玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

交通事故

2017-01-10 08:21:38 | ぽんぽこ便り
 玉川上水から1キロメートルほど北にすんでいる親戚が、近くのお寺の近くでタヌキが交通事故に会って死んでいたと、写真を送ってくれました。2016年10月3日のことです。頭を轢かれたようで、口から出血しています。その後処理されたようです。野生動物の死体はゴミとして処理されます。


交通事故で死亡したタヌキ(2016年10月3日、小平市)

 そのお寺は道を挟んで神社もあり、両方で直径数十メートルほどの林があるので、前からタヌキがいるだろうと思っていたところでした。
「せっかく生き延びて来たのに、こうして死んで行くんだ」
と胸が痛みました。
 英語では「ロードキル」といいますが、交通事故死といえば「死ぬ」ですが、「キル」は「殺し」です。そのほうが実態を的確にとらえた表現です。
 実は私は学生と麻布大学がある神奈川県相模原市と隣接する町田市で野生動物の交通事故を調べたことがあります。驚いたことに両市で年間800頭もの犠牲者が出ており、3分の2ほどはタヌキでした。私の感触としては小平市よりは自然が残っているようなので、タヌキもいるし、自動車量も多いために交通事故が多いのだと思います。小平のほうが交通量は多そうですが、野生動物はあまり生き延びていないのではないかと思います。
 生まれて来る数と死ぬ数のバランスが崩れたときに数の変化が起きるのですから、死ぬ数が多くなればいなくなります。
 この例はこのあたりのタヌキの将来が楽観できないことを示していると思います。
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タヌキの足

2017-01-10 02:39:17 | ぽんぽこ便り
これはタヌキの足です。「あし」といえば脚あるいは肢と足があります。腕と手のひらの関係です。

 
左が前足 右が後足

タヌキの足は人の足に対応します。あたりまえのようですが、馬の足は中指の先端です。タヌキの足跡は「梅の花」といわれますが、これは「肉球」が丸いからで、この5個が梅の花の花びら5枚のようだということです。雪の上についたタヌキの足跡はなるほど梅の花に似ています。



もっともこれは本当の梅の花というより、デザイン科された「梅花」の形に似ているからです。


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タヌキの頭骨

2017-01-10 01:27:25 | ぽんぽこ便り


これはタヌキの頭骨で、意外感があると思います。というのはずいぶん細長いからです。タヌキといえば丸顔、骨もそうだろうと思いますが、意外に細面なのです。丸顔の印象があるのは、この頭骨に筋肉がつき、長い毛が生えているからです。頭骨はキツネ、アライグマなども似たようなものですが、タヌキだけが脳の収まる部分の表面に独特のザラザラ感があります。
 前歯は3対で、小さく、先端に切れ込みがあります。その手前に牙(犬歯)があります。これはたいへん大きく、ほかの歯とは飛び抜けた大きさです。イヌ科の動物はだいたいこういう大きい犬歯をもっていますが、犬歯は英語でcanineといい、canisというのはイヌの意味です。その奥に3つ位の前臼歯、さらに奥にもう3対の後臼歯があります。
 下顎の基部には3本の突起がありますが、中央の突起が頭部の「受け」とがっちり組み合わさって蝶番のように顎を上下する支点になっています。
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こども観察会参加者の感想

2017-01-06 08:13:20 | 観察会
当日の参加者の感想を子供、保護者、スタッフ・見学者の順に紹介します(2017.1/14現在)。

子供
おがわ まお(4歳)



こばやし あおい(5歳)
おもしろかった。カメラの写真が見れたのがおもしろかった。ホネをふたつ大きさを比べたところがおもしろかった。タヌキのホネは思ったより小さかった。 あのカメラがかっこよかった。

たかつき あかね(1年生)


高槻 柊(4年生)


坂野 遙(4年生)



高槻遼大(6年生)



保護者
井上志保
 今日は素敵な時間を共有していただき、ありがとうございました。先生の思い、拝読しました。子供達へ受け継ごうとしていらっしゃるものが何か、垣間見れた気がします。
 空人は撮影したもの、講義で聞いて知ったことなど、帰宅してからたくさん話してくれました。タヌキのフンのことを興奮気味に語ってくれました。分解の仕方、ゴミが残ることもあるということ、タネはどんな感じか、それを鳥がまた運ぶことなど。それから「自然が好きだから、動物が大好きだから、タヌキのことに詳しくなれてうれしかったなぁ」とか「あおいのおじいちゃんは、何で動物やフンに興味をもったのかなぁ?聞けばよかったなぁ」とも。
 「タヌフン博士」という命名もいたく気に入っていました。
 生き物のことっていいですね。本当にありがとうございました。

