田中雄二の「映画の王様」

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高校の大先輩・梅野泰靖と脚本家の桂千穂

2020-09-01 22:03:13 | 映画いろいろ

 俳優の梅野泰靖(やすきよと読む)さんが亡くなった。劇団民藝の重鎮でテレビドラマにもたくさん出ている。映画では、『幕末太陽傳』(57)の放蕩息子・徳三郎、『男はつらいよ』シリーズの博(前田吟)の兄役のほか、刑事役や政治家役も多い。後年は三谷幸喜監督の『ラヂオの時間』(97・写真)『みんなのいえ』(01)『ザ・マジックアワー』(08)にも出ていた。

 インテリとコミカルな役、小市民と小悪党の両方ができる達者な名脇役。名前は分からないけど、見たことはあるという人も多いのではないか。その、やすきよさんは、何を隠そう、高校の大先輩なのだ。だから、全く面識はないのだが、勝手に親しみを感じていた。 

 うちの高校の卒業生の中には、やすきよさんのほかにも、個性的な芸能人がいる。例えば、「湯の町エレジー」が有名な歌手の近江俊郎、小朝の師匠・春風亭柳朝、声優の富山敬、現千葉県知事の森田健作、中退だけど美川憲一、ドラマ「アッちゃん」などで名子役として活躍した蔵忠芳、ラッツ&スターの桑野信義…。

 ところで、脚本家の桂千穂も亡くなった。男性であることはもちろん知っていたが、90歳だとは知らなかった。日活ロマンポルノや東映のアクション映画を書く一方で、大林宣彦監督の文学作、福永武彦原作の『廃市』(84)、赤川次郎原作の『ふたり』(91)『あした』(95)、檀一雄原作の『花筐/HANAGATAMI』(17)も書く、という多面性を示した。不思議な脚本家だった。

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『助太刀屋助六』

2020-09-01 07:08:01 | 映画いろいろ

『助太刀屋助六』(02)(2005.2.28.)


いい遺作だ

 岡本喜八追悼で、図らずも遺作となった『助太刀屋助六』がBSで放映された。実は岡本映画には結構思い入れがあったオレも、この映画は公開時には見なかった。前作『EAST MEETS WEST』(95)の出来があまりにも寂しかったもので、見るに忍びない気がしたのだ。

 ところが、今回追悼の意を込めて見てみたら、これが結構良かった。さすがに往年のカッティング・リズムは鈍っていたものの、彼が生涯追い求めた“和製西部劇”の小品の佳作といった感じがしたのだ。助六役の真田広之の身のこなしの良さも光った。

 また、これはこちらの思い入れ過多だとは思いつつも、新旧の岡本映画を支えた俳優たちが多数姿を見せ、まるで最後にみんなが明るく集ったような感じがしてグッときた。

 中でも、けんか別れが噂された、かつての名コンビ・佐藤允がチョイ役ながらも出てきた時はちょっとウルっときた。何故って、黒澤と三船、ジョン・スタージェスとスティーブ・マックィーン…、みんなこうは行かずに、仲違いしたまま亡くなっていったじゃないか。そういう意味でも、この映画は“いい遺作”だと言ってもいいと思うのだ。

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