硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「巨神兵東京に現る」 終末を超えて。

2020-04-25 21:24:17 | 日記
「驚くのも無理はない。しかし、これから私が語ることは、すべて事実である。聞き入れる準備は出来ているか?」

澪は、いつでも攻撃に転じれるよう下段の構えをして、大きく頷いた。そして、その者も、それを察知していたうえで語りだした。

「真実はこうだ。君たちの先祖は、我々の祖先が巨神兵を実践投入する準備段階において、対抗するために開発していた高出力エネルギー兵器を止め、ウィルス系ナノマシンの研究開発へとチェンジをした。そして、秘密裏に我々の生活圏のあらゆる場所に散布された後に彼らは突然敗北宣言をしたが、それが彼らのシナリオだった。我々の先祖は、ようやくの事で掴んだ勝利に酔いしれ、危機感を喪失し、取り返しのつかない所まで感染を広げた。その結果、我々のコミュニティーは混乱し、命をかけて共に戦った隣人ですら、疑い、差別し、いがみ合うようになってしまったのだ。それに引き換え、君らの先祖は、理不尽な賠償請求をのみながらも、静観していれさえすば、敵対している相手は、じわりじわりと滅んでゆくのだから、笑いが止まらなかったであろう。しかし、ナノマシンの開発者は、自身の能力と技術に溺れ、人は移動するものであり、一人では生きてゆけない生き物であるという人類の本質を無視し、高みの見物を決め込んでしまったのだが、それが大きな過ちだった。ハイテクノロジーを備えたナノマシンは、移動と増殖を繰り返しているうちに自我が生まれ、独自にアップロードを繰り返し、生存するために、すべての人類に入り込んでいったのだ。」