田中雄二の「映画の王様」

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『呪われた城』

2019-03-14 10:16:12 | 1950年代小型パンフレット
『呪われた城』(46)(1997.2.4.)



 ジョセフ・L・マンキーウィッツの監督デビュー作。ヒッチコックの『レベッカ』(40)を思わせる後妻の受難を描いたものだが、同じくマンキーウィッツの傑作『幽霊と未亡人』(47)を先に見てしまったおかげで、両作の間の、合わせ鏡のような、ネガとポジのような、不思議な関係性を見付けてしまった。

 両作でヒロインを演じているのは美しいジーン・ティアニー。彼女が遭遇する事件はどちらも古い家にまつわる幽霊譚であり、そこに置かれた肖像画が事件の鍵を握るというのも同じである。ここまで設定が似ていると、マンキーウィッツがデビュー作に満足せず、暗い話を明るい話に仕立て直して再挑戦したのでは…と勘繰りたくなる。

 実際、この映画はサスペンスなのかラブロマンスなのかはっきりしない弱さがある。当時、リアルタイムでこの映画と『幽霊と未亡人』を見た人は、たかが1年たらずの間に大化けしたマンキーウィッツの変貌に驚いたのではないだろうか。

 ところで、相手役のビンセント・プライスといえば、『ヴィンセント』(82)『シザーハンズ』(90)に出演させたティム・バートン、あるいは「スリラー」のナレーションに彼を起用したマイケル・ジャクソンならずとも、怪奇映画専門の大仰な俳優というイメージが強い。この映画でも変質狂的な役がふられていたが、その若き日は決して容貌魁偉ではなく、むしろ、ちょっとジェームズ・スチュワートにも似た品のいい二枚目だったことを今回知らされた。

ジーン・ティアニー


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