小川志保
 先日は津田塾大学でのタヌキの糞探しに参加させて頂き、とても楽しい時間をすごせました。日々の暮らしに追われ、なかなか子どもと探検する時間もなったので親子ともに達成感がありました。かわいいおみやげもありがとうございます。春陽(6歳)は恥ずかしがって描いてくれませんでしたが、映真(4歳)はお礼にタヌキのおイラストを描きましたので送らせていただきました。またこういった機会があればぜひ参加したいと思います。またお会いできる日を楽しみにしています!

小林夕美子
最初の話、小道具もあったり、親しみのある話し方で、子どもたちは入りやすかったと思います。はじめてのこども相手のことで緊張したかと思いますが、子どもに伝えたい、リラックスした空間で楽しんでほしい、といった想いが伝わってきました。子どもにとっても、はじめての場所で、やることもユニークだし、人数も多く、思ったよりおとなも多かったので緊張するかと思いましたが、そういうこともなく、かといってふざけたりする子どももいなかったのは、子どもたちにも先生の誠意が伝わったからだと思います。
 実際にしている調査の現場に行く、糞を洗うといったことをすることがすごくよかったです。本で読んだりテレビで見るより、また博士が「こうしてるんです」と話すより、子供が実物を体験できることは、おとなが教えようとしていること以上のものを見つけたり感じたりすることができると思います。
 今後の参考にいくつか改良点をあげてみます。質問コーナーがあるとよかったと思います。友達と「タヌキは昼間どこにいるんだろうね?質問コーナーがあれば聞いたんだけど」と話しました。
 人数半分くらいだとよかったかもしれません。質問タイムを設けなくても、質問できる雰囲気ができると理想ですね。でも、あの人数のわりには、いい雰囲気でできていたかと思います。
 事前にカメラ、筆記用具持ってくるようにとありましたが、不要だったかもしれません。おとなは「ここは撮らなきゃ」、子どもは「なにか書かなきゃ」になってしまうのは、もったいないです。もっと集中して見たり感じたりできるのでは。それから、せっかくいいカメラマンの方がいたのだから、「大事なところは撮ってホームページに載せるので、他の人はできるだけ撮らないでください」くらいのほうがよいと思いました。(わたしもたくさん撮りましたが…)
 公民館移動はなくてよかったかな思いました。遠くて移動の時間がかかったし 部屋もテーブルだと遠くて距離感がありました。和室でもう少し博士との距離が近いほうがよかったです。写真も現場でパソコンで見せるので十分だったかと思います。ただ、もう少し少人数だと見やすいと思いました。そういうわけで、 公民館はなしで、最初に集まったところに戻り、お話しとゆったり質問タイムくらいでよかったと思います。
 それから、最後のまとめをもう少しわかりやすくして欲しかったです。最後が少しぼやっとしていました。せっかくなので、「身近にも動物が暮らしているんだよ。夜しか行動しない生き物でも糞や写真からどういうふうに暮らしているか、知ることができるんだよ、博士はそうやって調べているんだよ」などていねいに話すとこどもに伝わりやすかったと思いました。でも、まとめが欲しいのは大人であって、子供はただそれぞれ感じたものを持ち帰るっていうのもいいかもしれません。
 そんなところです。よい会だったと思いました。

下津彩子
 本日は、貴重な体験をありがとうございました。小6と小3の息子と一緒に参加させていただきました。
 3,4年前、長男が身近な野生生物に興味を持ったのをきっかけに、少しでも自然の残るところに出かけると、地面をじっと見つめ、足で葉っぱを払い、糞を見つけると、図鑑を見ながら、どの動物の糞か、どうやって暮らしているのか、その辺に食べ物らしきものはあるのかなどを、想像して、推理する遊びをしていました。
 長男が一番心を動かされていたのは、先生が、糞を次々に拾って、ささっと袋に入れていき、ひざを濡らしながら、目を凝らしながら、糞を洗って中身を洗い出す姿でした。人々がいなくなった後、ため糞をじっくり眺めながら、「先生、すごく楽しそう。こうやって調べてるんだ。」と目を丸くしていました。
 次男は、骨に一番関心があったようです。まわってきた骨をじっくり見て、歯のかみ合わせをそろえたり、上下左右に動かしたりして、
しきりに写真を撮っていました。先生の本(「動物のくらし」、玉川大学出版局)を「これすごいなあ。おもしろいなあ」と言いながら、丁寧に読まないともったいないらしく、じっくり読み進めています。
 私は、子どもたちが関心を持ったことがきっかけで、先生の本を数冊、読ませていただいていましたので、先生のお話を直接お聞きできたことが、なによりうれしかったです。
 子どものころから、観察することが好きでしたが、今は、子どもたちをひたすら観察し、彼らの雄姿を親御さんにお伝えすることを専らの楽しみとしています。子どもたちのイキイキした姿を見ていると、人間も自然の一部だなあと思うことが多いのですが、今日は、タヌキのような、身近に暮らす生き物の存在を子どもたちと一緒に感じることができて、
都会でも、タヌキだって、田舎育ちの私だって、暮らしていけるんだ!と、うれしくなりました。ありがとうございました。

