『Shirley シャーリイ』(2024.7.4.オンライン試写)
1948年、短編小説『くじ』でセンセーションを巻き起こしたシャーリイ・ジャクソン(エリザベス・モス)は、女子大生行方不明事件を題材にした新作長編に取り組むもスランプに陥っていた。
大学教授の夫スタンリー(マイケル・スタールバーグ)は、引きこもって寝てばかりいる妻に何とか執筆をさせようとするがうまくいかず、自分の助手となった若いフレッド(ローガン・ラーマン)とローズ(オデッサ・ヤング)夫妻を自宅に居候させてシャーリイの世話や家事を任せることにする。
当初は他人との共同生活を嫌がるシャーリイだったが、自分の悪態にも懲りずに世話を焼くローズの姿から執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの不思議な魅力にひかれ始め、2人の間には奇妙な絆が芽生える。
アメリカの怪奇幻想作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を基に、マーティン・スコセッシが製作総指揮を担当し、ジョセフィン・デッカーが監督を務めた。
中年と若年の2組の夫婦による葛藤を描いた心理劇、しかも見ていて気分が悪くなるような会話と赤裸々な人物描写という点では、マイク・ニコルズ監督、エリザベス・テイラー、リチャード・バートン、ジョージ・シーガル、サンディ・デニス共演の『バージニア・ウルフなんかこわくない』(66)をほうふつとさせる。
現実と妄想が入り乱れ、謎の多い展開をみせるが、もとより、シャーリイ・ジャクソンという作家については無知なので、彼女についての知識があれば、もっと理解が深まったのかとも思った。エリザベス・モスが怪演を見せる。