるための仕掛けなわけです。確かに緑の中の赤い実は目立ちます*。でも、イヌツゲやネズミモチのように黒い実もけっこうありました。黒は人の目には目立つようには見えませんが、研究によれば鳥の目は感じる波長が違って黒も目立つんだそうです。だから植物は鳥に向かってアピールしてるんですね」

* この文章の最後に、赤い実を集めてみました。
「ナンテンみたいに赤くて小さい実が多かったけど、花はいろいろです。大きいのもあれば、小さいものもあり、形もさまざまです。それは系統が違うからで、それでも同じようになるのは、それが有利だからと考えられています」
「今日はいろいろな果実を集めたけど、そのほかにもスタッフの人が色々集めてくれたので、あちらの机の上におきました。どれでもいいから選んで、実の中にどういうタネが何個入っているか調べてみて」
と言ってピンセットを配りました。
 しばらく作業をしていましたが、カラスウリの7個から11個までとか、ジャノヒゲの1個とかいろいろな結果がありました。

カラスウリの種子を数える

その間にカマツカの実をかじってもらって、リンゴのような香りがするのを体験してもらおうとしたのですが「まずい」という子がいたので、食べない子の方が多くてこれはうまくいきませんでした。多分いまの子供は飴とかお菓子しか食べないので、「不純物を含んだ」味というのを知らないからそういう味は「まずい」と感じるのだと思います。

 
手作りの箱に入れた果実(撮影 高槻/ 石橋)

 時間がなくなってきたので、忘れていたサプライズを紹介しました。
「あのね、先生はシカの研究をしているんだ。それで今日の内容とは関係ないんだけど特別にシカの角を持ってきました」
と言って頭に1対の角を掲げて
「みなさんこんにちは」
とお辞儀をしました。


「うわ、すごい!」
と大人からも歓声が上がりました。
「これが春になるとポロリと落ちて、またニョキニョキと伸びるんだよ。不思議だよね。さっきのアオギリの果実がクルクル回ったとき<マジックみたい>と言ってる子がいたけど、シカの角も不思議なもので、自然界にはたくさんの不思議なことがあるんだよ」



 時間が押してきて11時55分になったので、片付けをすることにしました。感想文を書いてもらい、果実をお土産にしてもらって解散としました。
 
 野外で果実を採集し、遊びながら学ぶという狙いからすれば、まずまずのものになったように思います。ただ慌ただしくてやや消化不良気味になったのは反省点でした。この観察会が子供たちにどのくらいのものを残したかはわかりませんが、植物っておもしろいなと感じてくれれば嬉しいことです。

 準備をされたリー智子さん、協力いただいたスタッフの皆様*にお礼申し上げます。多くの写真は豊口信行さんの撮影です。ありがとうございました。

*スタッフ:足達千恵子、豊口信行、平沼みなみ、坂本有加、長崎 薫、伴かなこ、藤本 優、山岡信貴

*********************
玉川上水以外の場所で採集したものも含め、赤い実とその種子を並べてみました。


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感想 保護者

2020-12-06 15:27:41 | 5月の植物
保護者
小山内 真弓
 家族で参加させていただき、ありがとうございました。盛り沢山な内容で、楽しく充実したワークショップでした。玉川上水の草や木を1年間かけて観察していく中で、子どもにとって花を見つけるのと同じくらいに木の実草の実採取は盛り上がってました。
採取した実を割って調べたり、タネがどうやって風で飛ぶがなど、実際に見る事や体感することができ、親からでも伝えることが困難な内容も分かりやすく教えて頂き、親子で植物に対する興味や知識を深めることができました。中でも、鳥にとって黒の身も美味しそうに見えるというのが驚きでした。
 スタッフの方々は、時間をかけたくさん準備してくださったかと思います自分では探しきれない木の実草の実に出会うこともできました。ありがとうございました。

小山内おとうさん
たくさん準備していただき、楽しく参加できて、ありがとうございました。楽しい課外授業でした。後半の公民館で拾った木の実やドングリを使用した企画は周りの自然から
学ぶこと、楽しむことへとつながることを感じれて良かったと思います。なんで葉の形や色に意味があるのか?と考える一例になったのではないかと思いました。
ヤジロベーや秤、昔はドングリの実からはかる方法というモノのはかり方を学ぶには
良いと思いました。しかし、準備も大変と思いますので盛りだくさん企画で受ける側の子どもはキャパオーバーで受けとれなかったと思いました。

石橋綾子
葉が落ちてすっかりなくなっていると思った道。この短い距離でこんな種類があるのかと驚きました。アオギリの種を飛ばす実験は種が風に乗って遠くまで運ばれていく様子をライブで見れておもしろかったようです。
 箱を用意してくださったことにより、帰ってから、名前を思い出しながら種をならべていく作業をたのしみました。はじめて見る実も多くて興味をそそられたようです。
 観察やワークショップの場だけでなく、家でもたのしめたのがよかったなと思いました。出来上がった箱に並べた実に満足げでした。
 こどもたちはすっかり新たな実を探すことへと熱意を注ぎお話をどれだけ聞けていたかわかりませんでしたが採集した実の名前や由来などを知ることで、身近な植物との距離が縮まったような気がしました。季節が変わっても今度は葉や花を見てみたいと思いました。そのようなきっかけをいただいたことに感謝。

石橋 彩子
今日はお世話になりました鹿の角をつけた石橋太一の母です。
短い距離の中にこんなにもたくさんの実をみつけられたこと、あらためて豊かな場所だと思いました。たのしく学べて私自身もとても楽しかったです。
次男の亮平はさっそく学校の自主学習ノートに何やら書いてます。
いくつか新しい実を覚えたようで、近いうちにまた歩きたいなぁと思ってます^ ^
ありがとうございました。