山﨑恵美
「タヌキのうんちを探してみよう」に参加させていただき、貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。うちの息子は、小さい頃から、とにかく、虫や動物、恐竜が大好きで、図鑑を開かない日はないくらいです。カタカナも図鑑を見ながら覚えたようです。
 子供がマニアック過ぎて(笑)親の方がついて行けてない状況です。自宅近くは自然があるものの、どのようにしたら良いのか手段が分からない状況でした。親としては、なんとか、子供の好きなことを伸ばしてあげようと、国立科学博物館や、恐竜展などに連れて行くのですが、今回のように、実際の調査地に足を踏み入れることは、奥深い体験で、親としても、とても勉強になりました。
 息子は、まだ1年生なので、理解力も感じることを言葉にしたりすることは上手くはありませんが、動物博士のようなところがあって、大学の茂みにタヌキが来ると言うことが不思議で仕方なかったようで、さまざまな思いを胸に帰ってきたようです。
 4才の下の女の子も、意外なことに先生にベッタリついて歩いて、お話や作業に釘付けで感心しました。
 現代は、あらゆる事がテレビやパソコンで情報収集できますが、実際に自分の足で探索するということがとくに良かったと思います。先生のような専門の方とご一緒出来る機会もありませんので、親としても、とても良い経験が出来て良かったと思います。また、このような機会がありましたら、是非お声をかけていただけますと幸いです。

スタッフ・見学者
石井おりえ(童話作家)
 冬晴れの日差しのもと、まるで遠足のような雰囲気で津田塾大学の芝生からスタートし、高槻先生の、「タヌキがこの近くに住んでいるのが分かったのです」から始まったうんちにつながるお話はすごくわかりやすく、大人の私が聞いていても、自然と興味が湧き、すっと入っていける内容でした。お手製のたぬきの仮面もほんわりユニークで、笑い声も上がり、場が和んでいました。
 先生に誘導され、実際にタメフンがある場所に連れて行ってもらい、土と混ざるようになったタメフンをみんなで観察。そのときは土に混ざっていたせいか、あまり実感がなかったのですが、その場に設置されたカメラの映像に写ったタヌキの映像をパソコンで見せられた時は、ハッとしました。
「ほんとに、自分が住む小平市にタヌキが生息しているのだ」と。
 そうすると、タヌキのフンもだんだんリアリテイーを増してくるのでした。
 フンを採取した後、ヤブをぬけ、先生が子供たちとフンを水で洗う作業。ふと、顔を上げてその風景を見てみたら、そこにぽっかりと光が当たっているようでした。子供たちは、自然に好奇心のままにその作業をしていて心地よい時間でした。
 公民館に移動して見せていただいたタヌキとシカの頭骨、タヌキのフンの中に混入していた物たちを見せていただき、とても貴重な体験ができました。
 今回のイベントに参加して、何よりうれしかったのは、自分の住んでいる付近に、本当にタヌキも生きていることを知ったことです。イメージするだけでは、まるでおとぎ話のような、幻のようなタヌキの存在を少しだけ身近に感じることができました。そして、その事実を、高槻先生をはじめとして実際に調べる計画を立て、実行している方たちのおかげで、子供たちと一緒に体験できたことが、奇跡のように思えました。
 自分の中に、ぼわーっと何かが広がるような気がしています。人間だけの世界で暮しがあるのではなく、いろいろな生き物とのつながりの中で生きていることを、もっと実感として知覚できるようになったら、自然や人を見る感覚が豊かに広がっていくような気がします。

