『シェーン』(53)でアラン・ラッドが使った銃のモデルガン発売の記事を見た。ナイフやハサミもそうだが、優れた道具はその形状も美しい。銃は人殺しの道具だが、形状の美しさは否定できない。
面白いのは、『シェーン』が決して銃を礼賛する映画ではなく、むしろ銃を否定する映画だったということ。
例えば、ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)に早撃ちを見せたシェーンに向かって、マリアン(ジーン・アーサー)が「この子には銃は必要じゃない。銃なんかなければみんな幸せになれるのに」と語るが、シェーンは「銃は斧やシャベルと変わらないただの道具だ。使う人間次第で良くも悪くもなる」と言葉を返す。
だが、そう語るシェーンが、最後の決闘の前に敵の牧畜業者ライカ―(エミール・メイヤー)とこんな会話を交わす。
シェーン「あんたは長生きし過ぎた。あんたたちの時代はもう終ったんだ」
ライカ―「お前はどうなんだガンファイター」
シェーン「俺は心得ているさ」
つまり、シェーン自身も銃の時代が終わったと思っているのだ。
そして、決闘を終え、ジョーイに「一度人を殺せば、もう元には戻れない」「違う生き方をしたかったが無理だった」「もう銃はいらなくなった」と言い残して去っていく。
この流れは、銃に対するアンチテーゼ以外のなにものでもないだろうという気がする。
名画投球術 No.3「純愛の末の美しすぎるラブシーンが観たい」ジョージ・スティーブンス
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/04f280481ed750aabd3be233b794c60a
『シェーン』デジタルリマスター版東京国際映画祭
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c44f1c59778216bde6f9b78fc5ca1f79
『シェーン』デジタルリマスター版公開初日イベント
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