玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

花虫(訪花昆虫)

2016-04-03 06:00:41 | テーマ
訪花昆虫(ポリネーション)

意義
 玉川上水にはさまざまな虫媒花(昆虫に花粉を運んでもらう花)が咲きます。花が咲いても昆虫がいなくては受粉できませんから、昆虫は大切です。こういう昆虫を訪花昆虫といいます。花粉はpollenで、受粉はpollinationといいます。私はこういう動物と植物のつながりを「リンク」と呼んでいます。ある場所に何種類の植物がいるとか、何種類の昆虫がいるというリスト作りはそれなりの意味がありますが、それはいってみればきりのない作業でその道に詳しい人がくればいくらでも増えていきます。そのことよりも、限られた種類でよいから、リンクがあることを示すことはその場所で生き物が繋がっていきていることを具体的に示すことができ、「だからこの場所を守らないといけない」という根拠にもなります。
 花にはさまざまなものがありますが、花によっては一部の昆虫しか吸蜜できないものがあります。それは花が特定の「お客さん」を選んでいるということです。だから、まず玉川上水にどういう花があり、それぞれの花にどういう昆虫が訪問するかをきちんと記録するだけで、たいへん深い世界のドアを開けることになります。



ツリフネソウにきたマルハナバチ

調査法
場所は今後決めますが、1週間に一度くらいの頻度で、1)ルートを決めて)花に昆虫が着ていれば時刻を記録するという方法と、2)場所を決めてその場所で一定時間(たとえば10分間)待って記録する方法があります。

道具
ノート、一眼レフカメラ(100mmのマクロレンズがよいが、50-200mmズームでもよい)、巻尺

その他
植物は「野に咲く花」(山渓ハンディ図鑑1)、山と渓谷社 が役に立つ。
なぜ、ある花にこの虫がきて、別の花に別の虫がくるかは、花の構造と虫の口の携帯に関係しています。花や昆虫の拡大図を描ける人は細密画を描くとすばらしい作品になるでしょう。

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タヌキ

2016-04-03 04:06:06 | テーマ
タヌキ
<意義>
 玉川上水にはタヌキが住んでいることが確認されています。中型の食肉目で市街地に生き延びているのはタヌキくらいのものですが、最近は外来種のハクビシンやアライグマもいるようになりました。夜行性なので人目にはつきませんが、いるのです。自動撮影カメラの前に餌をおいておくと撮影されます。都市にタヌキがいること、玉川上水の意義などについては「タヌキ学入門」を読んでください。
 内容は自動撮影カメラによる撮影と、糞分析に分かれます。

1)自動撮影カメラによる撮影
<調査法>
自動撮影カメラを木にとりつけ、カメラの前に餌(ドッグフードとピーナツ)をおいておきます。設置したよくいつ、点検をし、その後は数日あるいは1週間後にカード回収、餌の追加をします。季節変化もあるはずです。



<道具>
自動撮影カメラ(カード、電池、)えさ

<その他>
タヌキ以外の哺乳類も撮影されると思います。そのときに新しい課題が見えてくるかもしれません。可能性があるのは、ネコ、ハクビシン、アライグマなどです。身近にこんな動物が暮らしていたことを知るのは驚きです。いろいろな動物が懸命に生きていることを知ることから考えることがいろいろあるはずです。

2)糞分析
<意義>
タヌキが何を食べているかを知ることはタヌキの生活の基本を知ることです。玉川上水のタヌキは残飯などを食べているかもしれません。これは糞を分析することで調べます。タヌキは雑食性ですが、基本は果実です。糞には種子が出てきますが、高槻は種子の名前がわかります。タヌキは果実を食べ、果実は「食べられる」といいますが、実はこれは正しくなく、植物がタヌキに果実を「食べさせ」種子を運ばせているのです。自然を調べると、そういう常識的な視点の改めることができます。

<調査法>
タヌキはタメフンといって同じ場所で繰り返し糞をするので、一度タメフンをみつければ回収できます。糞はふるいで水洗し、残ったものを顕微鏡で調べます。



 同時に果実をみつけたら採集して標本を作っておくと、タヌキの糞から出てきた種子の名前がわかるようになります。

<道具>
ゴム手袋、ポリ袋、ふるい、顕微鏡、スライドグラス、カバーグラス、ポリ容器

<その他>
タヌキの視線から上水をみるとどう見えるか、想像して童話を描くのもおもしろいでしょう。
ベリーは色も形も美しいし、種子は色は特別のことはありませんが、形はおもしろいです。これらを美術的に表現するのもおもしろいでしょう。玉川上水の一部でもよいから、花が咲き、実がなったら、徹底的に観察して記録するのはとても価値あることだと思います。





<追記>
津田塾大学の協力を得て、キャンパス内を調べたところ、タメフンがあり、自動撮影カメラを設置したら、タヌキが撮影され、生息が確認されました。糞の分析もはじめ、ギンナンや小鳥などが検出されています。
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糞虫

2016-04-03 04:05:20 | テーマ
糞虫
<意義>人の習性として、生まれるもの、育つものには関心をもっても、排泄や死には蓋をするところがあります。実はもともとはそうではなく、子供は興味を持つのですが、大人がやめさせるために好奇心を封じられます。そのため糞虫や死体分解昆虫(シデムシ)などは「鼻つまみ者」とされます。しかし、こうした昆虫がいなければ野山はたちまち糞だらけ、死体だらけになってしまいます。研究レベルでも糞虫やシデムシのことはよくわかっていません。簡単でもよいから鼻つまみ者が偉大な働きをしていることを示すことは大きな意義があります。
 玉川上水をはじめとする都市緑地で注目されるのは、そもそも野生の哺乳類はほとんどいなくなっているので、糞虫やシデムシはいないかもしれないということ、だから実態調査をして、もしいれば(大発見とはいわないまでも)すばらしい発見といえます。もしいるとしたら、犬の散歩で糞が供給されてきた可能性があります。