おうちでやじろべえで遊ぶ亮平くん

木の実について自主学習をしたようです。

上野泰子
 ステキな木の実観察会をありがとうございました!
 ふだん、歩いている玉川上水に、こんなに沢山の実がついていることに驚きました!先生に木の実を見つける視点をもらうと、子どもたちが、実を、見つけること見つけること!!あっという間に、もらった袋が一杯になりました。
 帰宅後、きれいに箱にしまい直して、宝物になっています。友達が来たときには、取り出してきて、
「これは、ナンテンだよ。どれか一つあげるよ。」
なんて、得意げに紹介しています。
  一番下の2歳の子も、熱心に話を聞いて、木の実を集めて、いっちょ前に参加していたのが印象的でした。先生が実演してくださった、アオギリの実の落下実験では、飛んでいってしまってのがほんとに不思議だったようで、後で、色んな実や葉っぱで、試していました。
  今回の観察会のおかげで、玉川上水の散歩が、また一段と、楽しくなりました。新しい視点や、様々な気づきをありがとうございました。

平沼みなみ
今年は、自分が引っ越したこともあり玉川上水をほとんど歩いていなかったことに気づいた。いつの間にか道にはたくさんの枯葉が落ちていた。
 子供達はスタートからエンジン全開であっという間に木の実を見つけ出していてエネルギーに圧倒された。中には植物にとても詳しい子もいて、その子に教えてもらったり、みんなでなんの実か考えながら採集したのはとても楽しかった。玉川上水で思った以上にさまざまな種類の木の実が見つけられて正直驚いた。
 祖父母が以前住んでいた家で小さい頃必死に集めていた実がジャノヒゲという植物だったということを知った。青紫の実の中には半透明な種が入っていて、ビーズのようでこれが好きでよく集めていた。木の実が宝石で、ビーズで、不思議な物だったことを思い出した。
 観察会の後日、子供達のうちの数人と会う機会があったが、オレンジの大きな実を見つけて「カラスウリだ!」と得意げに見せてくれた。あんまり話は聞いてないのかと思っていた子がしっかり覚えていたので私も嬉しくなって「カラスウリだねぇ」とはしゃいだ。
こちらが木の実の名前を知らなくてもそれらは関係なくそこにいるが、存在を認識することでこちらの景色の彩度が上がる。たくさんの、知らない命に囲まれていたことを知る。名前を知ったり、特徴を知ることは豊かなことだと思った。

三浦玲子
似ている木の実でも葉が違ったり硬さが違ったり中身が違ったり、身近な木の実の豊富さを知ることができ、とても楽しい体験になりました。宝箱に沢山の木の実を入れることができたのも素敵な体験でした。ありがとうございました.

米倉房子
 玉川上水から南に80メートル位のところに住んでいて毎日柴犬の散歩で歩いていますが、今回参加し木の実の名前を知れて、より玉川上水歩きが楽しくなりそうです。ありがとうございました。
 子ども達にとっては、小学校の担任さんからではないリアルな理科のお話を聞けて面白かったようです。帰宅してから次男はてんびん秤に工作を付け足してめもりをつけていました。私に分度器をかしてと言って牛乳パックで何やらつくっていましたが、出来上がったものをみて少し驚きました。なぜこの子はこんなものを思いついたのだろうと。なんでこれを作ったの?と聞くと、リーさん宅にあった天秤ばかりのマネをしたというのです。「納得!そうか」と。確かに先日、子どもがリーさん宅でリアルなてんびん秤を見ていたのを思い出しました。その後、その手作りてんびん秤を使って兄弟で木の実どちらが重いか競争に発展し盛り上がっておりました。
 長男は、公民館で中身を出したカラスウリのタネを家でさらにキレイに水で洗っていました。そして「タネは26個だった!」「タネがこんな変な形*だよ!」と私に報告してきました。「そこまでしなくても・・・」と最初は思ってしまったのですが、洗ったからこそ、タネの形の不思議さに気づけたのです。
 私はこども達に木の実をこのステキな箱に整理したら?とか宿題の自主学習に書いたら?などとは促しましたが、めもりをつけたら?とか洗ったら?などとは言っていません。子ども達が好きで勝手にやったことです。そこで、私は思いました。子どもは、本物のリアルなものや人に出会い、自分の興味を刺激されれば、勝手に学んでいくのだなぁと。やはり本物の力はすごいなと思いました。
 今回のワークショップ、高槻先生のお話、リアルな実感、子ども達によき刺激になったようです。ありがとうございました。

* カラスウリの種子は特殊な形をしています。縦長の部分に海苔巻きお結びのようにぐるりと帯が巻かれたような形で、クロワッサンみたいです。高槻

カラスウリの種子

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かんそう こども

2020-12-06 11:38:08 | 5月の植物
おさないしゅうと(小1)
木の実拾うのが楽しかった。高槻先生に木の実を聞けるのが良かった。どんぐりのお話が楽しかった。

おさないとうわ(年中)
木の実がいっぱいあって楽しかった。花から実がつくところが見てみたい。あおぎりのはっぱがちょうちょみたいにくるくるまわったのがおもしろかった。やじろベえを作るのが楽しかった。

つむぎ(三浦紬希、小4)
自分の見つけた木の実を集めて箱にいれたのが楽しかったです。またやりたいです。

かなで(三浦奏音、小2)
沢山の木の実の名前が知れて嬉しかったです。

米倉そうへい(8歳)
·アオギリのタネのとび方は不思議で面白い。空にあがっていったのは竹トンボみたいだった。
·てんびんばかりのしくみが面白くて家に帰ってからめもりをつけてみた。
·ねずみもちの実がたくさんあったなあ。
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