荻窪 奈緒
高槻タヌフン博士
 先日のタヌキのフンを探してみよう!の会ではワクワクする楽しい時間をありがとうございました。日頃のタヌキの暮らしは全然知らなかったので、とても勉強になり貴重な経験となりました。
 タヌキのフンはくさいと聞いたことがあったので、少しドキドキしながら参加しました。実際にまだ湿っているフンのにおいを嗅いでみたらくさくなかったので、よかったです(笑)。季節にもよるんでしょうか。子供達と一緒に参加できて、よりワクワクすることができました。タヌキのフンの中の種子をシロハラという鳥が食べに来ているのがカメラの映像で分かり微笑ましたかったです。調査の仕方も学べてとても勉強になりました。 
 タヌキのフンの香りをみんなで嗅いでみるのもよいかと思いました。また色の違いなど見比べてみるのもいいなと思いました。五感を使った自然観察です。また、子供達からの質問を聞いたり、感想を聞いたりする時間も作れるといいなと思いました。

高野 丈(井の頭かんさつ会)
 今回は楽しく、意義のある観察会に参加させていただきまして、誠にありがとうございました。
 今まで井の頭公園で自然観察会を12年、140回ほど開催してきましたが、哺乳類動物は一度もやったことがありませんでした。バードウォッチングと異なり、観察会当日に生体を観察することが困難という理由からでした。しかし、フィールドサインを見つけ、センサーカメラと写真を活用することで、十分に充実した内容の観察会が開催できるのだと今回教わりました。今後、仲間と連携した調査を実現し、いずれ観察会も実現したいです。
 子供と野遊びするのは楽しいですし、大切なことだと思います。生きものに詳しい人を対象に専門的な観察会をやるのもいいのですが、未来そのものである子供たちを対象にし、身近な自然に一緒にふれたり、生きものの魅力を伝えたりするほうが、自然と生きものと人を大切にする社会に近づく一歩になると思います。
 本格的な調査研究を子供向けにアレンジし、親子で楽しみながら本物にふれられ、体験できるこのイベント。広く多くの子供たちに参加してもらいたい取り組みです。今後も活動をご一緒させていただければ幸いです。

豊口 信行
 先日はありがとうございました。
 自然の中に子どもがたくさんいる風景はとてもいいですね。いつも無条件に心が踊ります。また、ぼくには子どもたちが自然から何かを感じたり、記憶に留めたりできる手助け、あるいはきっかけになるような何かをそれとなく与えたいという思いは常にあります。そこには正解も子どもの数だけあり、毎度試行錯誤です。6日の会は大成功だったと思います。
 ぼくは独身で子どももいませんが、8歳の甥と6歳の姪がいて、彼らと遊ぶ時は極力外に連れ出して、自然や生き物に興味を持ってもらうべくあれこれ企んでいます。また、NPOの仕事でも同年代の子どもたちを外に連れ出す機会はあり、未就学児から低学年ぐらいの子どもの日常的な興味や関心、集中力、自然との距離はだいたい彼らを通じてなんとなくわかっていると思ってます。
 それだけに、今回タヌキのタメフンの調査を子ども向けにすると聞いた時は、正直不安を感じました。直前に人数を聞いた時は、適正な人数よりもちょっと多いとも感じました。本物のタヌキを見れる訳ではなく、また、冬なので昆虫も見られず、子どもたちは楽しめるだろうか、飽きてバラバラになってしまうのではないかという不安がありました。
 でも、天気にも恵まれ、親御さんたちも関心の高い方々ばかりで、会のはじめから雰囲気がよかったと感じました。そこにはもちろん、先生のお話やご用意された小道具の数々が効いていたと思います。集合写真のあとみんなで歩き始めたところで不安はあらかた霧消しました。最初のタメフンの場所に向かって先頭を歩く先生と、その周りを囲んでくっついて歩く子どもたちの姿はとても好ましかったです。
 タメフン場での解説も非常にわかりやすく、ぼくは折りしも「タヌキ学入門」を読み終えたばかりでしたのでいろいろおさらいできました。ただ、やはり人数の多さは否めませんでした。目の前で実物を見ながら同時に解説を聞ける人数はごく限られており、後ろの方にいた子はあまりよくわからなかったと思います。それでも飽きた素ぶりを見せる子どもはいなくて、感心しました。
 もう一つのタメフン場に行く際にクマザサの藪を進みましたが、小さな子どもは頭が隠れるほどでした。中には嫌がる子どもも見られましたが、多少はタヌキの気持ちを感じられたのではないかと思いました。ちょっとした冒険っぽい雰囲気もあり、あそこをズンズン進んだのはとてもよかったと思います。
 水洗の様子も皆熱心に見入っていました。大部分の大人も含め、糞を洗うところは初めて見る光景だったのでしょう。
 公民館への移動もスムーズでしたし、座学のお話もわかりやすかったです。タヌキとシカの頭骨は、男の子だと悪ふざけをしてこわしてしまうのではないかという不安もよぎったのですが、みんな熱心に触って観察していたのが印象的でした。
 ぼくが驚いたのは、先生が子どもたちに認定証とタヌキのマスコットを用意されていたことでした。しかもどちらも名前が入ったものを。フィールドに出る前の準備に向けられた意識と充てられた時間について、頭が下がる思いでした。
 改めて思ったのは、保護者も一緒の観察会はいろいろ都合がいいのではないかということでした。保護者の方とてお子さんとほぼ同じスタートラインの方が多いでしょうし、帰宅後の会話でも互いの記憶を補完しあったりとできますし、理解が進むと思いました。