オオセンチコガネ 糞虫とはいえ実に美しい

<調査法>
 小さなバケツを地面に埋めます。バケツの上に割り箸をわたし、その箸の中央に犬の糞を入れたティーパックを吊るします。そうすると糞の匂いに引かれて糞虫が飛んできます。バケツには雨よけの傘をつけます。夕方に設置し、翌朝回収します。1日に10個置きます。



<道具>
小さいバケツ、蓋、ティーパック、犬の糞、ピンセット、小瓶、マジックインク、昆虫標本箱、ナフタリン

<その他>
糞虫は糞の中に潜り込む形態、糞を処理する脚の形態など、非常に機能美がある。これを描いたり、拡大模型を作るなど、美術的才能を活かすことができる。
 飼育をすることで、糞分解能力を示すのもおもしろい。
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植物観察

2016-04-03 03:04:04 | テーマ
植物観察
<意義>
 私たちは玉川上水の緑を景色としてとらえます。それを「接写」してみると違ってみえます。実は私たちはときどきはそうしていて、花が咲けば、あるいは結実すれば近づいてみることがあります。私の提案はそれをもっと具体的に見るということです。たとえばあるコナラのある枝を見ることにします。枝に印でもつけておきます。その枝についている10枚なら10枚の葉をすべて覚えます。その葉が冬芽を破って展開し、色を濃くしながら大きくなり、もしかしたら虫に食べられ、枝先に花をつけ、紅葉し、結実しといった変化を見せます。「コナラの葉」という集合名詞ではなく、一枚一枚の葉に名前をつけてはどうでしょう。ケンタでも、アヤカでもよい、あるいはジョンやエリーでもクエルクス(コナラの学名)などでもよい、名前をつけて呼べば、集合名詞で読んだ「コナラの葉」とは違って見えるはずです。その葉が芽を破って出てくるところから、枝から落ちるまでずっと観察し、絵に描いたらどうでしょう。



<調査法>
木、枝の目印をつける。定期的に観察し、変化をとらえる。

<道具>
デジカメ、スケッチブック

<その他>
葉の表現法もさまざまです。図鑑類は葉を上あるいは斜め上からみたものがほとんどです。しかし横、あるいは斜め下から見ると違って見えるし、葉の表面と裏面を同時に描くのはむずかしいものです。コナラの場合、新芽は表面に銀色の微毛が無数に生えてビロードのようにみえ、表現がむずかしいです。その後も鮮やかな黄緑色から濃い緑色に変化します。カシ類は「常緑」と呼ばれますが、常緑とは冬に緑色であることで、葉は落葉します。そのタイミングが違うだけです。ナラとカシは同じ仲間なのに落葉と常緑という違う生き方をしているおもしろさもあります。それを比較するのもおもしろいと思います。そのほかにも、玉川上水にはエゴノキ、ヤマザクラ、ヒサカキ、シロダモ、ゴンズイ、マユミなどがごくふつうにあります。
 なんといっても植物の名前を覚えることが必要です。一番よい方法は植物を知っている人と歩いてどんどん質問することです。そしてメモをとることです。週に一度はたとえば小川橋から嘉平橋まで、あるいは最低でも武蔵野美術大学から津田塾大学までを歩いて咲いている花があったら、図鑑で調べ、わからなくても写真をとり、スケッチをすることです。ちゃんと撮影できていれば、高槻に送ってくれれば教えます。そうすれば人にわかってもらうためにはどう撮影するかということもわかってくるでしょう。
 まずは20種を目標にしましょう。50種覚えればかなりのものです。草の葉の下や、木の上でも咲く花があります。訓練をつめば、花がなくても、どんな花が咲くかがイメージできるようになります。花が終われば、消えるわけではなく、子房がふくらんで果実を作る準備を始めます。そういう変化を丁寧に観察すると、植物が1日も休みなく次の準備をしていることがわかります。
 植物が活動を始めるよりも少し前の3月から観察を始めると、落葉樹の枝の美しさに気づきます。冬芽の大きさや形も木によってさまざまです。冬芽の変化(冬芽そのものもおもしろい形をしている)、その冬芽を破ってでてくる葉のようすが観察できます。4月に入ると地面からでてくるアマナなどがあり、油断していると消えてしまって、来年まで見ることができなくなります。
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生きもの調べについて

2016-04-03 01:02:21 | テーマ
玉川上水生き物調べ(2016.9.20 ver.)

 武蔵野美術大学の関野吉晴先生の「地球永住計画」というプロジェクトの中で、武蔵美の学生さんや関心のある地域の方々と玉川上水の動植物の調査をするにあたり、高槻がお手伝いできそうなことについてメモを書いておきます。
 なお、生物について基本的な知識や考え方を学ぶには次の小著をよく読んでください。これらは高校生くらいを対象にしていますので、読みやすいと思います。
野生動物と共存できるか」高槻成紀、岩波ジュニア新書
動物を守りたい君へ」高槻成紀、岩波ジュニア新書
野生動物を見る2つの視点- ”虫の目”と”鳥の目”」高槻成紀・南正人、ちくまプリマー新書
となりの野生動物」高槻成紀、
 なお玉川上水については次の本に書きました。
タヌキ学入門」高槻成紀、誠文堂新光社

玉川上水で調べようと思っているのは次の項目です。

植物観察
花虫(訪花昆虫)
タヌキ
糞虫
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