硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「巨神兵東京に現る」 週末を超えて。

2020-04-11 21:29:40 | 日記
DEATHとは、今は亡き、チャック・シュルディナーがボーカルのデスメタルバンドであるが、その出会いは、大学受験を控えたある日のことであった。煮詰まった頭をクールダウンするため、ラジオのスイッチをいれると、耳に入り込んだ瞬間、全身に電撃が走った。

澪は、それまで、デスメタルという音楽を聞いた事がなかったが、これこそが、長い間待ち望んでいた僕の為の音楽なんだと腑に落ちた。
それ以来、ずっと聞き続けているのであるが、澪の場合、デスメタルをクラシックを聴くが如くに、心静かに聴き入っていた。
だが、表面上からは想像できぬほどに、身体の内部は活性化し、鼓動は高鳴り、アドレナリンが噴出し、一種のトリップ状態になっていたのだった。

そして、その時、必ず澪に見えているものは、これまでに竹刀を合わせた猛者達の姿だった。ひたすら防御に回り、攻撃に転じることが出来ないもどかしさを何度も脳内リプレイし、身体が動かない原因を探り続けていたのであるが、脳内の映像では、不思議と技を確実に決められてしまうのだった。
だが、澪は、試合で技を繰り出さすことが出来なければ意味がないと考え、何度も何度も、脳内で試合を繰り返していた。そして、猛者たちの竹刀の動きがスローモーションで見えるまで、イメージトレーニングを繰り返す事でしか弱点を克服できないと信じていた。

「いつもこうだ。イメージでは一本とれるのに。」

違和感をぬぐい切れず、自身と格闘し続ける澪であった。