『スター・ウォーズ』(77)(1978.12.31.大森エイトン 併映は『キタキツネ物語』)
前評判通りの楽しい映画ではあるが、SF映画としてはスピルバーグの『未知との遭遇』(77)の方が感動的だった。ロボットをうまく使い、フレッシュコンビ(マーク・ハミルとキャリー・フィッシャー)+渋いハリソン・フォードと、重厚な脇役(アレック・ギネスとピーター・カッシング)との組み合わせが、功を奏している。
『~帝国の逆襲』(80)のメモは紛失。
『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』(83)(1983.7.12.渋谷東宝)
『2001年宇宙の旅』(68)や『未知との遭遇』(77)とは違い、同じSFでも、このシリーズの場合は、ストーリー云々ではなく、動く映像の魅力に圧倒されてしまう。映画の命はビジュアルにある、というジョージ・ルーカスの信念が強く感じられる。
また、ルーカスの黒澤明への傾倒ぶりにも興味深いものがある。もともとこのシリーズは、黒澤の『隠し砦の三悪人』(58)から想を得ているのだし、主人公であるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の戦いの中での成長に、彼が師と仰ぐオビワン(さすがのアレック・ギネス)とヨーダの存在を合わせると、黒澤が好んで描いた世界との共通性が浮かび上がる。
加えて、善を描きながら、対する悪をも魅力的に描いてしまうという黒澤映画の特徴は、このシリーズのダースベイダーに色濃く反映されている。そして、この映画の大団円の“祭り”のシーンは『七人の侍』(54)のラストをほうふつとさせる。しかし、ルーカスのすごさは、たとえ出発は黒澤のコピーだったとしても、それを自分の映画に転化させ、壮大なスペースオペラを作り出してしまったところにある。
とは言え、今回もルーカスは監督をしていない。その意味では、彼の意を汲んで『~帝国の逆襲』(80)を仕上げたアービン・カーシュナー同様、今回もリチャード・マーカンドの頑張りをたたえたい気がする。
【今の一言】旧三部作の最終作だったこの映画が、シリーズ完結編となった今回の『~/スカイウォーカーの夜明け』に最も影響を与えているのでは、と感じた。