田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『スター・ウォーズ』『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』

2019-12-23 10:19:16 | 映画いろいろ
『スター・ウォーズ』(77)(1978.12.31.大森エイトン 併映は『キタキツネ物語』)

   

 前評判通りの楽しい映画ではあるが、SF映画としてはスピルバーグの『未知との遭遇』(77)の方が感動的だった。ロボットをうまく使い、フレッシュコンビ(マーク・ハミルとキャリー・フィッシャー)+渋いハリソン・フォードと、重厚な脇役(アレック・ギネスとピーター・カッシング)との組み合わせが、功を奏している。
 
   

『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a8c92c57c2e2deeb97330766d8abfd5f
 
『~帝国の逆襲』(80)のメモは紛失。
 
『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』(83)(1983.7.12.渋谷東宝)


 『2001年宇宙の旅』(68)『未知との遭遇』(77)とは違い、同じSFでも、このシリーズの場合は、ストーリー云々ではなく、動く映像の魅力に圧倒されてしまう。映画の命はビジュアルにある、というジョージ・ルーカスの信念が強く感じられる。
 
 また、ルーカスの黒澤明への傾倒ぶりにも興味深いものがある。もともとこのシリーズは、黒澤の『隠し砦の三悪人』(58)から想を得ているのだし、主人公であるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の戦いの中での成長に、彼が師と仰ぐオビワン(さすがのアレック・ギネス)とヨーダの存在を合わせると、黒澤が好んで描いた世界との共通性が浮かび上がる。
 
 加えて、善を描きながら、対する悪をも魅力的に描いてしまうという黒澤映画の特徴は、このシリーズのダースベイダーに色濃く反映されている。そして、この映画の大団円の“祭り”のシーンは『七人の侍』(54)のラストをほうふつとさせる。しかし、ルーカスのすごさは、たとえ出発は黒澤のコピーだったとしても、それを自分の映画に転化させ、壮大なスペースオペラを作り出してしまったところにある。
 
 とは言え、今回もルーカスは監督をしていない。その意味では、彼の意を汲んで『~帝国の逆襲』(80)を仕上げたアービン・カーシュナー同様、今回もリチャード・マーカンドの頑張りをたたえたい気がする。 
 
【今の一言】旧三部作の最終作だったこの映画が、シリーズ完結編となった今回の『~/スカイウォーカーの夜明け』に最も影響を与えているのでは、と感じた。
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『ターミナル』

2019-12-23 08:50:26 | 映画いろいろ
『ターミナル』(04)(2005.7.21.)

  

 東ヨーロッパのクラコウジアからアメリカへやって来たビクター(トム・ハンクス)。ところが、母国がクーデターで消滅し、パスポートが無効になる。ビクターは、空港から出ることも母国に帰ることもできず、空港で暮らすことになる。
 
 見る前はSF、アクション抜きの時のスピルバーグはストーリーテリングに多少の難があるから、アメリカの空港に閉じ込められた言葉の通じない外国人男性の話で2時間もつのかちょっと心配していた。見てみると、時折脱線するところはあったものの、そつのない人情劇として合格の範囲内と言ってもいい出来だったので安心した。
 
 大作ではない、愛すべき小品とも言えるスピルバーグ作品として、映画デビュー作の『続・激突!カージャック』(74)『オールウェイズ』(89)を思い出したが、空港をセットで造ってしまうあたりが、スピルバーグの面目躍如といったところか。今回のトム・ハンクスはやや太め。ラッセル・クロウ同様、役柄によって体型まで変えてしまうのだから恐ろしい。
 
   
 
 
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