田中雄二の「映画の王様」

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『クーリエ:最高機密の運び屋』

2021-09-15 11:30:54 | 新作映画を見てみた

『クーリエ:最高機密の運び屋』(2021.9.14.オンライン試写)

 1962年10月、アメリカとソ連の対立が激化し、キューバ危機が勃発する。世界を震撼させたこの危機に際し、戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在の英国人セールスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)だった。

 スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIA(アメリカ中央情報局)とM16(英国秘密情報部)の依頼を受けてモスクワに飛んだウィンは、平和を願って国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の高官ペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)と接触を重ね、そこで得た機密情報を西側に運び続けるが…。

 キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた知られざる実話を基に、戦争回避のために命を懸けた男たちの葛藤と決断、友情をスリリングに描いたスパイ・サスペンス。監督はドミニク・クック。設定や背景は異なるが、同じ時代を背景にしたスピルバーグ監督の『ブリッジ・オブ・スパイ』(15)のことを思い出した。

 サーカスのジンタを思わせるような、ユーモアともの悲しさを併せ持ったアベル・コジェニオウスキの音楽が象徴するかのように、前半は素人スパイとなったウィンの困惑と高揚、ペンコフスキーとの友情が築かれていく様子が、時折ユーモアも交えながら描かれるが、後半はがらりと雰囲気が変わり、捕らわれた2人の悲劇がハードに描かれる。実話の映画化だから、史実は動かせないのだろうが、あまりにも落差が大きい、前半から後半への変転を見るのはつらかった。

 カンバーバッチは「ウィンとペンコフスキーの関係は、ある意味、プラトニックラブ。そこに心引かれる。この作品が単なるスパイ映画を超越しているゆえんはそこにある」と語っている。そのカンバーバッチにも増して、ニニッゼが好演を見せる。

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「BSシネマ」『恐怖の報酬』(77)

2021-09-15 07:59:59 | ブラウン管の映画館

『恐怖の報酬』(77)

【オリジナル完全版】
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6e329a338860372ce478084b3895befa

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