浪川真則(グラフィックデザイナー)
「タヌキのフンを探してみよう!」に参加して
 子供達はまだ小さい子が多かったので、可愛い反応が見られて楽しかったです。最初はタメフン場をみても子供たちはあまり反応が良くないかなと思いましたが、その予想を覆すような子供達の食いつきに驚きました。子供達がどんどん高槻先生の話に引き込まれていって、タメフン場の周りは子供たちが密集しており、好奇心の塊となった子供たちの目はキラキラしていて、熱気にあふれていました。
 私は動画を撮影していましたが、タヌフン博士についていく子供達が本当に楽しそうに探検隊気分で動いているのが印象的に映りました。
 今回は子供たちが主に参加し、タメフン場を見てもらい身近にいる生き物を感じ、そういったことを通じて自然の大切さ、そして自分も動物のリンクのなかにいることとを肌で感じてもらえたら良いと思っていましたが、子供達はしっかりとそれを肌で学んでくれたと思います。
 子供たちに伝えるためのこういう観察会は子供の人格形成にとても意味のあることだと感じました。
 この度は貴重な体験をありがとうございました。

松山景二(主催団体のメンバー)
「ちむくい」(ちいさな虫や草やいのちをいきものたちを支える会)の松山です。今回の子供観察会はとくに印象深いものでした。ランダムですがいくつか感じたことをお伝えいたします。

・こども達がワサワサと自然を観察することがすごく貴重だと思いました。
・親子で参加したことは観察とお話が家庭に持ち込まれて良いことだと思いました。
・実は、こども達と自然を学ぶことは、相当に楽しいと気付きました。
・こども達が学校教育の場とは異なるところで、教師とは異なる人々と遊び学ぶ機会は貴重なものと思います。
・タヌキに限らず玉川上水を子供とともに学び遊ぶ事を積み重ねたい。
・タヌキの糞、頭蓋骨、タヌキの食べ物などの実物は大きな印象を残したと思います。
・認定証やタヌキの人形が出てきたときは、びっくりし、そしてうれしくなりました

溝口もと
 タヌフン観察会では、大変貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。
 高槻先生のタヌキのお面は、「タヌキには会えないけど、タヌキはちゃんといるんだ!」というイメージを膨らませ、想像させる手がかりになったと思いました。
 採取したフンのビニール袋に、こどもが日付けを記入させたことは、「何がわかるんだろう?」という興味を膨らませるきっかけになり、観察する方法をひとつ学べたと思います。
 フンを水洗したとき、幼稚園くらいのこどもが、そのフンを洗う仕草を真似していました。調べるという行為をおもしろいと感じたからだと思います。先生が一生懸命、メガネを外して、じっと観察していたことの記憶は、ずっと残ると思います。
 ミニタヌフン博士の粘土細工、あたしもほしいくらいです。
 今後のタヌフンの調査が楽しみです。

リー智子(主催団体代表)
・高槻先生の準備が素晴らしかった。
・どんなちょっとした疑問でも、解説がわかりやすく、人生を通じて研究されてきた厚みを感じる。
・先生は子供向けの観察会は初めてとのことだが、そんなこと全く関係なく、子供達の心を惹きつけていた。子供相手にやってきたかどうかよりも中身の深さが子供の心を惹きつけると思う。むしろ子供だからこそ、正直なので、面白くなければそっぽを向いていたと思う。
・素晴らしい先生と出会ったと、しみじみ感じた。
・もっと知りたいという意欲がさらに生まれた。

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こども観察会

2017-01-06 01:24:18 | 観察会
こども観察会

写真はすべて被撮影者の了解を得て公開しています。

<子供にも見せようか>
 3月から始めた玉川上水の観察会も12月まで続け、並行して進めた調査でいろいろなことがわかってきました。中でも津田塾大学のタヌキについては意外なこともわかってきたし、その調査そのものの楽しみも共有してきました。そんなとき、この活動の中心的存在であるリー智子さんから、津田塾大学のタヌキについて子供に体験させることはできないだろうかという相談を受けました。私は半生を動植物を調べることに費やしてきましたが、それを通じて覚えたことや考えたことを子供たちに伝えたいという思いがあるので、よろこんで引き受けることにしました。津田塾大学にお願いしたらありがたいことにご快諾を得ることができました。そして次のような案内文を作りました。



 子供たちに声をかけたのが遅かったためにあまり集まりがよくなかったので、私自身の孫やその友達などにも声をかけてなんとか観察会ができそうな人数になりました。

<観察会の日>
  1月6日、就学前から6年生までの17人の子供たちと、保護者とスタッフ21名もの予想以上の人数が集まりました。ちょっと寒かったのですが、快晴の気持ちよい天気になりました。初めて出会う人が多いので、白いガムテープに名前を書いて胸に貼ってもらいました。
 津田塾大学は正面に古い様式の本館があり、その前に広々とした芝生があります。はじめにそこでタヌキについての説明をしました。
「こんにちは。今日はこの津田塾大学でタヌキのことを調べます。私は高槻先生といいますが、タヌキの糞を調べているので、今日は「タヌフン博士」という名前にします。」

 


タヌキの説明をする(撮影:高野)

 正月に紙粘土で作ったタヌキのお面も使って少し説明をすることにしました。
「みなさんの家ではイヌやネコ飼っているかもしれません。イヌやネコは食べものを人がくれますが、タヌキは自分で探して生きています。こういう動物を野生動物といいます。野生動物はふつう山などにすんでいますが、実はこの大学の中にもすんでいることがわかりました。
 どうしてわかったかというと2つのことを調べたからです。ひとつはカメラを置いておくと、前を通った動物が写るので、それで確認しました。もうひとつは、タヌキはトイレのように決まった場所でウンチをするのですが、それがこの大学の中にあったんです。
 なぜかというと、ちょっと見てください。この大学には大きな木がたくさんあって林になっています。まわりには道路があったり、家がたくさんありますから、タヌキにとっては暮らしにくいのです。でも、この大学の中は気が多いタヌキがくらすのにつごうがよいところみたいなんです。」
 そういう説明をしたあと、記念撮影をしました。


集合写真(高野)

 それから、キャンパス内を歩いて移動しました。正月休みなので大学はひっそりしていました。グランドを経由してタメフン場に向かいました。


タメフンを目ざしてグランドを横切る(高野)

<タメフンを見る>
 タメフン場はわかりやすいように赤いビニールテープをつけてあります。そこに案内すると、子供たちは初めて見るタヌキの糞を興味深げに見ていました。


タメフンを説明する(高野)

 分析用に糞を拾うことにしました。私はいつもするように、ゴム手袋をし、それからポリ袋を取り出しました。
「大きい子にお願いだけど、ポリ袋にこのペンで2017.1.6と書いて、その下に1と書いてくれる?動物や植物を拾ったりするときは、必ずいつ、どこで拾ったかがわかるように、書いておくんだよ。今日はここでしか拾わないから場所は書かなくていいよ。それから山を歩いていると、ほかの動物の糞を拾うこともあるから、そのときは動物の名前も書いておかないといけないね。」
 ポリ袋に必要情報を書いてもらい、中に糞を入れました。


フンを拾う(高野)

 それからセンサーカメラのデータをノートパソコンでチェックしたら、たくさんのタヌキが写っていました。子供たちも強く反応していました。
「たしかにここに来ていたんだ」
という感覚は、いつも見ているテレビの映像などとは違うものを与えたと思います。
 その後、津田梅子の墓所を見てから、もう一カ所のタメフン場に向かいました。途中にマンリョウの実がなっていたので、説明しました。
「ここに赤い実がなってます。緑の中に赤い実があると目立つでしょう。植物はタネを動物に運んでもらうために「ここにおいしい実がありますよ」と宣伝してるんだよ。鳥はこれを見つけておいしいと思って食べるけど、植物はサービスしてるわけはなくて、おいしい実で鳥をひきつけて中にあるタネを運んでもらうのが目的なんだね。これはマンリョウというんだけど、ほかにも赤くてこれくらいの実があって、みんな鳥に運んでもらってタネを広げているんだ。ほかんも紫色や黒などの実もあるんだよ。」



