『独立愚連隊西へ』(60)(1989.1.18)
軍隊のハミ出し野郎が集まった“独立愚連隊"。彼らは、北支戦線で全滅した連隊の軍旗を求めて、敵の真っただ中に飛び込んでいく。軍隊の象徴たる軍旗に命を懸けることの虚しさを描いた加山雄三の初主演作。
またもや岡本喜八監督作である。彼の戦中派としての、戦争に対する屈折した思いや憎悪は、すでに『肉弾』(68)などで見せられてはいたが、噂通り、この映画はその最たるものであった。
しかも、そうした思いテーマを、半ばコミカルに、アナーキーに描き、加えて、アクション映画としての面白さも持ち合わせながら、戦争に対する憎悪という本筋をしっかりと浮かび上がらせるところは、さすがであった。
例えば、最近のバリー・レビンソンの『グッドモーニング,ベトナム』(87)のように、戦争とは別のコンセプトからストーリーを展開させながら、実は戦争の持つ悲惨さや無慈悲を描いているという作法とも通じるものがある。
日本の戦争映画は、総じて重苦しく、ひたすら敗戦国日本の悲劇を描こうとするから、無理や風化が生じる。その意味では、こういう戦争映画が撮れる岡本喜八の存在は貴重である。再び、「岡本喜八に光を!」と叫びたい気持ちになった。
ところで、初期の岡本作品の多くに、佐藤允が出演し、ギラギラとした個性を発揮している。何やら噂では、今は仲違いしているようだ。黒澤明と三船敏郎もそうだが、監督と役者の関係は、残念なことに、深ければ深いほど、一度こじれたらなかなか元には戻れないようだ。
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