田中雄二の「映画の王様」

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『去年の夏突然に』

2019-03-07 06:20:15 | 1950年代小型パンフレット
『去年の夏突然に』(59)(1991.9.11.)



 医師のクックロビッツ(モンゴメリー・クリフト)は、資本家のビネブル夫人(キャサリン・ヘプバーン)から莫大な基金提供を条件に、彼女の姪(エリザベス・テイラー)へのロボトミー手術を依頼されるが…。監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ。

 この映画に関しては、マンキーウィッツの才気がいささか空回りした感がある。とは言え、もともとテネシー・ウィリアムズの原作戯曲自体が、恐らく隠喩が多くて分かりづらいものであろうから、それを映画化しても…という同情の余地はある。何しろ扱っているのが、直接的ではないにせよ、ホモセクシュアルと近親愛と精神異常なのだから念が入っている。

 ただ、この映画を際物の線から救っているのは、ひとえにキャサリン・ヘプバーンの演技力と存在感以外の何ものでもない。最初の不気味な登場シーンから一気に画面をさらってしまい、モンティとリズがいくら力演しても、軽くあしらっているような印象を受けるのだ。

 ところで、マンキーウィッツは、この後リズに肩入れして『クレオパトラ』(63)を撮って大失敗をし、不遇な晩年を迎えてしまうのだが、その悲劇の予兆は、すでにこの映画からあったのだろうか。

キャサリン・ヘプバーンのプロフィール↓


エリザベス・テイラーのプロフィール↓


モンゴメリー・クリフトのプロフィール↓



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