田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『鬼平犯科帳 血闘』

2024-05-15 21:34:12 | 新作映画を見てみた

『鬼平犯科帳 血闘』(2024.5.15.MOVIX亀有)

 火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(松本幸四郎)のもとに、彼が若い頃に世話になった居酒屋の娘おまさ(中村ゆり)が現れ、密偵になりたいと申し出る。平蔵にその願いを断られたおまさは、平蔵が芋酒屋主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平(柄本明)を探していることを知り、独断で調査に乗り出すが…。

 これまで何度も映像化されてきた池波正太郎の「鬼平犯科帳」シリーズを、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化したシリーズの劇場版。

 テレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」に続く本作では、主人公の鬼平こと長谷川平蔵の過去と現在を交錯させながら、それぞれの時代で愛する者を救うために立ち上がる平蔵の熱き姿を描く。

 テレビスペシャルに続いて、若き日の鬼平・長谷川銕三郎を幸四郎の実子である八代目・市川染五郎が演じた。そのほか平蔵の妻・久栄を仙道敦子が演じ、劇場版ゲストとして志田未来、北村有起哉、松本穂香、中井貴一ほかが出演。

 中村吉右衛門=鬼平のテレビシリーズを見慣れた者にとっては、おいの幸四郎の主演で新たに復活したことは喜ばしい。しかも正調時代劇としてしっかりと力を入れて作っている。

 もちろん、鬼平役の吉右衛門と幸四郎、おまさを演じた梶芽衣子と中村ゆりをはじめ、役者の格の違いは否めないところもあるが、新シリーズはまだ始まったばかり。今後の成長に期待したい。ベテラン勢では相模の彦十役の火野正平がなかなかよかった。

 時代劇は伝承していくべきものだから、形はどうあれ決して途絶えさせてはならないことを考えれば、とにかく作り続けることが大事なのだ。そういう意味では、この映画の出来のよさはうれしい限り。くしくも、草なぎ剛主演の時代劇『碁盤斬り』も今週から公開される。新作時代劇が並ぶのは気持ちがいい。

 エンディングを見ながら、頭の中では、吉右衛門版のエンディングを飾ったジプシー・キングスの「インスピレイション」が流れていた。


「鬼平犯科帳」「インスピレイション」=「勘ばたらき」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e83a6eae254a6102458cf03c2c7c50ba

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『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

2024-05-15 08:23:44 | 新作映画を見てみた

『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(2024.3.26.TOHOシネマズ日比谷.完成披露試写会)

 1976年、カリブ海の小国ジャマイカは独立後の混乱から政情が安定せず、2大政党が対立していた。国民的アーティストとなった30歳のボブ・マーリー(キングズリー・ベン=アディル)は、その人気を利用しようとする政争に巻き込まれ、暗殺未遂事件に遭う。マーリーはけがをおしてコンサートに出演した後、身の安全を図るためロンドンへ逃れる。

 その後、名盤『エクソダス』の発表やヨーロッパツアーを経て、マーリーは世界的スターの座へと駆け上るが、ジャマイカの政情はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。

 ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波瀾万丈の生涯を映画化した音楽伝記ドラマ。『ドリームプラン』(21)のレイナルド・マーカス・グリーンが監督し、ラシャーナ・リンチがマーリーの妻リタを演じた。プロデューサーにはリタのほか、息子のジギー、娘のセデラが名を連ねた。

 初めてボブ・マーリーの名を知ったのは、エリック・クラプトンがカバーした「アイ・ショット・ザ・シェリフ」(74)を聴いた時。友人が元はマーリーの曲だと教えてくれたのだ。

 ただ、それ以来、特に熱心にマーリーの曲を聴いたわけではないので、彼についての知識はおおまかなものでしかない。従って音楽的には、正直なところ、同時代のフレディ・マーキュリーの『ボヘミアン・ラプソディ』(18)やエルトン・ジョンの『ロケットマン』(19)ほどには乗れなかった。

 ただ、この映画はミュージシャンとしてのマーリーよりも、ジャマイカの政情に振り回される、あるいは宗教的、政治的なメッセージを発する人物として描いているので、音楽伝記ドラマとしては、個人的な悩みや葛藤を描いた定番のものとは少々毛色が違う。それ故、マーレーの人物像がいささかぼやけた印象を受けた。アディルも熱演を見せるが、マーリーのイメージとはちょっと違う気がした。

 『エクソダス』のアイデアを『栄光への脱出』(60)(原題「エクソダス」)のレコードから得ていたことは初めて知った。
 

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「BSシネマ」『快盗ルビイ』

2024-05-15 07:21:10 | ブラウン管の映画館

『快盗ルビイ』(88)

楽しくおしゃれな犯罪コメディー
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4a10497a93dfcfaa2421b42f92964544

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