国境の町

旅の醍醐味は非日常性にある。
我々二人の珍道中は予定があって無いような旅だ。昨日ティファナに行こうと予定していたのに相棒のＴ氏はなかなか起きて来ない。旅の疲れが出たのか10時過ぎにやっと起きてきた。遅い朝食の後、やはり行くことになった。
トローリィ電車を終着駅で降り、コンクリート製の長い螺旋階段を歩くとメキシコ国境の町ティファナだ。歩いて国境を越えるのは初めて。しかもパスポートの提示も不要。（もちろん帰りは提示が必要だが）
階段の途中、国境ゲート近くを見ると、延々と車列が続いている。車のトランクはもとより車の下まで確認し、麻薬犬も使っての厳密なチエックのため、車の通過には時間がかかるのだ。
立ち並ぶ土産屋を過ぎると広場に出る。やたらと薬屋が多い。ここでは処方箋なしに薬が買えるので、人気があるのだそうだ。
オープンカフェでビールを飲む。小瓶がわずか99セントと安い。ひっきりなしに来る小物売りの子供を気にしなければ最高の場所だ。この物価差を活用すべく、アメリカの若者や兵士がこちらで休日を過ごすという。
広場内にあるトイレに25セント硬貨を置いて入る。流し台に並んで放尿するのだ。一物に自信の無い自分には少し気が引ける。
発展途上国に行って、躊躇するのがトイレだが、ちょっと前の日本の公園のトイレだって同じようなものだった。
お土産屋で、サングラスを買い、美味しいレストイランを紹介してもらい、タクシーで行く。運転の荒いのには閉口した。特に帰りのタクシーの運転手は、やけに陽気だが、自分の運転技術を披露したいのか、やたらと割り込み運転をする。おかげで早く国境ゲートに着くことができた。
国境超えは徒歩に限る。＜05_11.06＞