
舞台は1987年。父の死によって心に傷を抱えた少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は、敵との闘いでボロボロになり、黄色いフォルクスワーゲンになった地球外生命体を発見する。
この映画の主役は『トランスフォーマー』シリーズの人気キャラクター、バンブルビー。時をさかのぼり、シリーズの始まりの物語を描く。監督はマイケル・ベイからトラビス・ナイトに引き継がれた。
地球に危機が迫っているはずなのに、全く緊張感のない展開は、能天気で無邪気だった80年代のSF映画を思い出させるし、チャーリーを中心としたコミカルな人物像は、ジョン・ヒューズの学園ものや家族ものをほうふつとさせる。要は、この映画はファンタジーの形を借りた一人の少女の成長物語なのである。
この映画の製作者の一人でもあるスティーブン・スピルバーグは、80年代テイスト満載の『レディ・プレイヤー1』(18)の時に、「80年代はイノセントで楽観的な時代だった」と前置きした上で、製作の理由を「観客を空想と希望のある世界にいざないたかったから」と語っていたが、この映画もそうした思いを反映させているのだろう。そこに素直に乗れるか否かが、この映画の評価や好き嫌いの分かれ目になると思う。
また、言葉を失ったバンブルビーが、カーラジオから流れる曲の詞で感情を表現するという設定だけに「ルール・ザ・ワールド」(ティアーズ・フォー・フィアーズ)「セイヴ・ア・プレイヤー」(デュラン・デュラン)「ハイアー・ラヴ」(スティーブ・ウインウッド)などなど、懐かしの80年代のヒット曲が目白押し。中でも「テイク・オン・ミー」(a-ha)は『レディ・プレイヤー1』や『デッドプール2』(18)でも効果的に使われていた“人気曲”だ。
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