マンリョウの果実の説明(豊口)

<もう一箇所のタメフン場>
 タメフン場にアクセスする前に笹薮を進みました。ここのササはクマザサといい高さが大人の腰くらいなので、大人は先を見ながら進めますが、子供にとっては自分の背丈くらいあるので、景色は見通せません。私たち大人もチシマザサ(ネマガリダケ)のように高さが2メートルを超えるようなササの中を進むときは、気持ちが全然違って圧迫されたような気持ちになります。子供たちにとっては藪の中を進むのは、ふだんあまり経験しない感覚だったと思います。宮崎駿の「トトロ」に藪の中を進んで不思議な世界に入る場面がありますが、ちょっとあの感じだったかもしれません。


笹薮を進む(高野)

 そこのタメフン場にも新しい糞があり、いくつか採集しました。ここでもカメラの確認をしたところ、何度かタヌキが来ていました。パソコンを開いて映像を見ると、子供たちが自分も見たくて、パソコンを覗き込んでいました。


センサーカメラのデータを確認する(高野)

 このときの映像が印象的だったようで、とてもじょうすな絵を描いた子がいました。


木にとりつけたカメラと糞をするタヌキ (1年生 あかね)


 そこでも何個かの糞を拾ってポリ袋に入れました。それから、水撒きに使うホースのついた水道があるので、その水を借りて2個の糞をふるいの上で水洗しました。ホースは子供にもってもらいました。いつもはシャワー型のものを使うので、少しやりにくさがありました。フンを歯ブラシでほぐすと中身が出てきましたが、今はあまり果実を食べていないようで、小さなイネ科の種子しか確認できませんでした。種子が出ないときは、哺乳類の毛や鳥の羽毛が出ることが多いのですが、それも見当たりませんでした。糞の中身を見せるにはよくないタイミングだったようです。


糞を水洗する(高野)

<公民館へ移動>
  それから津田公民館に移動しました。広い部屋でこの人数だから、机がコの字型に並べてありましたが、やや広くて距離感がありました。
「タヌキはこのお面のように丸顔の印象があって、とくに漫画みたいに書くときはまん丸の顔に描かれます。実際こういう印象がありはすが、実はそれは頰にある毛が長くて「毛ぶくれ」しているからで、実は細長いんです。」
 と言って本物のタヌキの頭骨を取り出しました。
「タヌキは果実をよく食べますが、タヌキの糞からは、夏には昆虫、冬にはネズミや鳥などの骨や毛などが出てきます。だから雑食ですが、オオカミやライオンなどと同じ「食肉目」の仲間です、だからほら見てください、とても鋭くとがった歯が並んでるでしょう?実はもうひとつ骨の標本を持ってきました。シカです。シカは草食獣なので、葉をすりつぶすように、上が波打つようになっていて、これで顎を左右に動かします。ではタヌキとシカの頭を回すのでよくみてください。」
 といって頭骨標本を見てもらいました。目を丸くして眺めている子もいたし、デジカメを持参して写している子もいて、時代は変わったものだと思いました。

 
タヌキの頭骨を観察する(左:豊口、右:高野)


シカの頭骨を観察する(高野)

 津田塾大で水洗した糞から取り出したイネ科の種子と輪ゴムの切れ端をルーペで見てもらいました。同時に、これまで検出したカキやムクノキの種子、ゴム手袋の破片、チョコレートの包装紙なども見せた。子供たちはルーペを覗くのがおもしろいようすでした。

 
検出物の説明(高野)


ルーペを覗く(豊口)

