『ダイ・ハード2』(90)(1990.10.30.日比谷映画)
『ダイ・ハード』(88)は、近来希に見る面白い映画と言っても過言ではなかった。それ故、最近の傾向として「2」が作られるのは分かるとしても、まあ、せいぜい水準作程度だろうと高をくくっていた。
ところが、あなた、これがまた面白いの何の。本当に、よくここまでやってくれるわ、という感じで、これだからハリウッド映画はすごいと、脱帽せざるを得ない。
とにかく、よく考えたら絶対にあり得ないめちゃくちゃな話なのに、最初は「そんなわけないだろ」と鼻で笑っていたのに、見ている間にぐいぐいと引き込まれる。そして、ラスト近くでは唖然とさせられて、こいつはすごいとなってしまう。
それは、前作同様、隅々にまで張られた伏線、あるいはアクションが雪だるま式に増えていく面白さ故なのだが、それに加えて、前作ではジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)一人で『タワーリング・インフェルノ』(74)をやってしまったように、今回は「エアポート」シリーズを一人でやってしまったとも言えるのだ。
こうした、作り手たちのチャレンジ精神というか、遊び心を見ているとうれしくなるし、単純なアイデアを膨らませる作業が積み重なると、ここまですごくなるのかと改めて思い知らされた。
それにしても、ここまで強力なワンツーパンチを繰り出されてしまうと、マクレーンは毎年クリスマスになると災難に遭いかねない。つまり、シリーズが今後も続いていく可能性は高いのだが、その場合、最初のジョン・マクティアナン、今回のレニー・ハーリンと続いた、新進監督を超える人材が現れるのか、あるいは、われわれ観客が求めるさらなる面白さを創造することができるのかが、大きな課題となるだろう。それほど、このワンツーパンチはすごかったのだ。
【今の一言】この後、予想通り『ダイ・ハード3』(95)『ダイ・ハード4.0』(07)『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(13)と続いたが、尻すぼみ。ワンツーパンチで終わって、ノックアウトとはいかなかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます