田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

2021-09-25 11:43:44 | 映画いろいろ

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008.6.13.パラマウント試写室)

 いきなりパラマウントのロゴのパロディーが映る。時代設定は1957年ということで、エルビス・プレスリーの「ハウンド・ドッグ」が流れ、ソ連のスパイによるネバダの米軍基地の占拠、そして第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)のラストに登場した倉庫へとつながる。今回の秘密の箱の中身は、ロズウェルのエリア51、つまりUFO絡み。ケート・ブランシェットがロシアなまりの英語を使うソ連の軍人を演じる(さすがにうまい)。

 米ソ対立、反共、密告、ネバダの核実験といった時代背景が巧みに盛り込まれている。シャイア・ラブーフの登場シーンも、『乱暴者』(53)のマーロン・ブランドをほうふつとさせる。このシリーズはもともと荒唐無稽な話なのだが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ同様、荒唐無稽な面白さの裏にはこうしたディテールの積み重ねがある。

 クリスタル・スカル(水晶ドクロ)、古代文明、宝探し、二重スパイ、ナスカの地上絵、大滝下り、からくり古代遺跡など、まさに謎と冒険のてんこ盛り。『ターザン』やら、『黒い絨氈』(54)、果ては自作の『未知との遭遇』(77)など、過去の作品のパロディーも楽しい。

 最初のうちは、スピルバーグの演出もハリソン・フォードの演技も、どこか間延びした感じがして、さすがに年を取ったか…、と思いきや、だんだんとそのテンポに慣れてくる。そして最近の目が回るようなアクションとは一味違った大昔の冒険活劇が再現され、復活『スーパーマン』同様、ジョン・ウィリアムスのテーマ曲の効用もあり、いつの間にか乗せられていた。スピルバーグたちが、衰えたハリソン・フォードや、懐かしのカレン・アレンの再登場も計算ずくで作ったのなら、それはそれですごい。

『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの伝説』ジャパンプレミア(2008.6.6.)

 19年ぶりのシリーズ最新作。ハリソン・フォードも最近は老いが目立ったが、やはり間近で見るとオーラがあると言うべきか、それともほぼリアルタイムで彼の映画を見てきたこちらの思い入れのせいか。カレン・アレンも懐かしく、会場内に流れてきたジョン・ウィリアムスのテーマ曲にも乗せられてちょっと興奮した。

 一方、ジョージ・ルーカスは金満家のデブオヤジそのものといった感じ。やはり俳優とは見た目が違うということなのだろう。もっとも、テレビ媒体優先のバラエティーのようなイベント演出にはいつもながら疑問が残った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「BSシネマ」『海街diary』

2021-09-25 07:25:21 | ブラウン管の映画館

『海街diary』(15)



【ほぼ週刊映画コラム】広瀬すずが素晴らしい!『海街diary』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/cf171185ceb5a41b88967d4bd066a250

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ONODA 一万夜を越えて』

2021-09-25 07:01:12 | 新作映画を見てみた

『ONODA 一万夜を越えて』(2021.9.23.オンライン試写)

 太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎元陸軍少尉の物語を、フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化。

 終戦間近の44年、陸軍中野学校二俣分校で秘密戦の特殊訓練を受けた小野田は、劣勢のフィリピン・ルバング島で援軍部隊が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命じられる。出発前、教官(イッセー尾形)から「君たちには、死ぬ権利はないが、必ず迎えが来る」と言い渡された小野田は、何としても生き延びなくてはならなかった。

 72年にグアム島で発見された残留日本兵の横井庄一さんに続いての小野田さん発見のニュースは、当時中学生だった自分にとっても衝撃的なものだった。横井さんは軍人という感じではなかったが、小野田さんはもろに軍人といった風情があり、一体この人はどんな思いでジャングルの中で過ごしてきたのだろうと思ったし、彼を発見した鈴木紀夫という戦後生まれの若者にも興味が湧いた。

 あれから50年近くがたち、恐らく手記や証言などを手掛かりに、想像を交えながら、30年にわたる小野田さんの謎の日々を埋めていったのだろうと思われる。その作業を、フランス人監督が行ったことは驚きだったが、逆に日本人が撮ったらここまで突っ込んで描けなかったのではないかとも感じた。アラリ監督監督は「これは一種の寓話」と語っているという。

 もちろん描かれた全てが真実ではないだろうが、ジョニー・デップの『MINAMATA』同様、こうした問題を掘り起こして知らしめるという点では意義があると思う。

 小野田役の遠藤雄弥と津田寛治、部下の小塚金七役の松浦祐也と千葉哲也のダブルキャストも違和感がなく、仲野太賀が演じた鈴木青年もなかなかユニークだった。ドラマ化はされたようだが、最後は雪男発見に邁進した鈴木さんの数奇な人生も映画にしたら面白いと思う。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする