田中雄二の「映画の王様」

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1950年代日本映画ベストテン(表)

2021-06-14 00:45:14 | 俺の映画友だち

 さる映画同好会で、1950年代日本映画ベストテンのアンケート結果が発表された。最多得票を集めたのは黒澤明の『七人の侍』と本多猪四郎の『ゴジラ』(54)だった。

自分が選んだベストテン(製作年度順)は。

『生きる』(52)(1980.11.21.並木座.)併映は『酔いどれ天使』
名画投球術No.2「ダメな人間ばかり出てくる映画を観て安心したい」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5b428edd45778476ab0530bc08c0ef67
『生きる』の「ゴンドラの唄」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/40189563ee0d3f6f439ee429953ba184

『東京物語』(53)(1978.1.21.日本映画名作劇場)
『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本 家族編』から

『雨月物語』(53)
(2011.7.28.)
 暗く厳しく救いのない映画だけに、今はあまり見たくない気分だったのだが、いざ見始めるとやめられなくなった。それは最近の映画とは全く別種のパワーが映画全体にみなぎっているからだろう。しかし、本当に見ていてイライラしてくる程、森雅之は、わがままなダメ男をやらせるとうまいなあ。そして、この映画の場合、溝口健二は田中絹代に母性の象徴を演じさせたのだろう、という気がした。

『七人の侍』(54)(1975.9.24.テアトル東京)
(1991.11.23.日比谷映画)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/4835c259f91449c42a49372654d6fae1
【コラム】『七人の侍』4Kデジタルリマスター版
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/00f383651dc048b97815dfeeb04b2097

『ゴジラ』(54)(1973.5.5.NHK)
【コラム】ゴジラ映画、累計1億人突破
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/2895cc7360f7590115dcd7168ac36ac8
ゴジラ(中島春雄)死す
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8921701bce7c5c532f75c4050264298b
『爆音映画祭 ゴジラ伝説』(2011.7.27.吉祥寺バウスシアター )
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/18f0d2bafbdc7f21107034d06dc3a207

『二十四の瞳』(54)(1975.1.1.)
(2005.12.1.NHK BS)

 久々に『二十四の瞳』を再見。今から見ればいかにも古くさい、この昭和29年度のベストワンに選ばれた映画(黒澤明の『七人の侍』を凌駕しての)が、公開当時は何故熱狂的に支持されたのだろうか? それは、恐らく“戦争で亡くなった者への追悼と戦争の反省”という二律背反する思いを当時最も的確に表現した映画だったからではないか。
 つまりアメリカが作ったニューシネマ(特にベトナム戦争もの)が持つ雰囲気とよく似ている気がするのだ。従って、製作当時は鮮烈であっても、そうした思いが風化した今となっては、『七人の侍』との評価が逆転してしまう皮肉すら生まれるのだ。これは、木下恵介が時代性を持ちすぎていた故の不幸というべきなのだろうか。

『浮雲』(55)
(2005.9.20.)

 成瀬巳喜男の代表作『浮雲』を再見。前に見た時は、なんと救いがなくて暗い映画だろうと思ったものだが、今回は腐れ縁の男女の悲喜劇(はたから見れば他人の不幸は一種の喜劇なのだ)として見ることができたし、哀れだと思った主人公の二人(高峰秀子も森雅之もすごいわ)が、実はそうでもなく(何だかんだといっても、好き勝手に生きているわけで…)、本当に哀れなのは加東大介扮する、若妻(岡田茉莉子)に逃げられてそれを刺殺する人のいい男かもしれない…などと思ってしまった。
 成瀬の生誕100年で彼の映画が連続放映されているが、いろいろな役で登場する加東大介が見られるのが一番うれしかったりして。

『夫婦善哉』(55)
(2009.11.16.)

 森繁と言えばやっぱりこの映画だろう。彼の個性である憎めない小ずるさや嫌らしさ、優柔不断さが十二分に生かされた柳吉役は、彼以外には考えられない。『猫と庄造と二人のをんな』もそうだが、文芸映画の巨匠豊田四郎こそ森繁の個性を最も生かした監督だったのかもしれない。
 元芸者で柳吉を捨て切れない蝶子役の淡島千景も絶品だし、浪花千栄子、山茶花究、田中春男、小堀誠、田村楽太といった脇役たちも光る。そして何度見てもオープンセットで再現された大阪の法善寺横町は見事だ。そして、ラストの「おばはん、頼りにしてまっせ」はやっぱり名セリフ。

『張込み』(58)(1983.12.28.)

『無法松の一生』(58)(1974.8.18.)
(1982.11.29.千代田劇場.併映は『怪談』)

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/e0547cf601cdd13e9f0608808382b7a6
『無法松の一生』荻昌弘さんの名解説(1986.7.21.月曜ロードショー)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c318bbcce6bb2d8ecd37240b74fe6953

 


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