 私はこれまで各地のタヌキの糞を分析して、輪ゴムやポロ袋などが出てくることを珍しいこととも思わなくなっていますが、あとで子供からの感想を読むと、このことに強く印象づけられたようです。考えてみれば人にとって食べ物とは清潔でおいしいものに決まっています。残飯や地面に落ちて汚れたものを食べるということが子供たちにとってはショックだったのかもしれません。
 プロジェクタを使ってセンサーカメラの結果を見なおすと、タヌキが来て糞をしているところが何枚も写っていました。ほかにもハクビシン、ネコも写っていましたし、朝にはシロハラやキジバトも来ていました。どうやらタヌキが運んだ種子を食べに来ているようで、もしそうならタヌキが母樹の下から移動させたものを、鳥がさらに拡散させるということで、おもしろい現象だと思いました。
 スライドを使っての解説も準備していたのですが、それよりも「ほんもの」を見てもらうことのほうが大切だと思い、時間も来たので、切り上げることにしました。
 終わる前に温めていたアイデアを披瀝することにしました。参加してくれる子供たちに何か思い出になるものを準備したいと思い、「認定証」と小さい子供用にタヌキの人形を作っておいたので、それを贈呈することにしました。「認定証」にはタヌフン博士から「タヌフン・ミニ博士を認めます」という文章を書きました。タヌキの人形は初めての試みだったのですが、今は軽くて質のよい紙粘土があるので、彩色もでき、作るのはなかなか楽しい作業でした。手でこねるので、もちろんひとつひとつ形が違うし、絵の具の塗り方も違います。底にはひとりひとりの名前を書いておきました。そのほうが「自分がもらったもの」という感じがすると思ったからです。


ミニ博士の認定証とタヌキの人形

 少し横道にそれますが、認定証の縁取りについて書いておきます。私は認定証の文章とイラストを決めたあと、縁取りをどうしようかと考えました。もともとパロディーのようなものですから、よくある賞状のように金色の鳳凰などの模様にすることもできないわけではないのですが、ああいう「できるだけ豪華らしくみせたい」というものでなく、感じのよいものにしたいと思いました。それで濃い青と薄いミルクコーヒーのような色を組み合わせた渋めのものにしました。
 私は「子供だまし」ということばが嫌いです。そこには「子供は単純で微妙なことはわかるはずがない」という見下しがあります。また子供は子供らしく原色のピンクや水色を組み合わせるというものよく見ます。書店で児童書のコーナーに行くと、気持ちが悪くなるようなどぎつい黄色に真っ赤な文字の本が並んでいます。目立てばよいといわんばかりです。
 これらに通底するのは、子供は色彩感覚も単純であり、目立つものに反応するに違いないという、やはり見下した精神です。だが、私はむしろ逆だと思います。大人なら茶碗の色など違っても食べ物の味が変わるわけでなしと考えますが、子供にとってはお気に入りの茶碗以外では食べたくない、あるいは食べられないと感じるものです。色や音に対する感性も鋭いものです。そのよい証拠に、子供は大人が勝手に「そうであろう」と思って作る子供だましのおもちゃより、本当に大人が使う道具で遊びたがるものです。それは子供たちが本物を見通す鋭い目を持っているからにほかならなりません。だからこそ、私は子供には本当によいものを見せるべきだと思うのです。そういう気持ちもあって「認定証」の枠の色はよく考えて選びました。

  さて、会場で「認定証」とタヌキのお人形を手渡すと、名前を呼ばれた子供は少し緊張気味に受け取っていました。大人からは暖かい拍手が沸き起こりました。


「認定証」を授与する(高野)

<まとめ>
 大学生を相手にしてきた私には小さい子供たちにどう接してよいのか自信がありませんでした。実際、今回の観察会ではタヌキそのものは見えないのですから、それほど劇的な「発見劇」があるわけでもなく、子供がどれほど興味をもったかも測り難いところがありました。ただ、フンを覗くところ、撮影結果をパソコンで確認するときなどには明らかに興味を示していたし、糞を拾うところや水洗するところは「へえ、こういうことをするんだ」という顔をしていたのは確かです。それに私が子供にする説明を聞く大人が興味を示してくださったので、そのことが子供に「なんだかおもしろがっているみたいだ」と感じさせたように思います。
 後述する参加者の感想を読むと、タヌキそのものが見られなくても十分に学ぶものがあったこと、その要素として本物を見せることが力を発揮すること、大人の「配慮」よりも本物に接すれば子供は「通訳なし」に直接感じ取るということ、大人が本気で取り組んでいる姿勢を見せることがよい、というようなことがうかがえました。大いにほっとしたのは、子供に接する技術的なことを知らなくても、生き物に向き合って来た私の半生そのものが子供に与えるものがあると言ってもらえたことで、ちょっと自信を持てたように思います。
 なんといっても、東京の市街地の中の緑地に野生動物のタヌキがいるということは驚くべきことであり、よろこばしいことでもあります。子供たちにそのことを直接話すことはしませんでしたが、子供たちの心に小さな種子を残せたら、とても価値のあることだと思いました。

 帰り道、いつもの観察会とは違うほっこりした気持ちが私の胸を充たしていました。


付記:参加者の感想はこちら
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