『荒野のストレンジャー』(73)
刑務所を出獄した悪党三兄弟におびえる鉱山町の人々は、腕の立つ流れ者を用心棒として雇うが、その奇妙な行動に、町民は不安を募らせる。一体男の正体は…。
クリント・イーストウッド監督・主演の異色西部劇。後の『ペイルライダー』(85)や、ジョン・ヒューストン監督の『ロイ・ビーン』(72)のラスト同様、実はガンマンはゴースト=幽霊なのではないか、と思わせるところがユニークで、暗い西部劇を作るイーストウッドらしいと感じさせる。
この映画にも、ミッチェル・ライアン、ジェフリー・ルイスといった“70年代脇役天国”の男たちが顔を見せる。その中でも、アンソニー・ジェームズの不気味さは群を抜く。
そのジェームズが、レスリー・ニールセン主演の『裸の銃を持つ男 PART2½』(92)で見せた爆笑演技が忘れられない。それはこんなシーンだ。
ヒロインのプリシラ・プレスリーがシャワーを浴びていると、背後から不気味な殺し屋(ジェームズ)の影が現れる。ところが、彼女が『追憶』(73)のテーマ曲をハミングすると、それに気付いた殺し屋はなぜか動揺。そして涙を浮かべながら一緒に歌い始め、最後は高らかに独唱する。
で、ニールセン演じるフランク・ドレビン刑事に気付かれて捕まる、というお粗末。ジェームズの不気味さを逆手に取った最高のシーンだった。
https://www.youtube.com/watch?v=xM3gOPss4cg
ジェームズは、イーストウッドの『許されざる者』(92)に出演した後、俳優を引退し、晩年は画家として過ごしたという。
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